「菩薩」とは・・・・     文字からいって、”菩”は香草、”薩”は救済を意味しています。
                        一般的に如来の前身、悟りを開くために修行中などといわれていますが
                        そうではなく、菩薩は如来の変身でして、
                        救済を専らにする仏をさしています。
                       
                        つまり、菩薩は仏教の真髄「慈悲」のうち、「悲」を表現しています。
                        お母さんのように、何を言っても聞いてくれる優しさを表現しているのです。
                        (中略)・・・菩薩を拝むときには、「大悲」と言います。
                        「南無大悲地蔵菩薩」とか、「南無大悲観世音菩薩」と拝みます。
                        また、菩薩をまつっているお堂を「大悲殿」といいます。

                                以上 西村公朝 「やさしい仏像の見方」より抜粋


       三十三観音信仰について・・日本では特に観音様信仰が盛んであった。
                           如来と違って、「商売繁盛」や「子授け」「病気平癒」など
                           人々にとってごく身近な願い事をかなえてくれるという点が
                           人気を呼んだと考えられる。

                           この人気を生み出したものに、観音霊場めぐりがある。
                            平安時代には西国や坂東などに三十三ヶ所の観音霊場が
               誕生し、人々はご利益を求めて、こぞって霊場めぐりをした。
               三十三という数字は、観音様が現世利益を施してくださるときに
               三十三のそれぞれ違った姿に身を変えて、
               人々を救ってくださるということにちなんだものである。

             そして、三十三ヶ所に祀られたのが、変化観音である。
              聖観音、千手観音、准胝観音、如意輪観音、十一面観音
                           不空羂索観音、馬頭観音の7種類の観音様がそれである。
                           もちろん、現在でもご利益を求める人々は多く
                              観音様人気は健在である。 
                                     以上 ひろ さちや 「仏教はやわかり百科」より抜粋



        巡礼者の装束について ・・・巡礼に行くときは真っ白な浄衣を着ます。
                             その上においずるを着て、金剛杖をつきます。
                             杖はお大師さまを表しています。
                             四国巡礼のとき、「同行二人」(どうぎょうににん)と
                             菅笠に書きますが  
                             お大師さまと一緒という意味です。

                             杖は上のほうに五つ切込みがあります。
                             これは卒塔婆と同じ形です。
                             これに名前と住所と歳を書きます。
                             もし巡礼の途中で死にますと、誰かが畑の脇などに埋めてくれて、
                             土饅頭ができたところへこの杖を立てると卒塔婆になります。
                             その上に笠をのせます。これはお棺の蓋です。これで葬式です。
                             死装束をしていますから、そのまま埋めてもらえばいい。

                             巡礼は、死出の支度をして黄泉路を行く、
                             この世とあの世の境を歩いているんです。
          
                                           以上 瀬戸内寂聴 「寂聴観音経」より抜粋



        納経帳ひとくちメモ  ・・・・  今は娯楽ツアーになって、歩かないでほとんどがバスで行きます。
                             昔は巡礼はみんな木の参詣札を持っていて、
                             お寺に打ち付けました。
                             お寺には札がぺたぺた打ち付けて合ったから札所といいます。

                             札所には納経所があります。朱印を貰いにいくところです。
                             あれは、本来は字の通り写経を納めるところなんです。
                              巡礼はほんとうは写経を持っていってお寺へ納めたものです。

                                           以上 瀬戸内寂聴 「寂聴観音経」より抜粋


                                 
                               上が納経帳。いただいた御朱印を綴じていく。
                                各寺院のページで
                                寺の名前の下に御朱印を載せた。
                                これを裏返すと、ご詠歌が記されている。
                                御朱印の右に掲げた、和歌のようなものがそれである。

                            ※納経代は 300円。
                            尤も、某寺の住職は、500円出したら、
                             「あくまでも気持ちの問題なので
                             いくらという決まりがあるわけではない」と言って、
                             釣りを出し渋った。
                             連れは、狐につままれたような顔をしていたが
                             つまり納経代も布施のひとつなのだと自らを納得させた。
                             「じゃあ タダでもいいわけ?」
                                 って、俗だけどそうかもしれない・・・


          本尊にあげる 経典考 ・・・我が家の菩提寺は 臨済宗建長寺派である。
                              祖父が他界したとき、懇意にしている和尚にたづねた。
                 「素人が仏壇の前であげるお経で、なにかお奨めはありますか?」 

                 和尚は 日課経典なるものを取り出すと、そのなかから
                   以下のお経を示された。

                   ・開経偈(かいきょうげ)
                   ・般若心経(はんにゃしんぎょう)
                                ・消災呪(しょうさいしゅ)
                                ・観音経世尊偈(かんのんぎょうせそんげ) 
                                ・四弘請願文(しぐせいがんもん)

                           
 観音経を除けば、いずれも短いものばかりである。 
                               私は観音霊場で、この中から特に、般若心経と 世尊偈を
                               大切にあげている。 
                               この2つのお経は 一部の宗派を除けば、どの宗派でも
                               重んじられているらしい。
                               勝光寺のご住職は、四弘請願文  を大切にされていた。
                               真言宗の寺院では
                               「南無大師遍照金剛」と唱えるのも忘れない。 
                               要は、観音菩薩にすべてをお任せするという心、
                               これに尽きる。

                                「ともかくもあなたまかせの年の暮れ」 一茶 
                                長女を亡くしたあと、仏(阿弥陀様)をあなたと呼び詠んだ句。