著作権について
以前はソフト作成の真似事等していたため、著作権については社内教育等で煩く言われたものである。

ソフト(コンピュータープログラム等)については近年、「知的財産権」等ともいわれている。

昨年頃、個人的に著作権について勉強する気になり「一橋出版」という所で出している「著作権法の解説」という、小冊子を購入した。(千野直邦・尾中晋子 共著 1996年12月1日 新訂版第8刷 価格680円)この本は法令のみならず、過去の判例を含む解説が載っており実務に役立つ。

この本によると、著作権については明治二年に「出版条例」が公布されたのが始まりのようである。
その後、明治十九年に「登録制度」となり、明治三十二年に「旧著作権法」が公布され、その後昭和四十五年に現行の「著作権法」が公布され現在に至っている。

全文を掲載するのは読むのも、書くのも大変なので身近な部分だけ抜粋した。
興味の有る場合は全文を掲載しているページも有るので検索等で調べて参照してほしい。
カラーで書いた部分については私がコメントした部分である。
 

著作権法
[目的]

 第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。
 

[定義]

 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 
  一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

   2 この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。

   3 この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。

   4 この法律にいう「写真の著作物」には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含むものとする。
  
   8 この法律にいう[貸与]には、いずれの名義又は方法をもってするかを問わず、これと同様の使用の権原を取得させる行為を含むものとする。
 

  二 著作者 著作物を創作する者をいう。
 
  五 レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音をもっぱら映像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。

  六 レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。

  七 商業用レコード 市販の目的をもって製作されるレコードの複製物をいう。

   十の二 プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。

  十の三 データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を
        用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

  十一 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
 

  十二 共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であって、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。
 

  十五 複製、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること。(*以下 略)

 
[著作物の公表]

第四条
  4 第十二条の二第一項に規定する著作物は、第二十三条第一項に規定する権利を有する者又はその許諾を得た者によって、公衆からの求めに応じ有線送信の方法で公衆に提示される状態に置かれた場合には、公
      表されたものとみなす。

   *インターネットは「有線送信」に該当するそうである。
 

[著作物の例示]
 第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。

  一 小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物

  二 音楽の著作物

  三 舞踊又は無言劇の著作物

  四 絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物

  五 建築の著作物

  六 地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
    (*関係する法は「測量法」の第四十三条)
 
  七 映画の著作物

  八 写真の著作物

  九 プログラムの著作物

2 事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
*これについてはある新聞社の見解?(「著作権」)によると殆どの場合、該当せず「著作権」を有するとか?

3 第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログ
 ラム言語、規約及び解法に及ばない。
  この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。

  一 プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。

  二 規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。

  三 解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組み合わせの方法をいう。

   

[編集著作物]

 第十二条 編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する。

 2 前項の規定は、同項の編集物の部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
 

 第十二条の二 データベースでその情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するものは、著作物として保護する。

 2 前項の規定は、同項のデータベースの部分を構成する著作物の著作者の権利に影響を及ぼさない。
      

[権利の目的とならない著作物]

 第十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。

 一 憲法その他の法令

 二 国又は地方公共団体の機関が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの

 三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続きにより行われる
  もの

 四 前三号に掲げるものの翻訳及び編集物で、国又は地方公共団体の機関が作成するもの

*[国等が作成した翻訳物等についての経過措置]
 附則第三条 新法第十三条第四号に該当する著作物でこの法律の施行の際現に旧法による出版権が設定され
 ているものについては、当該出版権の存続期間内に限り、同号の規定は、適用しない。
 

[著作者の推定]

 第十四条 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名]という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下[変名]という。)として周知
 のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作者と推定する。
 

[職務上作成する著作物の著作者]

 第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公
表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等と
する。

 2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者
  は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
 

[著作者の権利]

第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」
という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。

2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。
 

[著作権の具体的な内容]

1.複製権

2.上演権・演奏権

3.放送権・有線送信権

4.口述権

5.展示権

6.上映権・頒布権

7.貸与権

8.翻訳権。翻案権

9.二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
 

[氏名表示権]

 第十九条 著作者はその著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名
若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

 2 著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作権につきすでに著作者が表示しているところに従って著作者名を表示することができる。

 3 著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。
 
 
 

[同一性保持権]

 第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変
更、切除その他の改変を受けないものとする。
 
 2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。

  三 特定の電子計算機においては利用し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において利用し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必
   要な改変。

  四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変。
 

[複製権]

 第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
 

[放送権、有線送信権等]

 第二十三条 著作者は、その著作物を放送し、又は有線送信する権利を専有する。

 2 著作者は、放送され、又は有線送信されるその著作物を受信装置を用いて公に伝達する権利を専有する。

 *インターネットでホームページを公開するのも含まれる?
 

