TS−570使用記

 

1997年10月25日、夜勤明けで帰ってきたらハムショップから売り出しのハガキが届いており、前から買おうか迷っていたTS−570の中古の店ズレが11万5千円で出ているので見に行く。

物自体は悪く無いが10W機というのが一寸ネック。昔の10Wしか出せない時代なら喜んで買うところだが、50W まで免許を貰っている人間には不満が残る。
50W機が無いか聞いたら置いてなくて100W機なら有ると言う。
100W機を移動用に改造して50Wに低減すると技術基準適合に合わなくなるため申請手数料が高くなるのと、送信機系統図という書類が増えて面倒なので迷ったが、結局100W機のSタイプを買ってしまう。

その後、この件(技適の件)について下の「570S使っています。」さんより下記のような情報を頂いた。
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TS-570Sには改造ではなく最初から内部に 50Wの切り替えスイッチがありますので技適(技適シールの番号を書く>だけ)で50Wの免許が下ります。
もちろん電管に直接できます。
(ただし100Wも操作できる2級アマ以上の免許が必要です)この方法で(直接電管に)関東、東海、九州の免許をもらっています。
説明書にも50Wの切り替え方法が書かれています。
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引用終わり

考えてみたら、このリグを使う前は25W機を100Wに改造して更に内部スイッチで50Wにして免許を受けていた
そのため、本来は25Wの物を100Wに改造した時点で技適の対象から外れてしまった事になるわけで、その関係で色々と書類が必要になったのを、TS-570Sでも同じと勘違いしていたかもしれない。
取説は必要な箇所以外あまり見ないので見過ごしてしまったかもしれない。

家に帰り電源を接続してみる。ダミーロードを接続して送信してみると思ったよりパワーが出ない。
変だな?と思って見たら10Wの設定になっていた。
(100W機なのに何で?)徐々にパワーを上げていくと電源が切れてしまった。
変だと思ったら安定化電源の容量不足。元々が25W機用に買った電源なので15Aくらいまでしか取れず、過電流で保護回路が働いてしまうのだ。
50Wまでは問題無く出るが、それ以上はダメ..50W以上出す必要も無いため問題ないと割り切って他の機能を見る。
 
パワーは5Wから、5W単位で変えられ最大出力の100Wまで。ただしAMだけは25Wまで。
(低電力変調のためSSBの1/4しか出せない)

10Wの設定にしてAMで送信するとFMよりも電流が流れている。変だと思ったら25Wの設定になっていた。
どうやらモード毎にパワーの設定が出来るようだ。  

以下、今まで使ったIC−726/736/DX−70と比較して紹介してみたい。

プリアンプ,TS−680/690には付いていなかったと記憶しているが、これには付いている。
表示は液晶なので屋外の日光の当たる場所でも問題無く見える。これがLEDや蛍光表示管では、屋外の直射日光の下では使い物にならない。
(TS−680を買おうとして予算の関係で断念してIC−726を買ったことがあるが、表示に関してはIC−726に軍配が上がった)  

マイクは標準では付属していないが、店でハンドマイクを付けてくれた。モービル機はコンデンサマイクを使っているのに、これはダイナミックマイク。
ダイナミックマイクなら他のメーカーのでもピン配置さえ合えば流用可能なので嬉しい。
(現在使用しているヤエスのFT−726などはアツデンのマイクを接続だけ変えて流用していた)  

アンテナはコネクターが2系統有り,切り換えも中高級機では当たり前のパネル面からの切り換えが可能だし、1本のアンテナの共用も可能。
それまで移動で使用していたアルインコのDX−70はアンテナは2系統だがHFと50MHzで各々独立しており1本のアンテナを共用する際にはデュープレクサ等を使う必要が有って不便だったので、重宝する。
IC−726も同様だった。IC−736はパネルで切り換え可。TS−690あたりは後部のスイッチ切り換えで 共用の設定が出来たと思う。  

移動用のキャリングハンドルが標準装備。
(以前使っていたIC−726はオプションだったが、価格に関わらず標準で付いているのは嬉しい)  

クイックメモリー、5chだが便利。現在IC−736で使っているが重宝する。
パイルになっている周波数をメモっておき、他の周波数で交信した後で再びパイルに参加する場合など便利。  

電鍵が2つ使えるのも便利だと思う。私の場合は電信はやらないので関係無い気もするが、使う時にはエレキーと縦振れの両方が同時に接続しておけるので便利と思う。
IC−736も同様。 (同時に使えるかは試していない)  

