19.歴史的出来事

私が滞在中に歴史的な出来事が二つありました、一つは国王の死と前ファハド国王の即位です。1982年6月、ハリード国王は紅海側の丘陵地帯にある都市、タイフの夏の宮殿で突然亡くなりました。テレビで一斉に報道され、遺体はすぐに首都のリヤドに運ばれ、その日のうちに土葬で埋葬されました。イスラム教では死者は速やかに埋葬するのです。各国の大使がファハド皇太子のもとにひっきりなしに弔問に訪れ、皇太子は悲しみに沈んだ表情で応対していました。
翌日には新国王、ファハド国王の即位式が行われました。前日とは打って変わった表情でお祝です。また、各国の大使や特使が次々と祝賀に訪れ、アラブ人の訪問者の場合は新国王と抱合って、男同士で口にキスをして挨拶していました。即位の儀式、お祝は何日も続いていました。

もう一つの出来事はイスラエルのレバノン侵攻です。イスラエル軍の攻撃で破壊された町や避難する人々の模様を連日テレビで放映していました。私が住んでいるすぐ側で起っている惨事と思うと人事ではありませんでした。欧米やイスラエル側からの報道を見ていないので判りませんが、アラブ側からの報道ではイスラエルの侵攻は随分と残酷な攻撃だったと思いました。この時イスラエル軍の指揮をしていたのは、当時国防相だったシャロン前首相でした。イスラエル軍による大量虐殺事件も発生し、レバノン人のメカニックは家族と連絡が取れなくなったとか、仲間のレバノン人達は急いで国に帰った等と話していました。どんな戦争でも悲惨な事には変りありません。

アラブとは関係ありませんが、フォークランド戦争も私のサウジ滞在中の出来事でした。


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