工事担任者・デジタル三種受験記

資格の名称、手数料、担務等は当時の物であり現在は変更になっています。

工事担任者の受験票(ハガキのみ・会場の地図も無し) 左の裏面・写真を貼り付ける。
工事担任者資格者証(デジタル3種)

’99年の11月23日、東京は新宿区に有る早稲田大学理工学部に出かけた。以前から工事担任者(電話工事の資格)は弟がデジタル1種とアナログ2種を持っており、私も仕事では必要ないものの、趣味で必要と思い取得を思いたった。
工事担任者にはデジタル・アナログ総合種を頂点にアナログ1種〜3種とデジタル1種〜3種が有り、
デジタル種はアナログ3種(一般の家庭用と考えれば良い、1回線のみの電話回線工事)の範囲を含む。
数字の小さい方が上位になる。今回、私が受験したのはデジタル種の最下位に位置するもの。

電話工事そのものは必要が有れば弟に頼めば良いのだが、それでは進歩がないというもの。
アナログ2種(電話回線が50回線以下、内線は200回線まで工事出来る)やデジタル1種(デジタルに関する工事全般)は魅力が有るものの、電気通信の基礎等のレベルが高く一筋縄では行きそうにない。

とりあえず自分の家のを、いじる程度ならアナログ3種が有れば充分と思っていたところ、デジタル3種というのが新設され、アナログ3種とISDNの端末を接続する工事が出来るという。それと試験時間を見るとアナログ3種は午前中なのに対し、
(アナログ2種のみデジタル3種と同じ時間帯)デジタルは午後からの試験。私の場合、3日に1
回の夜勤が有るため3日に1回は夜勤明けで午前中の試験は間に合わない可能性が高いので、そういったリスクを避ける意味からもデジタル3種を受験することにした。
試験は年2回で受験料は種類に関係なく6,900円。
なお無線技術士および無線通信士(航空・3〜4級海上は除く)は通信技術の基礎が免除になる。

願書を出してから気がついたのだが、例年この時期は職場で電気設備の法定点検が有り、日曜はその最終日でもあり休むなんてとんでもないのである。
これはダメだと諦めかけ、殆ど勉強する意欲も無くなったころに法定点検
が1週間ズレるとの情報が入ってきて、急遽受験に方向転換。

とりあえず問題集や参考書を買いに行ったが、歴史の浅い資格のせいか(デジタル3種)殆ど無い。
地元の書店で手に入ったのは「電波新聞社」で出している「工事担任者 デジタル3種受験マニュアル」と「東京電機大学」で出している「合格精選400題 デジタル3種 工事担任者試験問題集」(1,900円+税)くらいのもの。

公害防止管理者(水質四種)の受験後から勉強を始めたこともあり、とりあえず時間の掛かる「電気通信術の基礎」から勉強を始め、次いで「法規」。一番馴染みの無い「端末接続技術」については最悪は次回と思って勉強。
問題集は同じ物を二冊購入し、家と会社の両方で勉強した。電波新聞社のは解説が主で例題がついており、勉強するためのもの。
ただ法規は条文の後に解説が付いているのだが、レイアウトが私には今一つ使い勝手が悪く感
じられた。
ただ、終わった後も基礎を学ぶための参考書として手元に置いておくのは良いだろう。

東京電機大学のは問題と解答、簡単な解説がついているため私のように時間が取れない場合に手っとり早く勉強するにはもってこい。
その他としては基礎を学ぶために東京電機大学発行の「アナログ・デジタル通信技術の基礎」
を数年前に購入していたが、これにはルート計算の方法等も解説されているので興味が有る人や上位資格をも視野に入れている人にはお勧めかもしれない。

接続技術は当然ながらデジタル関係が大半のため、以前に買ったアナログ三種の問題集では殆ど役に立たず。
難しいのはベースバンド信号の方式。AMIだとか単流、複流、RZ、NRZ等と普段は縁の無い問題だけにチンプンカンプン。
それ以外にも判らないことばかり。

10月末になって受験票が届いたが、それを見るとハガキが1枚だけ。写真とかどうするのだろう? と思ったら、裏に貼って持って行くのだ。
しっかりしているなあ...しかし、会場の地図が書かれておらず自分で確認しなければ
ならないのは不親切。

