クラニシSWRアナライザ BR-200使用記
最終更新2011年2月24日


SWRアナライザBR-200(付属のダミーロードを付けた状態)
メーターの上の段はインピーダンス(Ω)・下はSWR。

メーターの下の黒く見える四角の部分は周波数表示(緑のLEDのため明るい所では見にくい)その右側は電源SW兼、周波数のスロー&ファーストの切り替えスイッチ。
下のツマミは測定バンドの切り替え。右下側の縦に見える黒い物は周波数調整のボリウム。

前々から興味の有ったSWRアナライザだが、平成11年の5月に秋葉原に行ったついでに買い求めた。
それほど使い込んでいないが使用感等、紹介してみたい。

購入は秋葉原のカクタでメーカー希望価格39,800円を、税込みで35,000円にしてもらった。
大きさは80*170*60mm。(突起物を除く)。重さは約800g(電池を含んだ重量)。

これは周波数が1.8MHz〜170MHzまでを6つのレンジで分けて使用している。コネクターはM型のメス。

電源は単三電池6本で9V仕様。他に100〜500MHzまで(100〜170/300〜500MHz)のBR−400も有る。
なお電池は別売なので要注意。インピーダンスは12.5〜300Ωまで測定可能。SWRは1〜無限大。

外部電源も使用できるように電源コードが付いているが8〜12Vで、通常の無線機に使う13.8V程度は使えないそうなので要注意である。
(壊れるとか?)消費電流は最大で180mA。(アルカリ電池で連続14時間以上の使用が可能とのことで、電池が消耗した場合は周波数表示が点滅して知らせるとのこと)

機能は共振周波数の調査(SWR最小点)とインピーダンス確認。
メーターは上側がインピーダンスで下側がSWR。(メーターは横河製の精度の良い物を使用しているとのこと)

使い方はまずアンテナ端子に付属のダミーロードを接続し、周波数切り換えスイッチで希望するバンドを選んだ後で電源スイッチを入れ、周波数のボリウム(縦方向)を回して希望の周波数に合わせる。

周波数を合わせたら電源を切り、アンテナ端子からダミーロードを外してアンテナ(またはアンテナを接続した同軸)を接続して電源を入れる。
このとき右側面(アンテナコネクターの上)に有るスイッチを下にすればSWR,上にすればインピーダンスが表示される。
電源スイッチは上に上げるとFASTといって、周波数カウンターの表示が1KHz単位。
更に上げるとSLOWといって表示が100Hz単位になるので微調整したい場合は、こちらにする。

アンテナを接続して電源を入れたままで周波数ツマミ?を回すとアマチュアバンド外で送信してしまう虞が有るので充分注意すること。
(メーカーの取説には微弱電波なので電波法には触れないと書いてあるが、微弱な電波で有っても絶対に他の無線局の運用に支障を与えないという保証は無いし、アマチュアバンド外での送信は後ろめたい気もする)

使ってみた感じは周波数表示がLEDのため、夜間は良いが屋外では見づらい。
周波数表示は、画像でも判る様にドンピシャで合わせるのは難しい。
近似値でしか調整出来ないので了解しておくこと。
(周波数の確度は5ppmプラスマイナス1カウントとのこと)

周波数帯の切り換えはA〜Fでの6チャンネルのロータリースイッチでカバーしており、以下の範囲。
A:1.8〜4MHz。
B:4〜10MHz。
C:10〜25MHz。
D:25〜55MHz。
E:55〜110MHz。
F:110〜170MHz。
すなわち、1.9MHz帯ならAレンジ,50MHz帯ならDレンジに切り換えて周波数を調整するわけ。

共振周波数を調べるにはSWRの表示にして周波数ツマミを回して行き、最もSWRが下がった点を見る。
この方法でHF帯のホイップを調べてみたが、概ねバンドよりも低い方に合っていた。
D社のHV−4なんかは全て下に合っており4〜5cmエレメントを切り詰めないとダメだった。
もっとも、これは横にエレメントを追加して使う場合に共振周波数が上がるのかもしれないが...
14/18/21/28と各エレメントを調整したが、28MHzだけはケーブル長の関係か(6m)SWRが下がらなかった。
これはC社の28MHzも同様なので同軸の電気的な長さがλ/4の整数倍になっているのかもしれない。
(私の場合、アースがボデーに直付けでは無いので、アース線の長さも影響しているものと思われる)

C社の7MHz用はバンド内に入っていたが、これも低めに同調していた。
たまたま同社の28MHz用のホイップもエレメントは同じで5mm程度短めだったので、これと交換したら共振点が7.01くらいから7.03くらいにupした。

D社の144/430の1m長のホイップは144MHzを調べたら、ちゃんと同調していた。6mに使えないかと調べたがNGだった。
同社の430の3段ホイップ(約1.5m長)も同様に6mはNG。やはり広告に嘘は無い(^^;)

C社の50MHzのλ/2センターローデイング(ノンラジアル)は50.5MHz付近に同調していた。
ノンラジアルの場合はアースに影響されないためアース線の長さによる共振周波数の影響は無いように思われる。

font color="#000000">色々とホイップを変えて確認してみたが、同調した点ではインピーダンスは概ね50Ω付近のようであった。
なお付属のダミーロードは本機専用で送信機用ではないので他に流用しないこと。
(逆はインピーダンスの誤差は有るにせよ実用上、問題は無い)
SWRアナライザの裏面。電池ケースの蓋は1箇所、ネジ止め。
(2.6mmのプラスネジ)これは蓋を外した状態。

