今、ハマッテいる一枚#2
Joao Gilberto

 泣く子も黙るジョアン・ジルベルトが新しいCDを録音している、というので首を長くして待っていました。言う迄もなく彼こそがボサノバそのものを創り出した張本人です。1958年にジョアンが『想いあふれて』"CHEGA DE SAUDADE" という曲を録音した時、ボサノバは産声をあげました。ボサノバはそれ迄のブラジル音楽に豊かな和音、そして(きっとナット・キング・コールやチェット・ベイカーに影響された)クールなタッチを付け加えました。
 その待ちかねた新譜がタワーレコードに並んでいたので迷わず買いました。「ハマル一枚」になるはず、、、でしたが、、なりませんでした。完全主義者のジョアンがギターひとつ持ってスタジオに籠ってひとりっきりでやっているCDですが、「これはマニアックだなぁ、」と言いたくなる出来になっています。全部足しても30分にしかならないというのに再演も多いし、全体にムードが暗く、噂に聞く彼の気難しい面が表に出てしまったアルバムかもしれません。残念ながらこれはジョアンを神様のように想う(僕のような)人しか楽しめない作品になってしまったようです。プロデュースしたカエターノ・ベローゾも困ったのじゃないかな?

 代わりというわけではないけれど、ついでに買ったモンタレー・ジャズ・フェスティヴァルでの彼ののライブ盤が素晴らしく今、毎日聴いています。場所はスイスですがブラジル人の観客が興奮して騒いだり、なんとついには一緒に歌ったり!、ジョアンが足で拍子をとっているのがマイクに捕えられていたり、と神様ジョアン・ジルベルトが為さる事とは思えないような事態が続出。らしからぬ?楽しい一枚になっています。いつに増してギターも軽やか、選曲も良くボサノバを一枚だけ買ってみたい方にもお薦めです。

"live in Montreux"
Joan Gilberto

「ちょっと反省」

 実は何日か後、少しずつジョアンの新譜が耳に馴染んで来て大好きな一枚になりました。聴く耳がなかったと反省。タイトルどうり「歌とギター」だけなので華やかな音楽ではないけれど、その分ギターの美しい内声の動きが良く聴こえたり、ひとりだからこそテンポをたっぷり膨らませたり、、、。ふわっと包み込むようなギターに、地を這うような低いキーで柔らかい声が絡んで、ジョアン・ジルベルトだけの世界を創り出しています。聴きなれると癖になります。遅ればせながらジャケットの写真を載せておきます。

かつてハマッテいた一枚

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