ボイラー技士


この内容は私が取得した頃の話で現在は変わっている可能性も有りますので参考程度に...

一定の大きさ以上のボイラーを扱うには危険防止のためボイラー技士の資格が必要となる。

ボイラー技士には特級から一級,二級の三種類が有る。但し最初に受験出来るのは二級のみで、最初から特級や一級を受験することは出来ない。
上級を受験するには実務経験が必要なのである。しかも「身体または精神の欠
陥により免許に係る業務につくことが不適当であると認められる者。
免許を取り消され、その免許の取り消しから
1年を経過しない者。
満18歳に満たない者。」は免許が与えられない。

二級から一級を受けるには2年以上の経験が必要で、さらに一級から特級を受けるには5年の経験が必要で、これらは小型や簡易ボイラーを扱った期間は含まない。
しかも暖房用のボイラーの場合は1年を6ケ月として計算す
る決まりが有るため、私の場合は最低でもボイラー主任として2年以上,通常であれば4年以上の経験が無いと一級は受験出来ない。

ボイラーはボイラー技士の免許を持っていないと取り扱いが出来ないが、一定の大きさ以下の物は「日本ボイラー協会」で実施する「ボイラー実技講習」を受講すれば免許を持っていなくても良い。
これらの条件については法律(労働安全衛生法)で決められている。

 

参考までに「労働安全衛生法施行令」による、免許が無くても取り扱える、小型ボイラーとは
イ.ゲージ圧力1Kg毎平方cm以下で使用する蒸気ボイラーで伝熱面積が1平方m以下の物または銅の内径が
300mm以下で、かつ長さが600mm以下のもの。

ロ.伝熱面積が3.5平方m以下の蒸気ボイラーで大気に開放した内径が25mm以上の蒸気管を取り付けたものまたは水頭圧が5m以下で、かつ内径が25mm以上のU型立管を蒸気部に取り付けたもの。

ハ.水頭圧10m以下の温水ボイラーで伝熱面積が8平方m以下のもの。

ニ.ゲージ圧力10Kg毎平方cm以下で使用する貫流ボイラー(管寄せの内径が150mmを超える多管式のものを除く)で伝熱面積が10平方m以下のもの。
    (気水分離器を有するものにあっては、当該気水分離器の内径が300mm以下で、かつ、その内容積が0.07立方m以下のものに限る。)

(注,単位のm,cm,mmは条文では「メートル」、「センチメートル」、「ミリメートル」の記述であるが、見やすいよ
うに私が書き直している)
上記よりも小型の物は「簡易ボイラー」と呼ばれ、当然ながらこれも免許(資格)は不要である。
 

二級ボイラー技士で取り扱えるボイラーはというと、伝熱面積25平方m以下である。
ただし貫流ボイラーの場合は
伝熱面積に10分の1を乗じて得た値を当該貫流ボイラーの伝熱面積とする。

なお一級以上の免許を持った人がボイラー主任として居れば、その監督下においては自分の資格以上でも主任の資格の範囲内のボイラーを取り扱うことが出来る。

ボイラー技士の試験については「日本ボイラー協会」で行う「ボイラー実技講習」を受講してから受験するのが一般的である。(他にも受験資格を得る方法は有るが条件としては難しい)

講習は3日間、連続で行われ1日でも欠席すると無効。もっとも私が見た限りでは出席はしてても寝ている人間が結構、見受けられたが...
私の場合、住んでいるのは埼玉であるが勤務先が群馬のため講習は高崎で受けた。

講習費用は1万くらいで、他にテキスト(構造、法規、取り扱い、ボイラー図鑑)が必要。

この講習は受験資格を得るための講習であり、主としてボイラーの構造や取り扱いについての講習である。
最後の日は実際にボイラーを使っている事業所を見学して終了証書が貰える。
なお終了証書は再発行しないので
紛失しないようにしなければならない。
受験願書もボイラー協会で販売している。

これ以外に受験対策としての講習も有るので自信の無い人は受けてみるのも良いかと思う。

終了証書は原則として事業主の証明が必要だが、これが難しい場合には労働基準監督署やボイラー協会で証明を貰うことが出来る。
私の場合は事業主が不在がちで、受験申請までに間に合わないと困るので前橋に有るボイ
ラー協会の群馬支部に出向いて証明して貰った。

受験申請時には、この終了証を添付しないとダメなのである。不合格になった場合は次回の受験申請時に試験結果のハガキを添付することで、終了証を提出した証明となり合格まで有効となる。

受験申請もボイラー協会が代理で受け付けており、前橋まで持参した。(郵送は不可だが代理人は可)
この時には印鑑と、身分を証明できる書類(生年月日を証明できるもの、運転免許証等)が必要。

試験は前橋の工業高校で行われたが、原則は千葉の市原に有る試験場であり、前橋等の地方は年に一回程度、出張試験が有る。試験内容は「ボイラーの構造に関する知識」,「ボイラーの取り扱いに関する知識」,「燃料及び燃焼に関する知識」,「関係法令」の4科目で、
各科目とも60点以上なら問題無く合格だが、他の科目が60点以
上でかつ一科目だけ40点以上でも可。
(たとえば構造以外が60点以上取っていて、構造が40点でも四科目の平均が60点以上なら合格なのであるが、逆に他が70点以上で平均が60点以上でも、
一科目が40点に満たない場合は不合格という、ちょっと分かりにく
い点の配分である。
私の場合、構造が50点くらいで少し焦った)

試験時間は3時間だが、1時間程度で終わってしまい帰ってきた。
(一級は1日掛かり)

問題用紙は持ち帰りが出来ないため、答え合わせは記憶に頼るしかない。
受験に際して感じたことは「問題集」だけではダメで講習で使用した教科書を全部読んでマスターしておかないとダメということ。
そのため、「燃料」では勉強しなかった「ガス」の関係が出て答えられなかった。

その他、「法規」でも「検水コック」の数を間違ったりと、うろ覚えでミスをした。
問題集は「ボイラー協会」で出してい
る物が出題確率が高いとのことである。

結果はハガキで送られてくるが、免許の申請には、この合格通知のハガキを添付しなければならない。無線等、他
の試験であれば合格通知は添付しなくても良いのが、コピーでも取って残しておかないと記念にならない。

免許の申請は郵送で可だが、免許証の返送用に書き留め料金を払った返信用封筒を同封する必要が有る。
免許自体はカードサイズで一週間程度で届き、随分と早いのに驚いたものである。
(無線等だと1ケ月くらい掛かるので..)

発給者は千葉県労働基準局長で、「労働安全衛生法」に定める各資格の欄が有り、当該資格の所に”1”が記入される。
ただし上級の免許を取った場合は以前の免許証は返納して新しい免許証に書き換えとなり、当該資格も
例えば「二級ボイラー技士」から
「一級ボイラー技士」になった場合は、資格欄は二級の”1”が消え、一級の欄に
”1”が記入されるので、運転免許のように”1”が全て記入されることは無い。

参考までに私が職場で扱っていたのは暖房用の鋳鉄製温水ボイラーで、伝熱面積は24.3平方mだった。
(平成13年の春で撤去し、資格の要らない温水ヒーターに入れ換えとなってしまったため)

これが2台有ったため、実際には1台ずつ交互運転だったが伝熱面積の合計だと25平方mを超えるためボイラー 主任は一級の人が選任されていた。


ボイラー技士の免許証 

ボイラー実技講習等は日本ボイラー協会のページを参照

ボイラーの試験については安全衛生技術試験協会のページを参照。

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