右側面に有るインピーダンスとSWRの切り換えスイッチ

平成13年の秋にSWRを調整していて、上手く行かずインピーダンスを測ってみたら何だか変なのに気がつき、付属のダミーロードで確認したら25Ωと50Ωの間に2目盛り有るが、25Ωの右側の1目盛りと針3本分くらいまでしか指示しな苦なった。
メーカーに電話して聞いたら故障(インピーダンス測定が狂ってしまった)とのこと。
(本来ならば50Ωに校正してあるので、50Ωを指示する筈なのだが..)
インピーダンス指示が狂った状態-1
(通常は中心で、50Ωを指示)
インピーダンス指示が狂った状態-2
正常な状態(修理後)50オームを指示している

平成23年の2月、50MHzのアンテナを調整した際に同様の現象が発生。
(目盛りはもう少し50Ω寄りだが、30数Ω辺りを指示)以前から50Ωよりも低めになっているとは思っていたのだが..
この時は電源が入っていなかったのとアンテナも接続していなかったが、トランクリッド基台からの同軸を本機に接続した状態で1mと離れていない距離で28MHzのFMで10W送信したため、誘起された高周波電圧が入力に掛かってダイオードに悪影響を与えたと思われる。

原因はBR−200を使用中に近くで電波を出されると、受信部(測定部)が過大入力で壊れる場合が多いとのこと。
分かりやすく言えば受信機に直接、送信電波を入れるようなものだそうだ。

これ以外にも雷が鳴っている場合の誘導雷や、高圧線の近くで使用した場合に過大な入力が加わって故障する場合が有るとのこと。

修理代は5〜6,000円程度とのことだった。(部品交換および再調整)
私の場合、入力側のコネクターに接続されているダイオードとコンデンサ(C1)を交換して調整(校正)したとのことだった。
回路図は購入時には付いていないが、修理伝票と一緒に簡単な回路図が同封されて返送されてきた。


修理の際に同梱されてきた回路図
自分で修理した人の話だとC1は103(表示=0.01μF)らしい。

私は直接メーカーに送って修理を依頼したが、この際に言われたことは梱包がいい加減だと届いた時に本来の故障以外の所まで壊れて届く(メーターが壊れる等)ことが有るので、シッカリと梱包して送ってくれとのこと。
修理代は代金引き換え払いだった。(修理代が税込み約5,000円、送料が800円だった)

クラニシは2008年の3月で廃業(倒産)してしまって、その後の修理は東広島市の会社で対応していたが現在は、やっていないもよう。
壊れたら自分で修理するか技術力の有る人を探して直してもらうか...


参考までに内部の写真を載せておく。
蓋を開けた内部の様子
C1、D1付近の拡大図
黒い丸で囲んだ部分が交換したダイオード

C1はセラミックコンデンサ(103=0.01μF?) 
コンデンサーの容量・ダイオードの型番等は回路図にも記載無し
左に見えるのはM型コネクター・〇で囲んだダイオードの上辺りがC1、R1(10kΩ)、D1と思われる。


※自分で修理されたというjh6nbwさんが当方の掲示板に投稿された内容です。修理の参考になればと思い、転載(引用)です。2010年2月追記
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コネクタ芯線にダイオード、抵抗を茶黒橙10kオームそして、切り替えスイッチ。ダイオードと抵抗の結線からセラミックコンデンサー103。
10kオーム、スイッチを介して、オペアンプにいっているから、この抵抗値では、なかなか、オペアンプはこわれないか。セラミックコンデンサーもまあ50ボルト程度の耐圧はありそうだからやっぱりダイオード。
回路図がないからもとはわからないけど、私は秋月でゲルマラジオ製作用に買っていた1SS108 ひとパック二百円 十本入りに交換しました。
一個二十円 技術とはこんなものか貴ホームページは大変参考になりました。
広島の某無線屋さんにもその後掲載はないようで、移動運用の必須アイテムとなりつつアナライザーの修理の参考になれば幸いです。ありがとうございました。

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2010年3月追記
あえて付け足すならば、測定値は、交換したダイオードには依存しないように、設計されているとおもいます。
よって、値がおかしいからとボリュームをやたらまわすと、あとが大変です。
現在も使用していますが、初めの状態となんら差異は感じられません。


この方の場合、高圧線の近くで本機を使用していて故障したとのことでした。

平成23年の3月に自分で上記のダイオード1SS108を秋葉原の秋月電子通商で買ってきて交換。
結果は無事、50Ωを指示して復旧した。配線そのものは空中配線というかプリント板のスルーホール等に接続しているわけでは無いのでハンダ付けだけでOK。
ただしダイオードには極性が有るので間違わないこと。それさえ気をつければ問題は無い筈。

インピーダンスの指示が50Ωになっていないだけならダイオードの交換だけで充分と思われる。
この場合、テスターの抵抗レンジ(×1)で導通を測ってみてダイオードが正常なら片方は、ほぼ0Ωなのに対して逆側は無限大に近い値を示す筈。
それに対して、故障している場合は抵抗値が無限大よりも小さくなる筈。
もし無限大になっていない場合はダイオードが劣化している可能性が大で、交換すればほぼ正常の値(50オーム付近)を指示する筈。
あまり厳密に合わなくても良いならダイオード交換のみでOKと思われる。

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