スーパーラドアンテナの自作

作成中の14MHz用スーパーラドアンテナ

結果的には失敗作?

平成22年に会社の無線クラブの集まりで三重県の局が7MHz用のスーパーラドアンテナを作って持参し、熱心にアピールしていた
が、その当時は興味も無く自分で作るなどと考えもしなかった。

平成23年になってフルサイズのアンテナが無く不便に思っていたバンド(18MHzと28MHz)のを作る気になって、色々とWeb上で
探してみたが、作る人によって作り方がマチマチで迷ってしまう。

そんな中でホイップ代わりに基台に取り付けて使うタイプのを作っている人のページを見つけ、それを真似させてもらった。
なお、ここで作っているタイプはメインコイルもアースに落としているタイプ。オリジナルはメインコイルはアースには落とさず、シリン
ダー以外には接続されていないが、これはメインコイルはシリンダーとアースの両方に接続されている。

当初28MHz用を作ろうと思ったのだが線の長さを勘違い(大ボケ)して5m近く巻いてしまい、共振周波数が14MHz付近になり、
変だと思ってよく考えたら5m=14MHzの1/4波長なのに気がついた次第。

用意したのはシリンダー用に塩ビの排水管の40Φ(ホームセンターでは、これ以下のVU管は置いてないもよう)を使用。
途中は25ΦのVP管(水道管用)と25Φ-13Φの異径ソケット、40Φ-25Φの異径ソケット。
途中のパイプは強度を気にしなければ25Φよりも細くても構わないが、強度を気にするなら25Φ程度は必要と思われる。

VP管とVU管の違いはVU管は排水用なので肉厚が薄く軽いが強度的には弱い。
VP管は逆。水道管用の塩ビパイプには他にHIVPという青色(濃紺)の物(強度が高い)とHTVPという赤色の物(これはお湯用)も
有る。普通は灰色のVP管で充分だろう。値段も3種類の中では一番安いはず。VU管は細くても40Φまでしか無い。太い物は200
Φくらいまで有るようだ。長さは短くても1m物しか無いようだ。VP管は店によって50cmや30cmに切って売っている所も有る。

13Φのソケットは内径が約18ΦでM型コネクターが入るギリギリの大きさ。これにM型コネクターを入れ、ホイップ代わりに使うという
話。

この内径はM型コネクターの外側によっては大きくて叩き込まないと入らない物と、緩くて接着剤等で動かないように固定する必要
が有る物の2種類が有る。一概には言えないがアダプタ付きのタイプは外径が大きめで、アダプタ無しは小さめで緩い。キツイ物は
熱した状態で中継コネクター等を付けた状態でハンマー等で叩いて入れる。アダプター無しのタイプは大抵が外径18ミリ程度。
アダプタ有りのタイプは外径が19ミリ程度で若干大きい。この差で接着にするか温めておいて叩き込むかになる。アダプタ無しでも
TYC(東洋コネクター)のは外径が19ミリになっている。これは絶縁物がテフロンでUHFまで対応している。HF帯で使うには贅沢か
も?値段も5D用で520円くらいと高め。安い物の中には絶縁物にスチロールを使っている物が有るが、これだと熱で溶けて変形す
るので買わない方が無難。安くてもベークにしておいた方が良いだろう。
(コネクターを叩いて入れる場合に中継コネクター等を付けないで叩くと中心のコンタクトが曲がって使えなくなるので注意)

同軸は太くても5Dか、3Dを使う。3Dの方が細くて取り回しが楽だと思う。

コネクターの外側が動かないようにハンダ付けか接着するが、ハンダ付けの場合は最低でも60Wくらいのコテじゃないと熱が逃げ
て上手く付かない。
(これをしておかないとコネクター部分が回ってしまい、ホイップのように基台に取り付ける際に密着せず具合が悪い)

またコネクターに付いているツメ(2箇所)は削る等して取っておいた方が基台側のコネクターと密着して良いだろう。

メインのコイルの長さは、長くても1/4波長以下になる筈。なので1/4波長分の線を用意しておけば良いと思う。

使用する線材は裸の銅線やアルミ線等を使う場合は間を空けて巻く必要が有り結構難しいと思うが、ビニール線を使う場合は密着
させても問題は無いと思う。私は0.75□(スケア)の線を使った。これは自動車用の配線で充分と思う。ただ、長さが5m物なので
せいぜい14MHz用までしか作れないが...それ以上は切り売りしてもらうしかないだろう。パワーを出す場合(FMで50W以上等)
はもっと太い線を使った方が無難かもしれない。あまり細い線だとパワーを入れると発熱するかもしれない。
交流用のだと心線が同じ太さでも直流用に比べて外皮が太めなので、巻き幅が多くなってしまうと思われる。

シリンダーの導体にはアルミ板や銅板を使うのが望ましいようだが私はアルミのテープを使った。
アルミホイルという選択肢も有るようだが、私の場合は上手く巻けず断念した。(厚みが不足で破れたりしてダメだった)

アルミテープを巻いてデジタルのテスターで導通を測ったら無限大を表示したりして糊の関係で接触不良かと慌てたが、アナログの
テスターでは問題無し。この辺りは使用するテスターの内部抵抗の関係かもしれないので最初に導通を測って問題無ければ心配す
る必要は無いだろうと思われる。長さというか幅というかは人やシリンダーの太さ、周波数によって異なるが14MHz以上なら10〜
15cmくらいで間に合うと思われる。

