2006年1月2日 15:30開演
『 落陽のパレルモ / ASIAN WINDS! 』
於 東京宝塚劇場

 
昨年の観劇納めが月組なら、新年の観劇始めは花組で。
「新年にふさわしく華やかな花組が華やかに」(by春野寿美礼サマ)
彩る舞台を、初日から観ることができました(*^ ^*)。

『落陽のパレルモ』

幕間、トニーさんにお会いした私の第一声。
「あたし、顔、大丈夫?」

…そう、またしても大号泣だったのです(*T_T*)。
しかもハンカチはロッカーに入れたコートの中。
手で顔を拭き拭きの観劇となってしまいました。やられました。

やっぱりお芝居は脚本ですね。そして演出です。
本当に某JAZZYと比べて(…)、二重の意味で大号泣。
お芝居がイイってうらやましいな。大切にしてあげろよ? (パトリック風に)
…ていうか植田景子センセイ、確か留学後初仕事ですよね。
(あ、ラスパがあるか。まだ観てないけど)
留学した甲斐がありましたね。グッジョブ。
今まで景子ちゃんのお芝居に見られたようなタルさもなくなり、
すべてのキャストが、すべてのストーリーが、すべてのダンスが
有機的に絡み合って、素晴らしい作品に、
そしてとても宝塚の良さを活かした作品に仕上がってました(*T_T*)。

そんなわけで、まだこの舞台をご覧になっていない方は
このあとは読まない方がいいと思います。
そしてオサちゃん演じるヴィットリオとふーちゃん演じるアンリエッタ、
それから時代の異なるもう一組のカップルが
翻弄される運命の波に一緒に巻き込まれてください(*^ ^*)。

 

 

 

 

 

…そろそろいいかな?(笑)もう未見の人はいなくなったかな?

さて。
本当にこの作品が秀逸だなあと思うのは、
オサちゃん演じるヴィットリオ達の生きるイタリア統一戦争時代における
身分社会での差別と、
ゆみこちゃん演じるヴィットリオ・F達の生きるファシズム時代における
ユダヤ人に対する差別とを
宝塚の永遠のテーマである愛にうまく絡ませてあるところですよね。
しかもそれを一方的な「貧しい者(あるいはユダヤ)にも人権を!」という
勧善懲悪的な扱いではなく、
既得権益を得ている側の、
でも時代は移り変わることを見抜いている人の苦悩まで表していて。
その時代に生きる人々の、その立場ごとの生き方がまざまざと描かれていて
うなりました。

本当に人それぞれ、それぞれに共感できるんですよ。
ヴィットリオの手の早さにはちょっと笑いましたが(*>_<*)、
でも彼もアンリエッタの顔とか美しさとかだけじゃなくて、
ルソーを読んだりして新しい時代や世界を知りたいと考えている
彼女の聡明さに惹かれているのがよかったです。
それが描けるのは女性演出家だからなのだろうなあと思ったりして。
(それなのにそれを教えた父であるハッチさん…カヴァーレ公爵が
ヴィットリオとの結婚を認めないところはちょっと残念なのだけど、
それもまた理想と現実ということなのかな)

アンリエッタもとても進歩的な考えの持ち主で、
自分から誘っちゃうし(笑)、家の人に嘘ついて遊びに行っちゃうし、
ええ、頑張っているのですが、
でも最終的には時代や家に逆らえないという切なさがあって。苦しいね。
そしてふーちゃん、綺麗だったね(*T_T*)。

やっぱり私は根がエセプロレタリアートなので(爆)、
ニコラ(蘭寿とむ)やリカルド(愛音羽麗)たちの
自由を求める怒りというのは一番共感しやすく、
彼らの闘いのダンスでも涙していたくらいなのですが、
なにげに素晴らしかったのが(桜乃)彩音ちゃん演じるマチルダでした。
ニコラ達にさらわれてしまった彼女が、
最初は怯え、不安と猜疑心でいっぱいな、単なる「お嬢様」なのに、
ニコラの話を聞くうちに心を開いていき、
さらには啓蒙されていくのですよね。
政府軍がやってきて解放された時、
「彼らには法の裁きを受ける権利もないのか」と叫ぶ
ヴィットリオの声を聞きながら、
自分はどのように「いれば」いいのかと打ちのめされる彩音ちゃんの様子に
実は私、釘付けでした。
自分に何か少しでもできることはないかと探し、ネックレスを渡す…。
号泣です。
彩音ちゃん、お芝居上手くなったよ…(*T_T*)。
(なので、ヴィットリオを貴族社会に迎え入れたいと
ドンブイユ公爵が発表した時、
「ええ!?」とちょっと困った顔をされたのには、
うーん、と思ったりもしたのだけど。
あなた、いろいろ考えたんじゃありませんでしたっけ? って。
あそこでマチルダの生き方が変わったりしていたら
本当に素敵だと思うのだけどな。でも話の中心がずれちゃうか)

まあ、ヴィットリオがドンブイユ公爵の息子で、
貴族社会に迎えられて、という設定自体、
とてもありがちなシンデレラストーリーなんだけどね(^ ^;;。
ていうか、あんな風に友人を虫ケラのごとく殺されて、
それでも貴族社会に入りたいか? 断れ! と思ったりもしたけど、
ヴィットリオは元々、
世の中を変えるなら世の中枢に入っていかなければダメだと考えていた
ヒトだったからねえ。やっぱり目的のためにはね。
それに、萬さんもその時代には進歩的な考えを持っていた人だったわけだし。
うん、きっと世の中を変えていってくれるでしょう。 なあんて。

