京都で一句

日本の四季の美しさを詠う
  

やはり鞍馬温泉にて詠める(1999年5月26日)

鳴き交うは鰍にあらず田吾がえる

再び鞍馬温泉にて詠める(1999年5月26日)

蜻蛉の折り重なりたる大小の骸を我は掬い取りたり
(暗い水面に浮かぶ、まるで心中を遂げたかのような二匹の蜻蛉に愛の純粋な形を見てとった作者の静かな思いが伝わる秀句)

鞍馬温泉にて詠める(1999年5月13日)

いのち尽き湯の面に果てし蜻蛉の骸(むくろ)を揺らすの清(さや)けき

 
 

基礎第三講堂にて詠める(1999年1月19日)

医学部のマイクを伝う上方弁人情話を聞く心地こそすれ
 
 
 

グランヴィアの駅コンコースにて詠める(1998年12月30日)

欧州の共同体歌が鳴り渡り楽聖戸惑う師走の雑踏

 

日伊会館前で詠める(1998年12月16日)

チャオチャオと別れる言葉も関西弁寒風背を押す東一条
 
 

宵山観察記(1998年7月17日)

をかしきもの:

煙雨にけぶる駒形提灯
身の丈高き白人女の浴衣の襟に栗色の毛のほつれたる
南座前の祇園囃子
六角通りの屏風に狼2匹
ちまき売る山鉾町の娘どもの声の合わさるる
団扇片手に粋な風情の祇園の若旦那の中年太り腹の帯締めキリリ

おかしきもの:

茶髪娘の浴衣の襟もと乱れたる
美しき帯結びに挟みたる伊藤ハムの広告団扇
古都に響き渡るハンバーガーショップの呼び込み元気
雨で人通りもまばらな通りの歩行者一方通行規制
氷雨の下の生ビール販売の若い人
ジーンズTシャツ少年とPHS携帯を連れた浴衣娘