[貸与権]

 第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあっては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

*[書籍等の貸与についての経過措置]
 附則第四条の二 新法第二十六条の二の規定は、書籍又は雑誌(主として楽譜により構成されているものを除く。)の貸与による場合には、当分の間、適用しない。
 

[翻訳権、翻案権等]

 第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

 附則第八条 この法律の施行前に発行された著作物については、旧法第七条及び第九条の規定は、なおその
効力を有する。
 
 

[私的使用のための複製]

 第三十条 著作権の目的となっている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とする場合に
は、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製するときを除き、その使用する者が複製することができる。

2 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機
  能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であって政令で定めるものにより、当該機
  器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であって政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の保証金を著作権者に支払わなければならない。

  *インターネット上は「私的使用」とは言えないそうである。

[自動複製機器についての経過措置]

附則第五条の二 新法第三十条第一項及び第百十九条第二項の規定の適用については、当分の間、これらの
規定に規定する自動複製機器には、専ら文書又は図画の複製に供するものを含まないものとする。
 
 

[図書館等における複製]

 第三十一条 図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で
定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。

 一 図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後
  相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個々の著作物にあっては、その全部)の複製物を一人につき一
  部提供する場合。

 二 図書館資料の保存のため必要がある場合。

 三 他の図書館等の求めに応じ、絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料
  の複製物を提供する場合

*図書館資料の複製が認められる図書館等については「著作権法施行令」で定められているが、ここでは省く。

 

[引用]

 第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。

 *このあたりも何処までが正当な「引用」の範囲か判断が難しいようである。
 

[翻訳、翻案等による利用]

 第四十三条 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該各号に掲げる方法により、当該著作物を当該各号に掲げる規定に従って利用することができる。

 一 第三十条第一項又は第三十三条から第三十五条まで、翻訳、編曲、変形または翻案

 二 第三十一条第一号、第三十二条、第三十六条、第三十七条、第三十九条第一項、第四十条第二項又は前
  二条 翻訳
 
 

[出所の明示]

 第四十八条 次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に
応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。

 一 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)第三十七条、第四十二条又
は第四十七条の規定により著作物を複製する場合

 三 第三十二条の規定により著作物を複製以外の方法により利用する場合又は第三十五条、第三十六条第一
項、第三十八条第一項、第四十一条若しくは第四十六条の規定により著作物を利用する場合において、その出所を明示する慣行があるとき。
 
 

[保護期間の原則]

 第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。

 2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあっては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。
 

[無名又は変名の著作物の保護期間]

 第五十二条 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、存続
する。
 ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過していると認められる無名又は変名の著作
 物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。

 2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。

  一 変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき。

  二 前項の期間内に第七十五条第一項の実名の登録があったとき。

  三 著作者が前項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表した
    とき。
 

[保護期間の計算方法]
 
 第五十七条 第五十一条第二項、第五十二条第一項、第五十三条第一項、第五十四条第一項又は第五十五
条第一項の場合において、著作者の死後五十年又は著作物の公表後五十年若しくは創作後五十年の期間の終
期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の
翌年から起算する。

 附則第二条 改正後の著作権法(以下「新法」という。)中著作権に関する規定は、この法律の施行の際現に改
正前の著作権法(以下「旧法」という。)による著作権の全部が消滅している著作権については、適用しない。

 2 この法律の施行の際現に旧法による著作権の一部が消滅している著作物については、新法中これに相当する著作権に関する規定は、適用しない。

 附則第七条 この法律の施行前に公表された著作物の著作権の存続期間については、当該著作物の旧法に
よる著作権の存続期間が新法第二章第四節の規定による期間より長いときは、なお従前の例による。
 
 

[著作権の譲渡]

 第六十一条 著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。

 2 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
 

[著作物の利用の許諾]

 第六十三条 著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる。

 2 前項の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を
  利用することができる。

 3 第一項の許諾に係る著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない。

 4 著作物の放送又は有線放送についての第一項の許諾は、契約に別段の定めがない限り、当該著作物の録
  音又は録画の許諾を含まないものとする。
 

[著作権の登録]

 第七十七条 次に掲げる事項は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。

  一 著作権の移転(相続その他の一般承継によるものを除く。次号において同じ。)又は処分の制限。

  二 著作権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅(混同又は著作権若しくは担保する債権の消滅によるものを除く。)又は処分の制限。
 

[プログラムの著作物の登録に関する特例]

 第七十八条の二 プログラムの著作物に係る登録については、この節の規定によるほか、別に法律で定める
ところによる。
 

[名誉回復等の措置]

 第百十五条 著作者は、故意又は過失によりその著作者人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、
又は損害の賠償とともに、著作者であることを確保し、又は訂正その他著作者の名誉若しくは声望を回復する
ために適当な措置を請求することができる。
 

[罰則]

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 著作者人格権、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(第三十条第一項(第百二条第一項において
 準用する場合を含む。)に定める私的使用の目的をもって自ら著作物又は実演等の複製を行った者を除く。)
 
二 営利を目的として、第三十条第一項に規定する自動複製機器を著作権、出版権又は著作隣接権の侵害と
 なる著作物又は実演等の複製に使用させた者

*「著作権法」で処罰されるのは「故意」だけで、「過失」や「未遂」は含まれないとのことだが、「国外」の行為についても処罰されるとのことで注意が必要。この他に民法上で「名誉棄損」や「損害賠償」を請求される可能性も有る。なお「親告罪」とのことで、被害を受けた者が告訴しない限りは刑罰にはならない。

なおコンピュータープログラムや音楽テープ等の不正コピーや海賊版等を知りながら使用した場合は、使用した者も「著作権侵害」となるので注意すること。

パソコンに戻る

最初に戻る