よわってしまうお客さん〜子連れ編 |
当店では、原則 子連れのお客さんの入店はお断りしている。 といっても、子供嫌いなわけじゃない。 「大人の遊び場」 を壊されたくないのだ。 先に付記しておくけれど、二階の個室が空いている場合は、 子供づれのお客様は そちらへ案内する。 又、子供といっても、分別のあるティーンエイジャーはOKだ。 年端もいかない幼児のことを、ここでは子供と称するのでよろしくどうぞ。 さて、飲み屋は 仕事場と家庭の間にあって、それらのしがらみからこころを開放するための場所である。 「日常」から ひととき隠遁できる━という意味では、 「男の隠れ家」なのだ(言い古された表現だ) この「非日常」における遊びの時間が、活力回復のためにいかに大切か、読者諸兄ならおわかりいただけると思う。車のハンドルだって、”遊び”があるから安全なのだ。 そしてその対極にあって、最も日常的なのは なんといっても子供の声である。 赤子の泣き声、ゲーム機に興じるガキの嬌声、 気分がいっきに現実に引き戻される。 ビジネス戦士がほっと一息つく場所に、やはり似つかわしくはないのである。 子供が入ってくると、店内のおとなは一瞬身構える。 手本たろうとする、親の本能ゆえか。 それでなくても、なんとかハラスメントなるたわけた言葉に戦々恐々としているのに。 俺も他店にいて、子供が入ってくると、自分に罪はなくても 煙草を吸うのがうしろめたくなる。 伏流煙(第3者が吸わされる煙)の害が気になってしまうのだ。 それでなくとも、愛煙家の住みにくい時代なのに。 嗚呼、心優しいおとな達に、これ以上の気遣いはさせないでおくれ。 ささやかな自由を 奪わないでおくれ! 大手の居酒屋には、子供づれをもターゲットにしているところがあるけれど、あれは いわゆる”居酒屋風レストラン”であって、酒場とはよべぬ。 そういう店と、われわれの店とを混同してもらっては困る。 それとも、うちの外観って、はじめて見ると、中が広そうに感じるのかしらん。 ここまで書いたから ついでに言うけど、事情もないのに 平日のそんな遅い時間まで ガキを連れまわすな。もう深夜だぜ。 (天文学者にするなら別だ 朝まで連れまわそう) せめて 幼児期くらい、早寝早起きの習慣を徹底させるべきだ。 体内時計のリズムを守ってやってくれ。 きっと、無意識に親の無責任を感じるから、そんなお客さんが来ると不愉快になるのかもしれない。 子供には 子供の領分がある。 それを越えてはいけない。 それが 世のため人の為だ。 近所のお客さんが子連れで来て、追い返されて、それでいやな噂をたてられたとしても、いたし方ない。 今、飲んでいる たいせつなお客様の 貴重なひとときを尊重するために、これからも頑固な親父であり続けたいと思う。 「いい子は 来ちゃだめだよ」 お客さんも、それくらいのこと言ったって かまいやしないぜ。 おれたち、日本の子供の 幸せな未来のために 日夜戦っている「同士」なんだから。 |