日本無線・HF通信形受信機 NRD-345使用記


最終更新 2017年11月6日

今まで長い間使ってきた受信機のヤエスFRG−7700Mが最近調子が悪くなってきたため、そろそろ交換時期かと思って今まで検討していたのだが、平成12年(2000年)の3月に群馬県太田市のハムショップのホームページの中古品コーナーを覗いたところ日本無線の受信機(定価約10万)が半額の約5万で売りに出ていたので買い換えることにした。

店に行って中古コーナーを見たが、それらしき物は見当たらない。あたりを見回すと新品の箱が2つ有り、仕様等を覚えて行かなかったため性能が判らず弱ったと思ったら傍にカタログが有り、まあまあの仕様なので買うことにした。

受信可能な周波数は100KHz〜30MHz。モードはAM/SAM(同期検波AM)/SSB/CW/FAXとのこと。
FRG−7700に有ったFMモードが無いのはイマイチだが、29MHz帯を除いては普段は必要が無いかも? もっとも、その気になればFMはAMでスロープ検波をすれば済むことだし..

方式はダブルスーパーでIFが44.855MHzと455KHz。最小周波数ステップは5Hz。安定度も電源ONから1時間以内は±10ppm以下。低周波出力は1W以上と普通に聞く分には充分だろう。大きさは幅250*高さ100*奥行238mm。重量は3.5Kgと軽め。

選択度はワイド(4KHz以上/6db)とナロー(2KHz以上/6db)の2種類のフィルターが実装されている。
FRG−7700の場合は3種類だったが、実際にはワイド(12KHz)は使う機会が無く、殆どミディアム(6KHz)かナロー(3KHz)だった。
これは別売の基板を入れれば300HzのCWフィルター(CFL−231)から2.4KHzのSSB用フィルター(CFL−251)までの5種類の内、1個だけ入れることが可能となる。帯域はSSBでもワイド・ナローの切り替えが可能。当然ながらワイドではカブリが増える。欲を言えばIFシフトやワイズが欲しいところだが、この価格帯で、それを求めるのは酷というものか?混信除去機能は無い。

AMは本格的な同期検波方式もサポートしているため短波帯のようにフェージングの多い場合に良好な受信が出来るとのこと。
スピーカーは本体上部に有るが音質は良好で、さほど聞き疲れはしない感じ。
SSBの復調もアマチュア用の安いトランシーバーよりはマシかもしれない。少なくともFRG−7700よりは感度・音質とも上。以前使っていたIC−726等に比べても聞きやすい。まあ、10年以上も昔の物と比べるのは酷というものだが..試しにIC−736と聞き比べてみたが、音はむしろ聞きやすい気がした。

表示は透過照明の液晶で比較的見やすいが、消灯したり明るさを変えることは出来ない。
しかも時計のバックアップが無いためコンセントから抜いたり停電が有ると時刻がリセットされ「00時00分」のままとなる。そのためタイマーをセットしてあっても動作しなくなる。(タイマーのON/OFFの設定時間は保持される)
時計表示は24時間でローカル(日本標準時等)とUTC(世界標準時)の設定の切り換えが可能。誤差は月差±2分とのこと。クオーツ時計と考えると1桁違う誤差でイマイチ。タイマー機能有り。ただ電源スイッチはON/OFF/タイマーの3段階のため、頻繁に切り換えているとダメになりそうで怖い。

スリープタイマー機能も有るが、タイマーとは別になっておらず、スリープタイマーでOFF時刻を設定するとタイマーのOFF時間も変更されてしまい具合が悪い。この辺りは大いに不満、もう少し配慮が欲しかった。なお、タイマー動作時には透過照明は無く、時計のみ液晶表示となる。
後日、ヤエス(バーテックススタンダード)の受信機のレポートを見たが時計のバックアップ機能については同じようなものだった。この時期は、何か変な風潮が有ったのだろうか?? ノイズブランカはレベル調整可能。

メモリは100CH有る。FRG−7700Mが12CHしか無かったのに比べると充分過ぎる数。でも、そんなに有っても瞬時に呼び出せないから意味が無い気もするが..
書き込みは希望周波数とモードを設定後にMWスイッチを押してからENTキーを押すことで設定される。
呼び出しはMEMOキーを押し、メモリーCHの選択は<と>のキーで選択して可能。ただし普通の手順で書き込みすると新規の場所に書き込まれてしまい、書き込み済の所に上書きは出来ない。上書きする場合には書き込み済のチャンネル番号を指定してから書き込む必要が有る。

メモリーのスキャンも可能。メモリーはリチウム電池(ゲーム機等に使われているCR−2032という比較的入手が容易な物)でバックアップ。FRG−7700Mの場合は単三電池を3本使っていたが、それから見ると隔世の感が有る。

感度調整はアッテネーターのみで、−20db。 FRG−7700はRF GAINコントロール(ボリウム)が有ったが、これには無し。気になる感度だが短波帯のSSB/CWは0.3μVとのことで一昔前のアマチュア無線機並の感度。
AMは中波帯が17.8μV,短波帯が2μV。

VFOはA/B有り、切り替えが可能、って今や当然だけど、昔のアナログの時代には無かったんだよなぁ..
当然FRG−7700はアナログVFOなので切り換えは無し)同調ツマミは最小5Hzステップで変更可能。
テンキーのKHzやMHzキーを押すと最小ステップがKHzやMHz単位に変わって、早送りが可能になる。
LOCKスイッチを押すとVFOが電気的にロックされ、周波数を変えられなくなる。

