Studio Lifeの及川君(及川健)が出るというので、
Life好きのMさんに誘われて行ってきました(*^ ^*)
泉鏡花原作のこの作品、
不勉強な私は原作を知らないままに見てきたのですが、
一緒に観たMさんのお母様によると、
原作を知らない方がいろいろ比べなくて楽しめる、とのことでした。
それって『ベルばら』を
原作と宝塚と比べちゃって批判したくなっちゃうのと一緒かしら(笑)。
お話はねえ、難しかったね(笑)。
播磨の天守(のちのちの様子から天界と思われる)に獅子頭を守りながら住む
富姫(松坂慶子)のもとに、
猪苗代から妹の亀姫(及川健)が播磨守の首(小さな獅子頭)を
「おみや」に携えてやってくる。
そしてその首をサカナに宴を催しながら、
富姫が、「お返しに準備したんだけど、
あまりにも素敵なおみやを頂いたので恥ずかしくて
(というかもったいなくて、という雰囲気(笑))あげられない」と
言いながら見せる、青龍のかぶと。
亀姫は垂涎って感じなんだけど、
富姫は「他にもっとよいものを差し上げます」と言って、
下界の播磨守の鷹をひゅっ! と釣り上げておみやげに持って帰らせるのね。
そしてその後。
一人の男(富田靖子)が暗闇の中をおそるおそる伝ってくる。
誰! と見とがめられたその青年・姫川図書之助は、
自分は播磨守のもとにつとめていたけど、
播磨守自慢の鷹がいなくなってしまった罪を問われて切腹になるところを、
その鷹の行方を見届けてくれば許される、とされて、
天守に登ってきた、というの。
自分の罪を人になすりつける播磨守に憤り、
その職務を果たそうとする図書之助に惚れてしまった(笑)富姫は、
一瞬、帰したくない! と襲いかかるんだけど
(まさしく「襲いかかる」。富田靖子ちゃん、押し倒されてた(笑)) 、
結局、来た証拠になるでしょう、といって
さっき亀姫にあげなかったかぶと(実は播磨守の宝物を盗んで?いた)を
渡して帰らせるのね。そして、嘆きにくれる。
だけど。
その面を持って帰った図書之助、
今度は「かぶとを盗んだ謀反人」と糾弾され、
また天守に逃げ戻ってくる。
そして富姫が彼をかくまうことによって、
図書之助の「友人と呼んだ者(及川健)」が天守まで追ってくるも、
獅子頭の威力に追い返されてしまった。
ラスト、
獅子頭の威力のため(?)目が見えなくなってしまった富姫と図書之助、
抱き合いながら涙にくれるんだけど、
そこに現れた近江之丞桃六(野村萬)という仏師によって
目を開かれて、ハッピーエンド。
あらすじの説明だけでこんなになっちゃった(笑)。
キャストは、今のあらすじに出てきただけでもものすごい豪華キャスト。
だけど、本当に凄かったのは、今までに名前のない二人だった。
亀姫の乳母・茅野ヶ原の舌長姥役を演じた花柳寿南海。
日本舞踊のすばらしさはもとより、所作の美しさ。無駄のまったくない動き。
誰より、誰より美しかった。
…キケン(笑)。
ここで伝統芸能にハマったら、私、終わりだわ…と怯えるほど(笑)、
ほんとに素晴らしかったです。
終演後、Mさんとお茶をしながら、
彼女は14歳の少女もとてもはかなく演じられるよね、と話していました。
松坂慶子の14歳は見たくないけど、彼女の14歳は見たいわ〜って(*^ ^*)。
言ってみれば、北島マヤ!(笑)
きっと人形の役だって、石の役だってできちゃうんだわ!!
もう一人所作がよかったのが、
やっぱり亀姫のお付きで来た朱の盤坊役・麿赤兒。
彼も動きひとつひとつのインパクトがものすごかった(*^ ^*)。
でもね、その二人に守られてやってくる亀姫、及川君もとてもよかったの!
花道(本当の能舞台でやってるから花道があるのよ)を歩いてくる
横顔がとても綺麗で、
私達の後ろの席にいたおばさま方が「あの子、男の子なんですって、男の子」
と小声で囁いていたのがおかしかった。
たしか及川君、今年31歳…(笑)。
でも私自身、けっこうそれを忘れちゃってて、
富姫に対峙して口に出した最初の台詞が野太かったとき、
ちょっと衝撃を受けました。そういえば男だった…!! (笑)
もう一度、今度は男役として出てくるときには殺陣があったんだけど、
この身のこなしが、これもびっくりするほどよかった。
こんなに動けたんだ(失礼!)…って。
武士っぽいカッコをしていて、私はそれを見ながら
彼の沖田総司が見たいわ(*^ ^*) と思ったんだけど、
Mさんに「それには背が低すぎる」と一喝されちゃった(^ ^;;。
そ、それじゃ、前髪の惣三郎でも…!!!(笑)
男役といえば、富田靖子ちゃんの図書之助。
声は高いまま(松坂慶子より高かった)なんだけど、
実直な青年らしさがとても出ていてとてもよかったです。
それに比べて、私はう〜ん、と思ってしまったのが、
松坂慶子。
なんでだろう、なんか立ち姿が美しいと思えなかった。
みんなに言われる檀ちゃん(檀れい)の姿勢の悪ささえ
気にならない私なのに(笑)。
登場シーン、赤い鍔の大きな麦わら帽子をかぶり、
ヒョウ柄の単衣を羽織り、赤いシースルーのショールをその上に羽織り、
花道で顔を隠してポーズを取ったときに、
一瞬、マミちゃん(真琴つばさ)みたいな格好だわ、
と思ったのが、もしかしたら間違いかもしれない(^ ^;;。
その後の一連の、ちょっと古典的なしぐさ、踊り、言葉遣いが、
まったくもってう〜ん…と淋しくなるほどに思えてしまいました。
現代っぽさが匂っちゃうというか。
後半の、普通のお芝居っぽいところはよかったけどね。
でも、基本的には面白かった。
そうそう、TVカメラが入っていたの。NHKとかでやるのかな。
Mさんによると、カメラのせいか、演者のやる気がちがったそうです。
変わらなかったのは、花柳寿南海さん、麿赤兒さん、野村萬さん。
いつも一生懸命ってことなんだろうね〜(*^ ^*)。
今回の収穫は、花柳寿南海さんの美しさ、ということで。
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