そんな訳で一度だけ会場の下見に行った。会場は新宿区に有る早稲田大学の理工学部で、埼京線で池袋に出、そこから山手線で2駅の高田馬場で下車。
徒歩12分と書いてあるが、実際にはもう少し掛かった気がする。

試験の前日は夜勤明けで寝た後、深夜の2時まで1夜付け?で勉強。当日は7時過ぎに起き、軽くメールのチェックをした後で12時25分までに集合とのことなので、12時を目標に10時16分発の池袋行きに乗る。
上野行きの
だと大宮か赤羽で乗り換えねばならないので億劫なため、池袋まで直通のを選んで乗った。
電車は空いており座
って問題集を広げ昨日勉強出来なかった所を勉強する。

高田の馬場駅を降りて歩いて行くと午前中アナログの試験が終わったと思われる人達がゾロゾロと歩いてくるのでその方向に向かって歩いて行くと地図は要らない。

会場に着くと、門の所で係の人が受験票を確認しているので、慌ててカバンの中から受験票を出して見せ、中に入る。
教室に着いてみたら11時50分ころだが、まだ入ることは出来なかった。

私の受験する教室の54号館は正門から入って右奥の方だった。3階の301教室。12時を過ぎて入ると席は受験番号順で指定されており私の席は真ん中の列の後ろの方だった。
人数は何人くらいだったろう? 数えてはみなか
ったが、50人以上は居た気がする。

12時25分になって試験官から受験上の注意が有り、解答用紙、問題用紙が配られるが用紙を配っている際に駆け込んできた人が二人ほど居た。

解答用紙に受験番号・氏名・生年月日を記入しマークシートを塗りつぶす。
12時40分、試験開始。
解答を書こうと思って?? 解答欄が番号ではなくアイウエオになっているのだ。

よくよく見ると問題の番号は数字でなくアイウエオ順なのだ。今まで無線・電気・ボイラー・運転免許等の試験を受けたが、この手の解答方式はお目に掛かった記憶が無く戸惑ってしまった。

時間は3科目で120分だが、科目免除の有る場合は1科目につき40分の持ち時間のため、1科目だと40分で終了。
2科目なら80分になる。面倒な基礎の計算問題は後まわしにし、とりあえず判る問題から解答していく。

一段落して時計を見ると20分。それから面倒な計算をやる。特にインピーダンスの計算はルート計算が有るため面倒。
普段は電卓で計算のため手計算だと厄介。技術も解答に悩む問題が多い。単に勉強不足なだけかも?

問題は基礎が21問・技術が20問・法規が20問だった。
自己採点では基礎が20/21問、技術が14/20問、法規が18/20問で何とか合格ラインに乗ったもようで一
安心。

基礎問題は合成抵抗を求めるもの。抵抗とコイルが直列に接続されている回路のインピーダンスを求めるもの。
平行する電線に互いに逆方向の電流を流した場合に働く力の方向。コンデンサの容量を減らす方法。
周囲温度が上がった場合のダイオードの抵抗の変化。可変容量ダイオードの性質。トランジスタの接地方式。
増幅回路の接地方式で最も増幅度の大きいもの。トランジスタのエミッタ電流を求める。論理回路のJISのシンボルを答えるもの。
ブール代数を求める。(これは最初からやる気も無く×)論理回路に関するもの2題。電気通信回
路における損失・利得を求める。
漏話に関するもの。インピーダンス変換に使用する機器を答えるもの。無限長の
回路におけるインピーダンス。
周波数変調の説明。雑音に関するもの。デジタルの標本化に関するもの。光ファイ
バの性質に関するもの。 

技術はベースバンド信号の方式に関するもの。プロトコルに関するもの。(これは×)、伝送方式に関するもの。
HDLC手順に関するもの。同期方式を答えるもの。(2問とも×)、ISDNのデータchの速度に関するもの。
ISDNのラインビットレートを答えるもの(×)。ISDNの網インターフェースの参照点を答えるもの。(×)、ISDNのパケット通信のレイヤ2のプロトコルに関するもの。
ISDNのテレサービスを答えるもの。ISDNの端末の識別子を
答えるもの。
ISDNのフレーム構成を答えるもの。ISDNのLAPDのデータリンクを答えるもの。ISDNの情報転送
モードに関するもの。
ISDNの基本呼制御シーケンスに関するもの。接地抵抗に関するもの。避雷器に関するもの。