電源は内蔵しておらずACアダプターや直流安定化電源から供給する。ACアダプターは一昔前のノートパソコンのように大きめ。(長さ110mm*幅60mm*厚み50mm程度)端子は外側がマイナスで内側がプラスと家電品と同じ接続なので、他の安定化電源を使う場合は要注意。電源の極性を間違えると故障の原因となる。電源電圧・容量は12Vで0.8A以上必要とのこと。

AGCはSLOWとFASTの2段切り換えの他にAGCスイッチを押しながら電源を入れるとAGCがOFFになる。
通常のAM放送を聞く程度ならSLOWで充分か?。

周波数選択はVFOダイヤルを回すのと、10キーから入力の2種類が可能。10キーを使う場合は3.5MHzの場合3.5と入力後にMHzのキーを押せば良い。954KHzなら954と入力した後でKHzのキーを押せばOK。入力が終わったらENTERキーを押す。(これを押さないと変わらない)
周波数のアップ/ダウンは<>キーを使う。周波数の入力にメーターバンドでの入力が可能。14MHzなら20と入力後にmtrキーを押す。デザインは日本無線らしからぬ、一寸安っぽい感じがしないでもない。

アンテナ端子はM型とワイヤーアンテナ用の2種類。FRG−7700の場合は中波用、短波用の各ワイヤー用とM型の3種類が有ったが、中波と短波用を1本のアンテナで共用する場合は並列に接続しないと感度が悪くなるというデメリットが有ったが、これはどちらか一方で良い。
背面のアンテナ切り換えスイッチの切り換えも必要。ただ、線が細かったり、短いと噛み付きが弱いようだ。

パソコンコントロール。RS−232Cを使ってパソコンと接続し、リモートコントロールが出来る。但しコントロール可能なのはVFOのAのみで、Bは使えない。コマンドは覚えないと使えないかも?

裏面、アンテナ端子はワイヤー用と同軸用のM型の2種類有り、ワイヤーアンテナ用の隣はアース線の接続
用。左端からヒューズ(1A)・電源端子・スピーカー端子・FAX受信用の出力端子・RS−232CのD−SUB25ピンのコネクター(メス)

付属のACアダプター(110*60*厚さ50ミリ)

平成19年の6月頃になってSメーターの照明が切れてしまい、メーカーに問い合わせたところランプ代が送料込み(宅配便)で税込み840円 だった。仕様は6.3vの0.15Aというもの。どうみても、そんなにする物には見えないので自分で探してきた方が安上がりかもしれない。(通販で見たら25個入りで3,540円、単価は150円以下、送料は別だが)

修理を依頼するとなると工賃が1時間で14,000円とのことだったが自分でやってみた感じでは5分も掛からない仕事だった。上蓋のネジを4箇所外してランプを押し込んで捻れば外れる。取り付けは同様に押しこんで逆に捻るだけ。あまりの呆気なさに拍子抜けしてしまった。

NRD-345の内部(上面)



画面の上部に有るのがランプ(6.3v 0.15A)ピン式で捻って嵌める


中波の感度アップ改造
平成20年の9月、たまたま他の受信機に買い換えようかとNET上で検索していた時に中波の感度アップの改造を書いてあったページを見つけ、試しにやってみた。この機種の場合、最初から中波には10db程度のアッテネーターが入っているとかで、感度が今一つなのだ。

やり方としては基板上のチップ抵抗(R18〜R20とのこと)を3個外し、その内の2個所を短絡させるという物なのだが、これが意外にクセものというか歳を取ると老眼になってくるので細かい作業がしづらい。

基板を外すには筐体の上蓋のネジ4個所を外し、スピーカーの配線をコネクターの所で外す。
それからM型コネクターの配線を外さなければならない。
ついでにワイヤーアンテナ用の端子を留めている2個所のネジも外さねばならない。基板も7個所ネジ留めされている。
M型コネクターは芯線だけ外せば、あとはコネクターのネジを外せば引き抜けて作業には支障は無い。
基板には色々と配線が有るが、ここは外さなくても裏返しにしてやれば作業には支障は無い。

チップ抵抗そのものはCD8と書かれた近くに120と書かれた物が1個と390と書かれた物が2個有る筈なので取り外す。
そして390(R18とR20と思われる)のチップ抵抗の付いていた所に0オームの抵抗を付けるか、あるいは線で短絡する。
文字で書けばこれだけの事なの だが、やってみると意外と苦労する。線材を使って短絡する場合、意外に半田付けするのが大変。思うように付いてくれない。20Wの半田ゴテを使ったのだがコテ先が細くないと隣のランド(パターン)に半田が付いて短絡してしまったりと思うように行かず苦労した。

以上は私の場合であって、間違っている可能性が無いとも言い切れませんので自己責任の上で改造をお願いします。

二人いれば持っていてもらって半田付け出来るのだが、一人だと動いてしまったりと思うように行かなかった。
結果はやはり効果が有って、それなりに聞えるようになった。強電界の所に住んでいる人以外は必要無い気がするのだが..(アッテネーター)
以前に使っていたFRG−7700にはDXとLOCALの切り替えスイッチが付いていたし、感度の調整(RF GAIN)も付いていた。コストの関係で、こういう設計になったのかもしれないが、アッテネーターのON/OFFくらいは付けて欲しかったところ。


その後、モードをAMからSAMにした際に音が出なくなる不具合が出るようになってしまった。
この状態でも電源の入り切りをすれば復旧するのと、SAMモードのままで使う分には支障が無いのだが...
新しい受信機(たとえばICOMのIC−R75等)に入れ換えることも考えたが、中波を聞くならラジオで充分だし短波を聞くのは無線機でもOKと考えると、新調する意味というか理由が無いと考え中止。

2017年11月5日、大阪府大東市の方に売却で手放した。

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