猫達のために喜捨をするのを忘れずに
今回は、ローマ市内でもっとも新しい美術館の一つをご案内しよう。冷房が完備しており、暑い夏にはお奨めだ。また、ローマの美術館の多くが午前中しか営業していないのに対し、ここは月曜の閉館日を除き、夕方まで開いているのが有り難い。
「交通案内」
地下鉄ならば、Piramide駅、国鉄ならばOstiense駅下車。ローマの南を固める城門の一つであるPorta San Paoloを背に、Via Ostienseを南に進んでいく。途中、鉄道のガードをくぐりながらバス停2つ分くらい歩くと、左手に卸し売り市場が見えてくる。右手にはItalogasのガスタンクが建物の間に垣間見える。目指すのはVia Ostiense 106番地である。ガス会社の通用門と間違えて通り過ぎないよう注意しよう。
「時間のつぶし方」
館内に入って目を引くのは、数千馬力の巨大なディーゼル発電機である。イタリアの今世紀の近代化の象徴である発電機をじっくり鑑賞しよう。周囲に配置されたローマ時代の大理石彫刻(オリジナルもあればギリシャ彫刻の模刻もある)が邪魔にならないではないが、半地下から、水平方向から、あるいは2階から、異なる高さから、巨大な鉄の機械を眺めてみたい。
「設備」
荷物一時預け完備。土産物売場は、美術関連の玩具・文具と美術書が主体。最上階のカフェテリアは冷めたピザと飲み物くらいしかない。食事は、Testacio地区のローマ子御用達の飯屋か、San Paolo門そばのCestiaがお勧めだ。
「散歩道」
順序としては、まず、San Paoloの城門外にある異教徒墓地を訪れたい。鉄の扉は閉まっているが、呼び鈴を鳴らせば墓守が内側から開門してくれる。ローマで野垂れ死にした著名人の子供(例えば、Wolfgang
Goetheの息子)であるとか、ローマと心中したイギリス人の作家の墓などが見物の中心である。プロテスタントだけではなく、ユダヤ人の墓も数多い。この墓地は、心ない飼い主に捨てられた猫達が余生を過ごす場所でもある。墓地を後にする前に、猫達のために喜捨をするのを忘れずに。次にCestiaで昼御飯といきたい。ここのpanna
cotta(品切れの日も多い)は、2回に1回くらいの割合で、絶品である。もっと打率が上がれば嬉しいのだが。最後に、今回紹介した、Roma
Art Center - Centrale Montemartini を訪れたい。ローマ市営である。