2003年1月21日 18:30開演
花組新人公演『エリザベート』
於 東京宝塚劇場

 
二回目のカーテンコールのとき、
私たちは思わず後ろの席の人たち(蘭トムくんファン?)に断って、
スタンディングオベーションをしてしまいました。
本当に、素晴らしい新人公演!!!

やっぱり作品の持つ力というのも大きいと思います。
でも、その作品に応えうる実力を出し切った舞台になったのではないでしょうか。
花組の下級生にはいい人材がいるなあ、と再確認した次第です(*^ ^*)。

まず蘭とむ(蘭寿とむ)トート。

全体の演出(植田景子先生が新公担当でした)が
どちらかというと宙組ver.に近いイメージもありましたが、
彼…もとい(笑)、彼女のトートの外見は、
鬘だけでなくまつげも青くてオサトートを踏襲した感じ。
でもやっぱり持っている雰囲気が違うので、
オサトートが「シシィしか見えない」という
視界の狭い一途なトートなのに比べて、
もっと余裕のあるトート像でした(*^ ^*)。
ルドルフに死の接吻をするときの「ニヤリ」があったし!
「反省」はなかったし!(笑)
何より、ルキーニにナイフを渡すとき、
ちゃんとルキーニを見て
手渡(すというより、ルキーニが奪い取ってた)してた!
ダンスもやっぱり上手いので、
『最後のダンス』は見応えがあった! 鳥肌が立ちました(*^ ^*)。
(一幕最後の「♪エリザベーーーーート!!……っ!!」と
息を呑むのはちょっと蛇足でしたが。
でもやりたかったんでしょうし、やるならやるで、
もうすこし「……っ!」のあとにライトが当たってる時間があって、
時間を止めることができたら
また印象も変わってきたのではないかと思います)

今後の課題はお歌かな。
今でも十分上手いと思うし(『ミルク』のとき、実声で上のミまで出してた)
基本的にとてもいい声をしてると思うので、
あとは下あごで歌う癖をなくせば、
かなり素晴らしいものになるのではないかと思われます(*^ ^*)。
ちょっとマリコさん的な歌い方になってた(^ ^;;。
母音で言うとアとかエとかオとか。
下あごで歌うとやっぱり音程も下がるしね。
それに感情がない感じの声になっちゃうのでもったいないな、と。
でもやっぱりスケールの大きい人だと思うので、
将来が楽しみです(*^ ^*)。

あすかちゃん(遠野あすか)のシシィ。
先週末に本公演の代役を経験、そのときにかなり誉められていたので、
最初のうちはちょっと期待しすぎてたかもしれません(^ ^;;。
少女時代のシシィは、そんなに生気にあふれた少女には思えなかった。
でもだんだんとよくなってきて
(代役公演を観た方に言わせると、最初は緊張してたっぽい)、
鏡の間の(品がどうのはおいといて)自信にあふれた表情はよかったし、
ドクトルゼーブルガーのシーンでの「私の命を奪うがいい!」には
涙ぐみかけた(*T-T*)。
昇天のシーンでは
(私は気づかなかったけど)両頬に涙の筋があったとのことですが、
でも、蘭とむ閣下と同じ幸せそうな表情に、
こちらまで幸せになりました(*^ ^*)。

今後の課題…というか、うーん、やっぱり可愛いんだけど、
私がどうしても好きになれない理由は口許にあるんだなあと思った今日でした。

まっつ(未涼亜希)フランツ。
――絶品!
彼女自身の持つ気品と気弱げな雰囲気がフランツにぴったりだった上に、
まっつがあんなに歌える人だったとは存じませんでした(*^ ^*)。
ゾフィにすべての権限を握られつつも自尊心を持った謁見の間の態度とか、
シシィに愛を告白するときのはにかんだ表情とか、
これが見たかったのよ! という感じ。
樹里ちゃんが悪いわけでは全くないのですが、
本公演で観たいな――3年後でいいから、本公演で観たい、と思わせました。

今後の課題は、役の幅、かな。
今回はとても彼女のニンに合ってたと思うので、
今後、たとえばルキーニ系の役などが来たときに、
一皮剥けられるかどうか、ですね。
でも単なる優等生では終わらない気もします(*^ ^*)。

そのか(桐生園加)ルキーニ。
私があさこ(瀬奈じゅん)ファンだからだと思うんですが、
いま一つはまりきれませんでした(^ ^;;。
もしかしたら冒頭の裁判官のシーンで口が回りきらなかったのが
その後にひびいたのかもしれない。
亡霊達の中を歩き回るときもちょっと棒立ちっぽく見えてしまったり、
なにもないところから歌を始めるときに3度上の音程から始めて
一瞬わやくちゃになってしまったり、
フランツとマデレーネのキスシーン、
二人がキスする前に写真を撮ってしまったり、
もうちょっと狂言回しとして全体が見えてると良かったなあ、と
思えてしまったんです。

でも、キッチュのときに1階下手客席から現れて、
1階SS席のお客様全体を「ほらほら笑って!」と写真に撮り、
「みなさん15歳の少女かと思いました」な〜んて言ってみたり(笑)、
「グランド アモ〜〜〜ルルレ〜〜〜!」と
あさこちゃんにはできない(爆)巻き舌を入れてみたり、
それこそ演じ方としてはわたるルキーニに近い感じでした(*^ ^*)。
基本的にそのかちゃんってとても骨太な実直なイメージだと思うので、
今後には大期待です!

