2006年1月9日 12:00開演
『 ベガーズオペラ 』
於 日生劇場

  
観劇三連休(!)の最後を飾るのは、日生劇場『ベガーズオペラ』。
18世紀のイギリスで大好評を得たというとても年季の入った(笑)、
でもとても新しい演出の、素敵なミュージカルでした。

舞台装置からして斬新なの。
オケピットのあたりからせり出した形に舞台があるかと思えば、
その両脇は客席になっていて一般客が座り、
しかもその後ろにはボックス席まであって、
まるでオペラ座のようなセット。
日生劇場の独特な重厚さとあいまって素敵な空間を作り出していました。

一般客が舞台上に座っていることからも分かるように、
とても観客参加型なお芝居(*^ ^*)。
開演前には舞台上に連れ出されてセットの準備をさせられたり、
舞台上のお掃除をさせられたり(笑)。
参加できた方々は楽しかったろうなあと思います。
でも私たちの座っていた二階席にも、
幕間にはアンサンブルの方が遊びに(?)来てくれたりしたので、
あんまり置いて行かれた感はなかったかも☆

ストーリーは、
宝塚ファンの方には花組『SPEAKEASY』の18世紀ロンドン版、
といった方が早いかもしれません。
ていうか、こっちが元ネタね。
基本的には「ベガーズ」=乞食の仲間たちが一日劇場を借りて、
そこで行う「オペラ」というか、風刺劇といったスタイルなのですが、
その役名や役どころが
女好きのスリのキャプテン・マクヒース(=マクフィス)だったり、
スリ達を取り仕切り、密告しては稼ぐピーチャムだったり、
その娘ポリーだったりといった感じでまったく知ったまま。
ああ、谷(正純)センセイは『SPEAKEASY』のときに
彼らをそのままシカゴに連れて行ったんだな〜と思うわけですね(笑)。

でも、そこで淋しくなってしまったのが、
よっぽどこちらのほうが風刺が利いていて訴えるものがあったコト(^ ^;;。
確かに両方とも、
「みんな踊ってくれ! シャノンのハッピーエンドを!」
…じゃなかった(爆)、
「オペラは喜劇と決まってるんだ!」と言って踊らせるわけなのですが、
この『ベガーズオペラ』では、
老役者からそう非難されて憤慨した演出家が
みんなに踊らせながらも
自分はある台詞を叫んで舞台から去ってしまうのですよ。
作品の一番のテーマだと思うので、ここでは書かないけど。
とても重い、そして実は今にも通じるであろう恐ろしいテーマに
私はその後踊り始める役者さんに向かって手拍子をしていいものか、
一瞬迷いました。
でも、だからこそそのリズムに乗って
恐ろしい時代の不安を吹き飛ばそうというパワーが
その曲にあることに気づいたのです。
本当のフィナーレに繋がるまでけっして笑顔ではなかったけれども、
でも手拍子によってそのテーマを受け留めることができたのでしょう。
某作品にそれくらいの強いパワーがあったらよかった…ね(^ ^;;。

役者さんは、もう東宝ミュージカル御用達の方々オンパレード☆
マクヒースを演じた内野聖陽さんは
あのミュージカル初舞台に比べると雲泥の差くらいに上手くなってるし、
ていうかいまだにあの初舞台と比べてゴメンというくらい聴かせるし(*^ ^*)、
ポリーの笹本玲奈ちゃんは最近東宝イチオシなんだろうな、
歌も上手くお顔も可愛く、
でもちょっと計算ちゃんな表情などもしてみせたりしてるし、
ピーチャムの高嶋兄は言うまでもナシみたいな
(でも首吊られた時は一瞬ルキーニに被った(^ ^;;)うまさだし、
ピーチャム夫人の森公美子はもう誰も敵わないし(笑)、
ルーシーの島田歌穂も健在だし
(でもポリーと並ぶとやっぱりお肌がちょっと…と思った(爆))、
その他の皆さんも本当に安定して、そしてすごい迫力で(*^ ^*)。
ラストの劇場を揺るがすような大合唱は素晴らしかったです!
思わず「ブラボー!」とか言っちゃいたいくらいでした(*^ ^*)。
本当にいい舞台でしたわ。

ボックス席に座ってる外国人のおじさまと(たぶん)日本人の男の子が
ずっと気になっていたのですが、
カーテンコールのときに分かりました。
この作品の演出家、ジョン・ケアード氏(*^ ^*)。
キャストから、そして客席からの大拍手を受けて大喜びし、
連れていた男の子を肩に担ぎ上げてました☆
ちょっと高すぎて怖かった(笑)。

fin