好きなJAZZ10枚

たとえ歌手のいない演奏でも「歌っている」ものが好きです。かつてハマッタことのあるアルバム、ということで10枚。録音年代順に並んでいます。青いジャケットばかりそろったのが不思議、、、

太田和男の「好きなジャズ10枚」

"BLUE GUITARS"-EDDIE LUNG and LONNIE JOHNSON

バイオリンのJOE VENUTIとのコンビネーションで、フランスの天才ギタリスト-ジャンゴに影響を与えたジャズ・ギターの先駆者エディ・ラング。伝説のロバート・ジョンソンに影響を与えたと伝えられるブルースギターのロニ−・ジョンソンと組んでの演奏。1920年代の録音。ジャズともブルースとも呼べるようなこの雰囲気が素晴らしい。ただしジャズが初めての方には最初はちょっと馴染まないかも?、、、これと10枚目の"BITCHES BREW"は、少しジャズに慣れてから聴いたほうが良いCDです。

ブルーバードのFATS WALLER

戦前のニューヨーク・ハ−レムはジャズの中心地だった。酒場の調律の狂ったピアノの上にはウイスキーグラス。腕自慢のピアニスト達が他流試合、道場荒らしの勢いで椅子を奪い合いながら弾いていた時代。学校で学んだのではないからこそ生まれたアイデア、ユーモア。本当に才能に恵まれた人達が、逆境にめげず音楽に自分のアイデアを注ぎ込んでいたこの頃。後に音楽学校出の人達が音楽をやるようになったら、ジャズはすぐしぼんでしまった。

「ポートレイト」BILLIE HOLIDAY

ジャズの歴史上文句なしに最高の歌手、ビリ−・ホリディの初期の作品集。ピアノのテディ・ウイルソンがイントロを弾き、レスター・ヤングやバック・クレイトンがオブリガードを吹く、、、ジャズが最も魅力的だった時代の遺産。もしタイムマシンで過去に旅できるなら、このバンドを聴きに1930年代のニューヨークへ行きたい。後年酒や麻薬でガラガラになった声ではない、瑞々しいビリ−・ホリデイ。この頃すでに、誰にも真似できない絶妙のノリで歌っている。

キャピトルのNAT KING COLE TRIO

一時、擦り切れる程?聴いた愛聴盤。後に歌手専門になるナット・キング・コールだがピアニストとしても飛びぬけた才能を持っていた。その両面を味わえる一枚。
粋な、という形容がぴったりな、これがスイング・ジャズ! ピアノ、ギター、ベースだけの黄金のトリオでお洒落に聴かせる。

"SOUL BROTHERS, SOUL MEETING"-RAY CHARLES, MILT JACKSON

初めてロサンジェルスでレイ・チャールズのピアノを聴いた晩は眠れなかった。歌手ではなくピアニストとしてのレイ・チャールズが聴けるめずらしい作品。たっぷりした間合い、溢れでるブルース・フィーリング。ヴィブラフォンのミルト・ジャクソンと組んで真っ黒いジャズを演奏している。瞑想でもしているような雰囲気の一曲目のブルースが凄い。ちなみにギターは僕がニューヨーク・ハーレムで出会った恩師、スキーター・ベスト。聴く度に温和なスキーターの思い出が蘇る、ぼくにとっては特別な一枚。

"BODY AND SOUL"-ERROLL GARNER

これを聴いて楽しくならない人は僕の選ぶ10枚は時間の無駄。一曲目の"The Way You Look Tonight"はウディ・アレンの映画で使われていた。彼が左手で4分音符を刻むだけで、誰よりもジャズを感じさせてくれる。ジャズはリズムの芸術だという事をイヤでも思い起こさせる。生まれた時から努力なしでこうできた、みたいに自然に楽しそうにピアノを弾いている。

"ALONE IN SAN FRNCISCO"-THELONIOUS MONK

モンクが何枚か残したピアノソロはジャズの宝物。これはその内のひとつで、彼のソロアルバムの中で僕が最も頻繁に聴いたのがこれ。1959年にサン・フランシスコで録音された。当時、ジャズのルールを破る「変人」の扱いを受けたモンクだが、今聴くと正に伝統に根ざしたオーソドックスな演奏に聴こえるから不思議。ひとつひとつの曲を丁寧に歌い上げている。

"WALTZ FOR DEBBY"-BILL EVANS

ジャズの名盤には必ず挙げられる定番。白人のジャズは殆ど聴かないへそ曲がりのぼくでも、やっぱり聴きたい文句なしの名演奏。ヴィレッジ・ヴァンガードという小さなクラブでのライブ盤。このジャズ史上に残る演奏にたいした興味を示さず酒を飲みながら談笑する(可哀相な)客席のざわめき、もマイクに捕えられていて微笑ましい。1961年録音。

"FLAMINGO"

非常にタッチの綺麗なフランスのピアニスト、ミシェル・ペトゥルチアーニ。残念ながら、数年前亡くなってしまった。ウクレレ・クラブがよくオープニング・テーマに演奏する"LITTLE PEACE IN C FOR U"はこのアルバムに入っている彼の作品。1995年にパリで録音された。共演は1930年代にジャンゴとのコンビで活躍した、バイオリンのステファン・グラッペリ。彼もこの録音の後何年かして亡くなった。

" BITCHES BREW"-MILES DAVIS

それ迄のジャズの定型化した演奏方法に別れを告げた画期的な作品。1969年当時の最高の音楽家を集め、聴く度に新鮮な即興演奏を展開している。しかし皮肉なことにこの頃から、ジャズは徐々に技術偏重で力のない音楽になっていく。20世紀初めに生まれ50年ほどで燃え尽きた、これがジャズ最後の炎かもしれない?
ぼくの聴くジャズは殆どこの「ビチェス・ブルー」まで、、、これ以降の「歌」を忘れたジャズを聴くなら、ブラジル音楽のほうが楽しい、、、ブラジル音楽10選へリンク

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