みわっち(愛音羽麗)ルドルフ。
――単なるみわっちファンなのかもしれません(笑)。
結婚式やカフェのシーン、シシィの蘇るシーン(神父様なのよ!)など、
群舞にいるときから目に入ってきては
「おお、こんなところに」と気になっていたのですが、
ルドルフとして革命家達の新聞を読みながら出てきた後は
15分間、みわっち照準ロックオン(爆)。
可愛いお顔なのにあの太い声、そして困った眉にやられてしまいました。
ルドルフと言えばの、あのハンガリー独立運動シーンでの
アティテュードもとても素敵だったし!
ていうか、まっつフランツ皇帝にみわっちルドルフ皇太子なら、
国の娘達は幸せだよね〜〜(*^ ^*)。
私なら皇室本を買いあさることでしょう(爆)。

これであと少し身長があったり、お尻が女の子のお尻でなければ(笑)
完璧なんですが(^ ^;;、
でもあの華は天賦の才だと思うです(*^ ^*)。
蘭トムくんに最後のご挨拶で
「これからは愛音羽麗率いる下級生が頑張ってくれるので
安心して(新公を)卒業できます」とまで言ってもらったんだもん、
頑張らなくちゃね!

それから、一花(桜一花)ゾフィー。
見た目はやはり若々しさが出るため母親と言うより家庭教師のようでしたが、
でも地声で押し通せる強さがすごく良かった!  怖かったよ!(笑)
マダムヴォルフの直前のシーンで、
ラウシャー大司教の首根っこを掴んでるのが面白かった(*^ ^*)。

みつるくん(華形ひかる)エルマー率いる革命家達は、
やっぱり若さが前面に出過ぎてしまったかもですね。
シシィたちの一回目のハンガリー訪問の後で暴れる(笑)シーン、
そのへんの子ども達が遊び場所争いに敗れて八つ当たりしてるように
思えてしまったです(^ ^;;。
でもまあ、これからこれから。

七星きらちゃんのマダム・ヴォルフもなかなか素敵でした(*^ ^*)。
本公演でもソロあったりするよね。
お歌の人なんではないかと思います。
今後が楽しみ(*^ ^*)。
昼食会のシーンのラスト、
(距離は離れてたけど)かなり長〜〜〜〜いキスをルキーニの頬に送って
「ごちそうさま(*^ ^*)」という声の色っぽさに、
場内から笑いと拍手が起こってました。

マデレーネは花野じゅりあちゃん。
これはもう、ローザンヌに出たことがあるという噂の
のどかちゃん(舞城のどか)には敵うべくもありません。可愛かったけど。

のどかちゃんはヘレネでした(^ ^)。
コミカルに可愛らしく演じていたけど、
フランツが鹿の像のツノを撃ち折った瞬間のポーズが
「驚いた!」ではなく、そういう振りでした、という感じの
動きだったのがまったくもって残念(T_T;。
でもふと優里ちゃん(星奈優里)に似てるかも…と思ったワタクシです。

少年ルドルフには華城季帆ちゃん。
私は「子ルドには娘役がなってほしい委員会」(笑)に所属しているため、
娘役である彼女の配役は臨むところでした(*^ ^*)。
もう少し声量があるとよかったけどなあ。
でも可愛くてよかったです。

その他、女官の舞名里音ちゃんの姿勢がいいなあとか、
そんなことも思いつつ、
とても忙しい(あっちにもこっちにもオペラグラスを向けなくちゃならないから)
観劇でした(*^ ^*)。

カーテンコール、
新人公演最年長の蘭トムくんが主演の挨拶も兼ねてご挨拶しました。
胸がいっぱいらしく、とぎれとぎれに言葉を繰り出してました(*T-T*)。
以下、イメージ。本当にイメージです。言葉違っても許してね。
「本日は、花組新人公演『エリザベート』にお越し下さいまして、
本当にありがとうございました。
新人公演で『エリザベート』という素晴らしい舞台を演じることができ、
私たちは幸せです。
私自身もトートという役を演らせていただき、本当に幸せで…
幸せすぎて、さっきエリザベートを連れて昇天したとき、
私自身が昇天してしまいそうでした(笑)。
指導してくださった植田景子先生、スタッフの皆様、
上級生の皆様、本当にありがとうございました。
私たちは今回で新公を卒業しますが、
愛音羽麗率いる下級生がしっかりしているので、
安心して卒業していけます。
82期生…今日見に来てくれた沢樹くるみも含めて……
(涙ぐみ、場内から温かい拍手)7年間、本当にありがとうございました。
……(涙を振り切るように)湿っぽくなってしまいましたね!(笑)
――本日は、本当にありがとうございました!!」

2回目のカーテンコール前に、
それまで1階上手7〜9列目あたりに座っていた上級生が席を立っていきました。
あさこちゃんは茶色の(遠目にはコーデュロイ系に見えた)スーツに
白のロングマフラー。
オサちゃんは白いセーターに白いマフラー(ベージュの何か…よくわからない…
がついていた(笑))を着てました(*^ ^*)。
みどりちゃんは見えなかったけど、やっぱり療養しなくちゃね。

でも本当に完成度の高い新人公演で、
こちらまでとても胸がいっぱいになりました(*^ ^*)
思わず祝杯を挙げずに入られなくなって、
ルキーニカクテルを飲んでしまったです☆
幸せってこういうことを言うのだなあ。
(たとえ、このあと睡眠時間が5時間取れないとしても…(爆))

 fin