CWオートチューンも、そういった意味では電信の初心者には有り難い機能と思われる。 これは、このリグだけの機能。
(ナローフイルター入りでないと周波数を合わせるのは初心者には難しい) 

オートチューナーは、車載等の条件を考えると有り難い機能だと思う。
多少マッチングがラフでも、ごまかしてくれて 終段の保護と、効率良くパワーを引き出せる。
これもIC−736は標準装備。動作は速い。  

モード切り換え時にビープ音のモールス符号で知らせてくれる。例えばCWなら「C」,SSBのUSBなら「U」といった
感じ。
これはIC−726/736には無い機能。もっとも、有っても無くても痛痒は感じないが手さぐり状態の時には重宝するだろう。  

マイクゲインの調整ツマミが無いと思ったらMICボタンを押してからMULTIツマミで調整する。
パワーの調整も同様にPOWERボタンを押した後でMULTIツマミで可変する。
 
周波数の早送りとかFM時等のステップ送りはダイヤルではなくMULTIツマミで出来る。
このツマミを回すだけでFM機のチャンネル切り換えのよ うに使える。
FMや車載での使用には重宝する機能で、DX−70にするかIC−706にするか迷った結果DX−70にしたのは、この機能によるところが多 い。

TS−60にはFM時のステップ機能が無かった。やはりFMはステップ切り換えが出来なくちゃあねえ...
受信感度は比較する機械が無かったので何ともいえないが、プリアンプを入れない状態でメーターが振れないのがプリアンプ(10db)を入れると7 くらいまで上がる。
10Wでも聞こえる範囲ではQSO出来るようである。気のせいかIC−736より感度は悪いみたい。
なんと言おうか、VFOを回して 行って弱い信号だと引っかからない感じなのである。
周波数送りのステップも有るのかもしれないが...

受信音は無信号時の低周波ノイズが多い。ケンウッド特有かもしれないがゴーという感じの音。
VFOがデジタルのせいか、やはりアナログのように継ぎ目のない変化ではない。
設定が間違っているかもしれないがIC-736のような綺麗な変化はしないみたい。

AMの受信音もIC−736やFRG−7700と比べて芳しくないみたい。
聞き疲れする音である。AMも高音の抜けが芳しくないし、イマイチ。
内蔵スピーカーだけかと思ってヘッドフォン(オーデイオ用)で聞いてみたが変わらず、AF段の設計のもようである。

変調。特に問題無いようである。DX−70で問題だったAMの変調も、1局のみのQSOだったが綺麗で問題無いと言われ一安心した。
その後、AMコンテストに参加して10数局と交信したがDX−70の時のようなレポートは無かった。

XIT、RITは受信周波数のみ変化だがXITは送信周波数も同時に動かすことが出来る。
パイルになっている時等は便利だろう。

プロセッサー、AF式だったと思う。トークパワーを稼ぐためSSBでは必要にして常識な機能。

ダイアル、重さの調整が出来ない。ちょっと軽過ぎる気もしないではない。

B・C、ビートキャンセラー。ビートが掛かった場合にONするとカットしてくれ静かになる。

AGC、スローとファーストが有りパネルから切り換え。

ATT、受信感度を下げるアッテネーター。S8がS3くらいまで下がる。(10dbくらいか?)

NR、2種類有る。違いは取り説を見ないと判らず。

FINE、ダイアルの微調整? 周波数合わせはしやすくなるが、アナログと違ってリニアに周波数が変化する訳ではないので劇的に良くなるわけではない。

家に置いて使ってみた感想としてはIC−736の方が良く出来ていると思う。
デジタルという以外には取り柄が無い気もするし、最初コンテストマニアの某氏が辛辣な評価をしているのを本当かいな?と半信半疑で聞いていたが、実際に使いこんでみて同感というかデジタルという言葉を過大評価して購入したことを後悔した。 
その他で気がついたら、またレポートしてみたいと思う。  
電源コード(100W用)・先端は切りっぱなしなので圧着端子を取り付けた。ヒューズは車用のが使える。     
 
オマケで付いてきたカバン。本体と電源コード、マイクが入れられる。肩掛け用のベルトも付いている。

その後、FT−847を購入したこともあって’99年の12月、CQ誌のハム交換室に売りに出したら早速、鷲宮町の方から有線が有り即日QSYした。使い勝手は悪く無かったのだが、50MHzまでというのが一寸寂しい限り。

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