ミニマルチアンテナ・HB062DXP紹介
 

完成したアンテナの全景


HB62DXPのパーツ一覧

1975年に松下のRJX−601と旭製鋼の5/8λのGPで開局以来ずっと50MHzに出ており、最近まではC社の2エレのHB9CVを車のトランクに積んで移動運用をしているが、難点は意外と場所を取ること。

HB9CVは、その構造上マッチングのためのショートバー部分が2カ所有り、そのためにエレメントを外しても場所を取ってしまいトランク内での占有面積の大きさには悩まされ続けていた。そのせいも有り、車を変える際にもこのアンテナが載る大 きさのトランクが有ることが条件の一つとなっていた。

そんなある日、’99年のハムフエアでミニマルチアンテナのブースに有った50MHzの移動用の2エレHB9CVを見て以来、エレメントを外せば殆ど場所を取らないコンパクトな構造に注目し、購入を考えていた。

CQ誌の広告を見たり、メーカーからカタログを取り寄せたが当該アンテナについては納得のいくカタログも無く、今一つ知りたい内容が判らず、仕方ないのでメールで問い合わせた。その結果、メーカーからはJPEG画像による図面等を送っても らった。
仕様は以下のとおり。検討の結果、購入を決定。年末に代引きで送ってもらうことにして注文し、1月15日に届いた。
当時、メーカーではホームページは開設していなかったので、参考までに組み立てた結果だけを紹介してみたい。


仕様:50MHz帯用2エレHB9CV

最大エレメント長:2.85m(片側は各々3分割で、最長パイプで0.9m/最短パイプは0.15mなので、ネジ込み部分を外した状態のエレメントだけだと片側1.25m程度。そのため普通車のトランクなら問題なく納まると 思う)

ブーム長:0.8m(ブームパイプは0.85m/ブームパイプにエレメントを組み立てた状態でヘアピンの長さも含め1.1m*0.4m*0.1m程度(縦*横*高 さ))

フロントゲイン:6db(給電側が導波器になる)
F/B比:20db以上
F/S比:33db
SWR:2以下(最良1.1で帯域は広いとのこと、50.0MHzで1.05〜51.3MHzで1.5とのこと)
耐入力:1KW DC
重量:約2Kg
なお、4エレのHB064DXPも有り、こちらはブーム長が2.5mで重量は3.5Kg。


エレメントは片側3分割で、ブームに近い所はエレメントにネジが切ってあり、ネジ込む。

ブームと反対側のエレメントはタッピングビス(4ミリ径*8ミリの長さと菊座金)にて接続。エレメントのブームへの取り付けはUボルトでアルミの角パイプの上にスタンドオフ碍子(絶縁体)を介してエレメントとヘアピンを取り付け。

このためエレメントを外した状態ではコンパクトで場所を取らずに車のトランク等に載せられる。今までC社の2エレを使っていたが、これの場合はショートバー用のエレメントが有るためか分解した状態でも場所を取ってしまいトランクの奥行きが短い車だと載せるのが辛い。
(0.8m*1m以上?)ましてや、これよりもショートバー部分の長いD社製だとトランクに載せるのは不可能に近い。

組み立ては1時間くらいで終わった。これは最初の話で、一旦組み立ててしまえば後はエレメントをネジ込むだけなので、さほど時間は掛からない筈。重量の重いのが気になるが、これは使用している材料がシッカリした物のためで、もう少し軽い部品や強 度を落とす気になれば軽く出来そうである。たとえばブームを細くしたり、クロスマウントではなく、Uボルトをブームに貫通させるとか、エレメントブラケットも同様)しかし使ってみると意外とネジ込むのは億劫で、差し込んでネジ止めの方が楽な気もする。

クロスマウントは使ってみて気が付いたのだが、Uボルトに比べ穴が大きくワッシャ等を入れても遊びが大きくイマイチである。これは設計ミスではないのかと思うくらい。蝶ネジを使うとブーム部分を止める穴の凸部分と干渉してネジが締めにくい等の不具合が発覚。
これは後日、クロスマウントを他社の物と交換予定であるが、この辺りは再考をお願いしたい部分である。
結局、デベグラスのクロスマウント(32−38)に付け替えた。
エレメントも肉厚のアルミパイプを使用しているし、ブームも32ミリ径である。クロスマウントも38ミリ用と大きめでアルミ製。ネジ類はステンレス製で錆にも強そう。(ネジ径は8ミリなので13ミリのスパナを使用)更には導電グリスやウエザーコート(表面に塗る錆止め剤?)が、必要にして充分過ぎるくらい付属している。
そのため移動用と言ってはいるが、充分に固定用のアンテナとしても長期にわたって使用可能な作りである。