メインのコイルは導体に近付けて巻く。あまり離してしまうと上手く動作しないみたいだ。

リンクコイルはバンドによって異なり、私の場合7MHz(これだけVU管の50Φ)で3回巻き、他は14〜21MHzが2回巻きだったか?
28MHzは1回巻きだった。

導体とメインのコイル及び同軸の網線の接続は私の場合、塩ビのパイプに穴を開けて4ミリのタッピングビスで留めた。
穴明けは40W程度のハンダゴテを熱した状態で軽くコテを当てて下穴を開けた。同軸を通す穴は、このやり方で開けた後でリーマ
で広げたが無ければ大きめのマイナスドライバー等で削って広げる必要が有る。タッピングビスとの接続は直接ネジ留めでもokと
は思うが圧着端子等を使う方が楽だろう。その場合、芯線側は線の太さが1.25ミリで網線側は2ミリが良いだろう。
圧着工具が無ければハンダ付けでも構わない。要は電気的に接触していれば良い話。

調整は必ず使用する状態で行う。(車の基台に付ける場合は、その状態で調整するということ)
私の場合はSWRアナライザ(クラニシのBR200)で行った。SWR計だけだと、共振周波数を見つけるのが大変かもしれない。

先ず共振周波数を見つける。
(SWRが最小になる周波数を見つけるためで、この時点ではSWRが2だろうが3だろうが気にしなくて良い)

次に共振周波数が希望する周波数になるようにメインコイルの長さを調整する。コイルを長め(共振周波数が低め)に作っておいて
から切り詰めて調整するのが良いだろう。コイルの長さで大体の所に合ったら後は導体を切りつめて調整する。
この意味では板よりもテープの方が微調整がしやすい。少しずつカッターで切って剥がし、希望する周波数に合わせる。

共振周波数が合ったら、リンクコイルを上下してSWRが最小になる点を見つけ固定する。
アナライザなら最小で1.5以下になる筈だが、ならない場合はリンクコイルの巻き数や長さを変えてみる等して調整する。

なお50MHz以上はシリンダーに塩ビを使うと発熱して性能が発揮出来ないそうだ。
試しに30Φの塩ビ管(VP30)で作ってみたがアナライザではSWR1.1なものの、実際にリグと接続して送信してみたら無限大で
使い物にならなかった。やはり50MHzでは塩ビ管は具合が悪い?

調整した後で防水用にとビニールテープや防食テープを巻いたり塩ビのパイプをカバーとして被せると共振周波数が下がって再調
整が必要になる場合が有るので要注意。私も知らずに防食テープを巻いたら下がってしまって、取るハメになってしまった。
ビニールテープでもバンドによっては下がる場合が有るので要注意。巻いて下がってしまったら再度調整しないとダメ。

コイルの固定方法だが私の場合は巻いてビニールテープで上下の端を仮留めしておいてから最終的にビニールテープを巻いて終
わり。(移動時のみ使用で雨の日は使わないと割り切って)接着剤等で固定するのがベターだろうが..

シリンダーの導体部分の長さ(表面積?)とメインコイルの長さ(幅)の比率は1:2以上? あまり、この比率が大きいというかシリン
ダー部分が長すぎたり、逆にメインコイルに対してシリンダーが短すぎるのも良くない(スーパーラドとしての動作上)らしい。

性能は開発者によると地上高を稼がないと発揮出来ないとのことなので、基台に付けてホイップ代わりに使う場合はそれほど期待
は出来ないかもしれない。しかし、同じ長さの短縮ホイップに比べれば充分かもしれない。

過度の期待をしなければ充分に実用になるアンテナと思う。
何より、小型で垂直の形状でありながら水平偏波の電波が出るというのが面白い。

それにしても普通のホイップ等は同軸の芯線が長いコイルになるのに対し、スーパーラドは短いリンクコイルが接続されていて、逆
にアース線側がメインコイルとシリンダーの導体に接続されており、形は垂直なのに水平偏波という、今までの常識を覆すアンテナ。

作り方もシリンダータイプと頭にハットを付けたタイプが有るので、色々と試行錯誤しながら試してみるのも面白いかもしれない。
 
スーパーラドアンテナ7MHz用(太く重いので付けての走行は困難)
スーパーラドアンテナ21MHz用
スーパーラドアンテナ18MHz用
スーパーラドアンテナ28MHz用

※膨らんで見える部分がメインコイル
40Φ-25Φのソケットの下の長さ(25Φのパイプ)が違うが意味は無い。
(単に加工した時の長さの違いで50cm物と30cm物の差・7や21はもっと短くなっている)


給電部の様子。アース線側がメインコイルとシリンダーのアルミテープに接続されている。
リンクコイルは下の黒い線で、これは芯線とアース線の両方に接続されている。(圧着端子をネジ留め)
同軸は5D-2Vを使用している。
コイルはビニールテープで仮止め状態。

7MHz以外はコンディションの関係で運用実績なし

その後、平成23年の2月下旬に受信のみで短縮ホイップ(ダイヤモンドのHV4)と比較してみたが(7/18/28/50)作り方や設
置環境が同じことも有り、10〜20dbくらい感度が劣っている感じだった。どうもSWRは落ちているものの、本当に共振しているとは
言えない状態?これでは使えないので、再度調査をしようかとも思ったが時間を掛けても額面通りの性能が出なければ時間のムダ
なので、これ以上やるのは止めることにした。

スーパーラドを作成した同じ会社の無線仲間の話によると、ある程度の高さにしないと感度が悪いそうだ。
やはりホイップ代わりに使うのは無理が有りそう。

当たり前の話だが、こういった小型のアンテナというのはそれなりに使い方が難しく、環境によっては思うような性能が出ないもよう。
ホイップ代わりにして、もう少し飛べばと期待したのだがフルサイズのアンテナの方が大きささえ気にしなければ無難なようだ。

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