2006年3月25日 11:00開演
月組『 THE LAST PARTY 』
於 東京芸術劇場 中ホール

 
Dear植田景子先生、来年の大劇場正月公演はぜひ脚本を…!

宙組ラスパの観劇時になんて素晴らしい作品! と浸りつつ、
翌日には中日劇場に旅立ったワタクシ。
今回はより長い時間(次の観劇は4月1日星組東京公演☆)を
この作品に浸るつもりでまいりました。今も浸ってますよ〜(*^ ^*)。

何が良かったって、(大空)祐飛ちゃんのスコット!
彼女自身の持つ繊細さと危うさがスコットのそれにぴったり重なって、
考えていた以上にスコットに感情移入してしまいました。
年齢的にも少年時代から晩年(といっても40代か)まで不安定なことなく。
じ、実はね、宙組のとき、
冒頭に出てくる五峰(亜季)姐さんとタニちゃん(大和悠河)スコットの関係が、
見た目的に「恋人」というより、
本当にお母さんというか「お世話をしてくれる人」だと
思ってしまっていたのですわ(^ ^;;。
なのでそういう意味ではちゃんと恋人に見えたし、
しかもスコッティ(涼城まりな)相手には違和感なくお父さんに見えたし、
ゼルダ(彩乃かなみ)に対する愛情は最後まで変わることはなかったし、
スコット・フィッツジェラルドという人物を
きっと余すところなく生ききったのではないかと思います(*T_T*)。
なにげに好きなのが、
ニューヨークにゼルダを呼び寄せて「♪you are me〜」と歌いながら
ゼルダのつばの広い帽子を被った祐飛ちゃんの可愛らしさ(爆)と、
お金がないのに浪費することをヘミングウェイ(北翔海莉)に責められて
「(中略)…(スコッティを)公立の学校へやる…そんなことできるか!」と
それでも生き方を変えられない彼の苦しさ(*T_T*)。
ああ、普通に考えればヘミングウェイの言うとおりなんだけどね…。

でね、ジブン的にちょっと面白かったのが、
そうやってスコットの生涯を精いっぱい生ききった時に、
ラストの「スコット・フィッツジェラルドへのオマージュ」の部分が
蛇足のように思えてしまったことでした(爆)。
スコットの死後に周りの人がどうなったかについて伝えるのはいいのだけど、
その後の皆さんによる「普遍的」云々の台詞が、
スミマセン、ちょっとまっすぐすぎて恥ずかしいというか、
いや、それもう2時間かけて伝えてきたじゃん、充分じゃん、
今さら口にすることじゃないじゃん、と思っちゃったんですよね。
宙のときには上手い作りだと思っていたのだけど。
でも今回は必要なかった。
この、自分の中での印象の違いが、面白かったです。

そんなわけで、タニちゃんごめんなさい、
スコットという役については
(タニちゃんも本当によかったけど! 祐飛ちゃん大丈夫かなと思ったけど!)
ワタシ的に祐飛ちゃんに軍配をあげてしまったのですが、
ゼルダについて、
一幕では宙のるいるい(紫城るい)のほうがニンなのかな〜と
感じてしまっていたです。
「フラッパーガール」と言われて思い起こすイメージには
エキセントリックな魅力のあるるいるいの方が近いかなあと思って。
何だろう、地に足がついているというか、頭がよさそうというか、
浮わついて破滅的な生き方をしなさそうというか。
祐飛スコットと浮かれてふざけてクッションを投げ合っているあたりとかは、
ゴメン、ゴメンね、
ちょっとだけ「僕は君が痛々しい…」と思ってしまったですわ。
なので、仕事に没頭するスコットに嫉妬して大暴れするあたりとかも、
るいるいのほうが「自分の存在が消えてしまう恐怖」というのが
より分かりやすかった気がする。
でもね、二幕、精神分裂病になってからの表情は、かなみちゃん、
本当に、本当に良かったのです…(*T_T*)。
疲れきってしまったが故の状態なのだろうけれど、
スコットに対する真摯な愛情だけはまったく変わらないのね。
その誠実さがかなみちゃんの魅力なんだろうなあ。

そういえばヘミングウェイのみっちゃん。
それこそあひるちゃん(遼河はるひ)のハマりっぷりがすごかったので、
実は不安を抱いていたのですが、どうしてどうして!!
一皮むけたねえ、みっちゃん!
とても骨太で真面目で信念を持っている男を、見事に演じきってました!
ワタシ的にはアイシャドウが水色でないというだけで
すでに大成功なのですが(え?)、立派に大人の男でしたわ〜(*^ ^*)。
しかもフィッツジェラルドに対する憧れと、
だからこその憤りが本当に素晴らしく表現されてて。
宙に行ってしまうの、残念…。

あと、めおちゃん(真野すがた)もすごく良かった。
めおちゃんってどうしても私の中では線が細いイメージがあったのだけど、
ずいぶん芯が一本通るようになってきたですね〜(*^ ^*)。
ああ、彼女もいなくなっちゃうんでした…。

そのほかの皆さまも、(嘉月)絵里ちゃんのマックス筆頭に
芝居巧者ばかりの月組で、
うまく締めるべきところは締める、 さすがの舞台を創りあげてました。
中でも気になったのが、
あの「でも、…いつかもう一度読むと思う」とキーとなる台詞を言った子。
おお、彼女が明日海りおクンなんですね!
お芝居上手かったわ!
あの台詞、本当に上手く言わないと
唐突な恥ずかしい台詞(&ボール投げ)になっちゃうと思うのだけど、
とてもナチュラルにその言葉がスコットの、そして私たちの心に
響いてきたように思います。

ていうか、やっぱりすべては脚本&演出に…(*T_T*)。
Dear景子先生、
月組大劇場作品を書いてください!!!

 fin