Morandi e il suo tempo

モランディとその時代


Author(s): Atsushi Okada
著者 岡田温司
Publisher: Jinbunshoin
出版社 人文書院
Published: 2003
発行年
Language(s): Japanese
言語 日本語
Original: Japanese
オリジナル 日本語
No. of plates (colour): 16
カラー図版点数
No. of plates (B/W): about 130
白黒図版点数
Quality of colour printing: good
カラー図版の質
Price: Yen 4800
価格
Recommend?: Highly
必要度
Comments:
追加事項
 
 アルカンジェリによるモランディの論評は、その筋立てにおいて今日的な視点から見ればなんら特異な点を含まない。
 しかしながら、アルカンジェリのモノグラフは通常ではあまりお目にかかることの少ない貴重な実験を提供することになった。つまり、モランディに対するこれ以上はないであろう「負荷」をかけたのだ。物事を計測してその本質を解明しようとする時に、測定者による(測定対象への)影響を排除することはできない。言い換えれば、押して動かしてみるまでは、そのものの質量は量れないわけだ。

 アルカンジェリはモランディを強く押し、モランディは全力を投入して対抗した。そこから得られる情報はアルカンジェリの論評以上の情報量を含み得る。岡田氏はアルカンジェリの論評を丁寧に読み、なぜモランディが激しく「否」と言ったのか、この二者の確執を軸に、その背後のさまざまな力動を丁寧に解きほぐしていく。筆致は論理的で、(自由な形で書かれた)美術論考にしばしば見られる独りよがりな展開への誘惑は注意深く避けられている。

 もちろんモランディに対する論評を時代ごとにどのような変遷をとったかを、研究することは、なんら特別なアプローチではなく、邦文に翻訳されたものでも エレーナ・ポンティッジャによる「言語と視覚−バッケッリからアルカンジェリにいたる主要なモランディ解釈のテーマと方向(1918−64年)」という論考がある。



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