絶縁に関するもの。網制御装置に関するもの。(アナログ回線とデジタル回線を間違え、×)、端末とTAの間の参照点を答えるもの。 

法規は電気通信に関する条文の正誤。第1種電気通信事業者の設備に関するもの。電気通信役務に関するもの。
電気通信設備に関する条文の正誤を問うもの。(×)端末設備の接続の技術基準に関する条文の正誤。
工事担任者の要否に関する条文の正誤。デジタル3種の工事担任者の範囲に関する条文の正誤。工事担任者の資格者証の再交付に関する正誤。
(氏名が変わった際は再交付ではなく訂正なのを勘違いして×)

有線電気通信設備の定義に関するもの。絶縁電線の定義に関するもの。直流回路に関する定義。端末設備の機密の保護?に関するもの。端末設備の鳴音(ハウリング)に関するもの。端末設備の電源・筐体の絶縁抵抗に関する規定。
端末設備の接地抵抗に関する規定。アナログ電話の直流回路に関するもの。アナログ電話のプッシュ
回線?のダイヤル信号に関するもの。直流回路の直流抵抗の規定。移動電話端末の発信機能に関するもの。
総合デジタル通信端末の発信機能に関するもの。

合格ラインは各科目とも60点以上とのことで、科目合格有り。合格した科目については2年間有効。
試験に関する問い合わせは「財団法人日本データ通信協会」まで。


これは受験に使用した問題集

12月21日に上記のホームページに結果が発表になり、合格だった。その後、12月25日に申請書の同封された合格通知が届いた。
申請料は1,850円で郵便局で振り込む。
他に必要な物は写真(受験票に貼った物と同じ物を1枚)と住民票や戸籍抄本等の身分を証明出来る書類。
(直接、協会の窓口で申請する場合は運転免許証を見せて、コピーを提出すればOKとのこと)

その後、平成12年の1月14日に、1月11日付で資格者証が届いた。同じ郵政省の管轄では有るが、送ってきた封筒の宛て名書きはタックシールに印刷されていた。
(無線従事者だと申請者が手書きする)

その後、平成12年の4月に会社で仕事中、車の免許証と一緒に持ち歩いていたら落としてしまい、無線従事者の免許の再交付申請書は出すところも書類の入手も判るのだが、
(アマチュアはJARLが申請書類を出しており、ハ
ムショップで入手可能だし、特殊無線技士や通信士・技術士関係は電気通信振興会で入手可能)
工事担任者は判
らず試験を行った所に聞いてみたところ、再発行は郵政省だと言って紹介された所に電話して聞いたら「電気通信監理局」だった(^^;)
現在は総合通信局に名称が変わっている。

再交付申請書は電気通信監理局の「電気通信事業課」宛に返信用切手を貼った封筒を同封して請求すれば無料で送ってくれるとのこと。
その際に資格者証の資格・番号・交付日等が判るメモを同封してくれとのことだった。

(担当は「電気通信部電気通信事業課」)

4月21日に再交付申請書が届いたが、見るとコピーした用紙だった。
手数料は1,350円で収入印紙で納める。必要な物は写真2枚(縦3cm×横2.4cm)と住民票等の公的な住所・氏名を証明出来る書類。(再交付だから、不要な気もするのだが??)

平成12年4月25日、一陸特(第一級陸上特殊無線技士)と同じ日に申請したが、届いたのは数日後の平成12年5月18日だった。(発給は5月16日付)

なお平成17年8月から法が改正されデジタル三種はDD三種に相当するようだ。
しかしながらDD三種ではアナログ回線の工事は出来ないのに対し、デジタル三種はアナログ回線(1回線のみ)の工事も可能となっている。
そのためDD三種相当ではあるが従前のデシタル三種の工事の範囲内での工事も可能。

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