あしたのジョー

 
 みなさんご存じのボクシング漫画の金字塔で、最近はタイプ練習用ソフトが好売れ行きですが、今回取り上げるのはスーパーファミコンソフトの「あしたのジョー」(1992年 発売元:ケイ・アミューズメントリース(株))です。
 
 このゲーム、どうもアーケード版(ネオジオ?)の家庭用移植だそうで、プレイヤーがジョーを操作して原作に沿って試合をしていくといった内容のボクシングゲームです。ジャンルで言えば格闘ゲームでしょうか、一人モードを選んだ途端いきなり試合開始で、その後も試合と試合の間のストーリーモードや幕間劇なんてものは対力石戦ステージクリア後とエンディングのみで他は一切なく、ただひたすら試合を重ねていくだけの、かなりシンプルでストイックな構成とも言えます。
 
 最初の2戦はボタンを適当に押しているだけでも勝てないこともないのですが、3試合目の対力石戦から異常に難しくなります。何も考えずに操作している限りはまず勝てません。対策を練ろうにも、考える間もなく瞬殺されることもザラで、3回だけのコンティニューも瞬く間になくなり、また一から何度もやり直すはめに陥ります。やっとこさ再び力石までたどり着いたと思いきや、また瞬殺をくらいまたまた最初から...。対戦相手ごとに変わるらしいジョーの”必殺パンチ”に望みを託そうと説明書通りに入力しても何も出ないわ、原作と違いソフト自体がマイナーだったせいか攻略本の発行やゲーム雑誌に特集記事が載った形跡もないわで、攻略法や裏技の存在すら確かめようもなく、ここで蹴躓いてサジを投げてしまった方も相当多かったのではないでしょうか?
 
 そんなマイナーなゲームを何故わざわざ取り上げたかというと、このゲーム、なにげに”クロスカウンター”(!)がとてもいい感じで繰り出せます。特別な入力ではなく、相手がストレート(もしくはジャブ)を打ってきたときにタイミング良くパンチ(Aボタン)を押せばいいだけなのですが、このタイミングの設定がとても絶妙なのです。それなりにシビアなため最初のうちはなかなか狙っては決められません。が、決して修得できないほど難しい訳でもなく、一度コツをつかむと面白いように決まりだします。そうなるともう病みつきです(笑)。
 さらに2試合目の対ウルフ金串戦では当然”ダブルクロスカウンター”(!!)および”トリプルクロスカウンター”(!!!)がしっかりと再現されており、これまたシビアなタイミング操作を要求されます。ウルフにクロスカウンターが決まると必ずダブルクロスを打ち返してきます。こいつをそのままもらうと大ダメージを食らうことになりますが、そこでそいつをさらに伝家の宝刀トリプルクロスで迎え撃つ訳です! 失敗すれば自分が大ダメージ、成功したならば逆にさらに倍のダメージ!とそれまでは感じられなかった意外な緊張感に魅せられて、このゲームがすっかりお気に入りになってしまいました。(笑)
 
 ほとんどの人のこのゲームに対する評価はあまり芳しくありません。グラフィックが一見お粗末に見えることも大きな要因でしょうが、でもそれだからか妙なところでさりげなくポイントを押さえた演出がなされていて、思わずニヤリとさせられたりもします。悪いとされてる操作性もやりこんでいくとそれなりにちゃんと調整がされてあることに気付きます。序盤戦の難敵力石ももちろん攻略できますし、ゲームクリアだって十分可能です。是非”クロスカウンター”の会得に挑戦してみて下さい。
 
追伸>対ハリマオ戦も面白いですよ?(笑)
−2001.4.26− 
 

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