仕事を終え、自分の部屋の扉を開ける。
刺すように冷たい空気しかいない部屋。
凍りつきそうな夜に一人きり、思わず侘しさと人恋しさが募る。
ふとオスカルの顔が浮かぶ。
先程、就寝の挨拶をしたばかりなのに、すぐに会いたい気持ち。

ああまずい。
選りによって一番考えてはいけない人物だ。
何か、何か・・・他の事。
今日は何があった?面白い何か・・・
そういえばオスカルが・・・・・・

情けなさでいっぱいになる。
どうしようもない。
どうしようもないのに!
・・・いて欲しい。
オスカルに、そばにいて欲しい。

暖炉に火をつける。
さっさと寝てしまえばいいが、眠れないのがわかっている。
それに
これ以上凍えないように、身体だけでも暖めなければ。
いっそこのまま凍死できるなら
それはそれで幸せかもしれないけれど。

薪をくべる。
また一つ、薪をくべる。

おまえが望む時、おれはいつでもそばにいるけれど
おれが願う時、おまえはいない。
分かっている。
頭では分かってはいるけれど!
もしも側にいてくれたなら?
どれほど満ちたりた気持ちになれるのだろう。

望む時は、いつでも側に。
おれの為だけにそうしてくれる、おまえ。
思うだけ、考えるだけならいいだろう?
だって、愛しているのだから。

薪がパチッと爆ぜる。

ああそうだ、無駄な事。
いらぬ事。
住まう世界は、同じに見えて別のもの。
重なることはない 。

やっと部屋が暖まる。
ようやく身体も暖まった。
だけど心は凍えたまま、少しも温まらない。
凍えた心を抱えて温めてくれる女が、ここに来る事はないのだから。

明日も早い、もう眠らないと!
そしておれは言い聞かせて、凍えたまま眠りにつく。