エレメントは全てに番号を書いたシールが貼ってあるため分かりやすく、間違いも少ない。太さ は最小で8ミリ径,最大で13ミリ径。エレメント間隔は0.73m。エレメントブラケットは長さ140mm*幅40mm*高さ20mmの角パイプにスタン ドオフ碍子を各々2個取り付ける。

位相変換部分は他のメーカーのように電線を使わずアルミパイプ(8ミリ径)を使用しているため帯域も広く、強度的にも強い。無調整のためショートバーが無く、コンパクトな仕上がり。惜しいのはエレメントブラケットの作りがゴツイため厚みが増してしまっていること。
エレメントの多い大型用なら良いのだが、移動用として考えた場合にはもう少し工夫が有っても良かったと思う。
給電部のコネクターはM型だが絶縁物の入った構造。

昨今は50Ωにするため中空?のコネクターが多いため、インピーダンスが一寸心配ではある。
コネクターとリード線の接続部分は接着剤?で防水加工してある。圧着端子は予備?で2個、付いてきた。

あとはマッチングを取るため? のヘアピン(長さ170mm*幅100mmのU型)が2個有り、ブームよりも外に出ているため、トランクの寸法に余裕のない車だと辛い かもしれない。出来ればブーム長の範囲内で抑えて欲しいところである。

取説も小冊子になっており、組み立て方のみならずアンテナ設置に関するノウハウまで書いてある。
組み立てていて、一寸気になったのはエレメントブラケットを作るとき。これは角パイプの裏表を間違えると絶対に取り付かないのだが、表と裏の表示が無いのである。せめて 何か目印が有れば親切だと思った。
組み立ては1個あたり2本のネジ(5ミリ径*長さ35ミリ)を使うが、このネジ穴が平行に並んでいないだけに注意が必要。

あとは給電部がエレメントやヘアピンと接触している関係上、仕方が無いかもしれないが圧着端子が剥き出しのため、出来れば防水処理の可能な構造にしてもらえればと思 う。このあたりはクリエイト社のアンテナも同様だが..

性能については未確認(未使用)だが、近日中に使用してみて利得やらサイドの切れ等、体感的なレポートをしたいと思う。
使ってみた感じではサイドの切れは、あまり切れない気がする。今までコメットのHB9CVを使っていたクセで、つい給電側を後ろにしてしまうが、これは前後が逆なのでマゴついてしまう。

欲をいえば、もう少し軽く作ってほしいところ。部品を見直せば、半分くらいには軽減出来るのは?
耐入力も、こんなに必要とは思わないし..(たかが2エレにKWも入れる人間も居るまいと思うし)

金額はセール価格とのことでヤマト運輸の宅配便による代引きで12,800円だった。1月14日発送で15日に到着。

マストクランプ(ブーム、マストとも38ミリ径) 給電部の様子(ブーム・エレメント他) エレメントブラケットの絶縁材・ネジ穴は方向性有りのため取り付けには注意が必要
給電部(両端の黒い部分はスタンド オフ碍子で、
ここにエレメントが取り付けられる)
エレメント(各々番号表示が有る) 給電部(ヘアピンの付いた完成状態)
裏側から見たところ。芯線は5D−2V程度の太さ

 

エレメントの接続部分
(タッピングビスで接続する部分)
クロスマウントは穴に比べUボルトが細いためイマイチなのと蝶ネジを使うと凸部と干渉して具合が悪い 上の写真は交換したデベグラス社製のクロスマウント(32−38Φ用)

以下に地上高4.5m・同軸5D-2Vを10mで測定したクラニシのSWRアナライザによるSWR測定結果を載せておく
周波数(MHz) SWR インピーダンス Ω 周波数(MHz) SWR インピーダンスΩ
50.1 1.15 52 50.2 1.1 51
50.3 1.05 50 50.4 1.05 51
50.5 1.1 52 50.6 1.1
50.7 1.2
50.8 1.3 60
50.9 1.4 65 51.0 1.5 72
51.1 1.7 72 51.2 1.7 80
51.3 1.7 85 51.4 1.85 90
51.5 1.9 92 52.0 2.2 100
53.0 2.4 80 53.9 3.1 52

以上の結果から判断すると中心周波数は50.3MHz付近で51MHz付近まではSWR1.5以下で使えそう。
SSB/CWの範囲なら全く問題は無さそうだし、AMでも殆ど気にならないだろう。

購入等の問い合わせは
ミニマルチアンテナ(株)のホームページ

ミニマルチアンテナ(株) のメールアドレス

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