2005年11月3日 11:00開演
『 炎にくちづけを / ネオ・ヴォヤージュ 』
於 東京宝塚劇場

 
ガイチ(初風緑)のさよなら公演、
そしてたかちゃん(和央ようか)の退団発表のあった舞台。
どんな感慨が起こるものなのか、と思いながら
東京宝塚劇場に足を踏み入れました。

『炎にくちづけを』

怖かった……!

なにが怖かったって、作品そのものもだけど、
なにより最後の1ポーズ。
大砲がひっくり返って磔になったたかちゃんが現れた時には
「スタンバイしてるの、頭に血が上って大変だろうな」なんて
のほほん考えてたのに、
火あぶりになったたかちゃんと、その周りを取り巻く群衆たちの姿が
ライトアップされた瞬間。
…まるで、宗教画の地獄絵のようでした。
周りの一人一人、目を見開いたまま取ったポージングの怖さときたら、
思わずオペラグラスを膝に押しつけたほど。
怖くて観てられなかった。

でもね、ストーリー的には、私はアリでしたね。
怖かったけど。
これを大劇場で夏休みに子どもに見せるべきかと言われたら分からないけど。
相変わらずの直球な表現に苦笑もしたけど。
号泣もしなかったけど。
でもこれと某妖精物語とどちらに「通う」のが苦痛かと問われたら、
妖精さんだと思うもの(涙)。
『エリザ』の時もストーリー重くて一日二回観るのは辛かったけど、
それでも幸せだったもの。
(スイマセン、やっぱり今の一番の懸念はそれなんですわ(^ ^;;)

でもやっぱり怖いよねえ。
観る前にプログラムの解説を読んでいたので、
最後にお母さんが一番の重要人物だと分かる、ということを
念頭に観ていたのだけど、
そう来たか〜、と思ったですわ。怖かったですわ。
ただ、東京に来た時に、
最後に「マンリーコ〜〜〜!!」と叫ぶ台詞が追加になったとあったですが、
私はそれはいっそいらなかったかも、とも思ったり。
怖さ倍増だけどね(^ ^;;。
でも、その前の台詞を、私はその「マンリーコ〜!」のおかげで、
一瞬聞き違えたのかと思ってしまったのね。
そのホントの恐ろしさが弱まってしまったのかもしれないなあと。
それが宝塚のためにいいと言われればそうなのかもだけど。
難しいですね。

ていうか、私は学がないので分からないのですが、
この作品のもとである「イル・トロヴァトーレ」を、
きっとキリスト教徒であろうヴェルディさんは何を思って作ったのかが
とても気になったところでございます。
明確にキリスト教というか教会批判の作品を作って、
当時のヴェルディさんは大丈夫だったんでしょうか。
キリスト教徒の皆さんはどう思われるんでしょうか。
私の知り合いの、敬虔なキリスト教徒のおじさまは、
先日『ダ・ヴィンチ・コード』の話になった時に
「あれはすべて嘘っぱちだから」と言い切ってましたが。

そのほか気になったのは、以下の通り。

冒頭、マンリーコへの愛を切々と歌い上げるレオノーラが
イネスから「いつのまにそんなに想うように?」と問われていたことから
「どうしよう、この人、
あまり知らない人に対してこんなに萌えちゃってるの…?」
とふるふるしてたところに、
さらにイネスが一歩二歩引いて「♪不吉な予感が〜!」と言われ、
「引かれてる引かれてる!」と思ったあたりとか。
ついでにそのシーンのハナフサ様の手をぷるぷる震わす振付とか。

ガイチが最後の公演までナイフ(と呼ぶには大きい剣でしたが)を持って、
しかも負けてはいつくばっていたことに感慨を覚えたりとか。

四阿に突き刺さるバラの花とか。

ジプシーのくせにやけに美麗な格好を一人してるな吟遊詩人とか。

「ジーザスは嫌いじゃない」とかけっこう素敵な曲だと思うんだけど、
なぜか「♪俺たちゃ間抜けな衛兵隊」と思い出してゴメンと思ったりとか。

舞台の高いところで歌うガイチへのピンスポット、
ちょっと懐中電灯みたいとか(^ ^;;。
(でも歌はとても素敵だった…(*T_T*))

レオノーラ、毒を飲むの早すぎだろう、
せめてマンリーコを逃がしてからにすれば良かったのに、とか。

それを言ったら、自分の息子と間違えたマンリーコを
そのまま育て上げちゃうお母さんは凄い精神力の持ち主だとか。

………ていうか、ていうか一樹千尋さん、女だったのか!!!
(今回一番怖かったこと(爆))

『ネオ・ヴォヤージュ』

うーん。ゴメンね、私としてはこちらのほうが不満が残ってしまったです…。

構成、なのかなあ。
オープニングのちょっと奇抜な入り方が尾を引いたのか、
初見の私には不完全燃焼のまま終わってしまいました。

たかちゃんはもう本当に集大成だし、
ハナフサさんはもう本当に何者の追随も許さないし、
タニちゃんもたくさん出番があってそれぞれに輝いてるし、
素敵だったのだけど。

なんだろう、群舞の迫力があんまり感じられなかったのですね。
私の中で宙組って群舞団体というイメージがあって、
タカハナの二人を中心にガーッと踊ってガーッと燃えて
その大きさ、その迫力で客席を圧倒させる、ように思ってたのだけど。
そういう意味でちょっと残念。
2階席だったからかな、とも思うのですけどね。

ただ、その中で輝いて見えたのがあひるちゃん(遼河はるひ)。
アナタ、いつの間にそんなに色気のある男になってるの!(*>_<*)
ていうかタニちゃんより年上に見えるんですがどうなの!?

あと、ロケットボーイをやったT中くん(Hバー四ッ谷店店長)、
もとい凪七瑠海ちゃん。
あ〜ら大抜擢ね☆
お顔が小さすぎてちんまりしてみえるのがナンだけど、
ぜひ頑張って欲しいです〜〜。

…ていうかねえ、ガイチの扱い方に納得がいってないんですよね。結局。
タニちゃんが青年役でガイチがピアノ魔をやったシーンは
まあキャラに合ってたからいいとして、
フィナーレナンバー、あそこでたかちゃんと踊るべきはガイチじゃないの?
最後なのよ? 同期同士なのよ?
タニちゃんと踊った後、最後には来るかなと思って
ガイチの動きを見ていたら、
タカハナを残して下手に去っていってしまったときには、
「待って!」とシシィばりにガイチの方に手を伸ばしてしまったですよ。
おかげで頬をふくらませながらデュエットダンスを観ることに(^ ^;;。

エトワールでガイチの温かく柔らかな歌声を全身に浴びながら、
私は胸元に涙を落としておりました。
この歌声が聴けるのも、最後なんだ…(*T_T*)。

…ごめんなさいね、なんだか最近自分に余裕がないのか、
批判ばかりになってしまいました(^ ^;;。
今週末が千秋楽でしたよね。
公演はもう観られないけれど、
ガイチの晴れやかな笑顔を観に、日比谷まで行こうかな。

 fin