まとぶん演じるロドリーゴは逆に、
貴族であることにこだわり続けた人として成立してたし。
やっぱり時代の変貌期には、
その時代にこだわる人々(例:新撰組(笑))もいるわけで。
そしてそれはそれで美しさも全うして。
ラスト、立ち去る姿は凛々しかったです(*T_T*)。

そうそう、忘れちゃいけないのが子役ヴィットリオ(野乃すみ花)と
お母さんのフェリーチタ(華城季帆)。
お母さん、狂ってるのだけど、最期の瞬間だけは正気、なんですよね。
びっくりした。
ていうか、あんなの7歳で見せられたらそれこそ狂いかねない…(>_<)。
よ、よくお母さんの言うことを守って強い子になったね…(爆)。

ファシズム時代に生きる3人もそれぞれに懸命に生きてるし。
ジュディッタ(遠野あすか)の「生きててよかった!」は
ちょっとばかりアンドレ((c)ベルサイユのばら)の
「俺は今まで生きてきて良かった」を彷彿とさせてしまいましたが(爆) 、
でもやはり差別に苦しみながらも
アメリカという亡命先…新世界があったり、
エルヴィラ(梨花ますみ)は偏屈であっても二人を応援していたり、
といううっすらながらの時代の変化も垣間見えて、
それもすごいことだなと思いました。

政府軍にそれこそ虫けらのように殺されてしまったぺぺ(彩城レア)でさえも、
撃たれた後すぐに死んでしまうのではなくて「お腹がいたいよー!」と叫ぶ、
そういうような一人一人のリアリティが、
この作品の強みだと思ったです(*T_T*)。

さらに細かいところへのこだわりも景子ちゃんらしく見えましたね。
パンフレットの家族写真や、
赤シャツ隊と呼ばれていたガリバルディの部隊が
ちゃんと赤シャツを着て闘っていたりするような
分かりやすい時代考証もそうですが、
あ、と思ったのが、
ドンブイユ公爵がヴィットリオに向かって
「君は私の息子だ」と打ち明けるシーン。
公爵家の二階に飾られている絵が
ダ・ヴィンチの「受胎告知」(みたいな絵(笑))なんですよね。
もちろんイタリア貴族だからというのもあるんだけど、
村の娘と恋に落ちて子供をもうけ、みたいな話をしている後ろに
「受胎告知」が飾られている、というのは、
景子ちゃんのこだわりなんだろうなあ、という気がしましたです(*^ ^*)。

ああ、一回見ただけでこれだけ語れる、
それどころかもっと語りたいと思わせる作品に
年明けから出会えてよかったです。
景子センセイ、月組にもお話書いて…!(切望)

(というわけで、ツッコミどころはまた次回(笑))

『ASIAN WINDS!』

実は私、けっこう『アジアン・サンライズ』好きだったんです☆
オープニングの「エイサー」は何より明るく楽しく盛り上がるし、
「♪アジアのヤングは皆同じ!」も(笑)、
東京ではオサアサがおそろいの黄色いお衣装で線対称に並んで踊ってたのが
楽しかった(ついでに、暗転した後、
なぜかあさこちゃんがオサちゃんの手を繋いで捌ける姿を
いつも凝視してました(爆)) 。
まだこのHPも作ってなかったし、
公式なあさこファンではありませんでしたが(笑)、
でもとても楽しく何度か通ったことを思い出します(*^ ^*)。

今回「エイサー」再現ということで、それはそれは懐かしく。
やっぱりわくわくしますね〜このシーン☆
お衣装も一緒だし、オサちゃんの笑顔がまた最高で!

新しいシーンもいろいろ楽しかった(*^ ^*)。

中国のシーンでは聴かせるオサちゃんの歌にふるえ、
服部良一メドレー・チャイナタンゴでは
みわっちのチャイナドレス姿にはくはくし
(めっちゃ可愛え〜! モミアゲあるくせに!(笑))、
山寺の和尚さんではみわっちのにゃんまげポーズにきゅんとなり(笑)、
銀座カンカン娘では花娘ちゃん達の愛らしさに萌え
(とくに里音ちゃん〜! 好きや〜!)、
東京ブギウギではオサちゃんの深く暖かみのある、それでいて楽しげな歌に
わくわくしながら手拍子をし、
コリアンのシーンでは今度ソウルに行くための予習をし(爆)。

そして実はワタシ的に大ヒットだったのが
まとぶんのサンパギータだったのです(*^ ^*)。
星組にいたときからその骨太さに目を奪われていましたが、
今回1シーンを完璧に自分のものとして作り上げている姿にやられました。
かっこいいわ〜(*^ ^*)。

デュエットダンスは銀橋だけで終わると思ってなかったので
ちょっと残念でしたが(ふーちゃん最後なのに…)、
でもめちゃくちゃ楽しみにしていた津軽三味線ボレロが
ナマで観られて楽しかったです。あっという間だった〜!

初日ということでご挨拶もありました(*^ ^*)。
詳細はCSを観てくださいですが(手抜きでゴメン)、
オサちゃんが「華やかな花組が華やかに」という台詞を繰り返していて(笑)、
私は「二回言った!」とココロの中で突っこみつつ、
でも自分で可笑しくなっちゃったオサちゃんがとても可愛くて笑いました☆

この後1週おきにあと2回観る予定です(あら?)。
花会の皆さん、この寒い時期は大変ですが、
お風邪を引かないように華やかな花組の華やかな舞台で心を温めて
頑張ってくださいねえ☆

 fin