ダイアモンド ホイップ MDシリーズ

以前から興味の有ったダイアモンド(第一電波)のホイップMDシリーズを99年8月に購入し たので気がついた点を書いてみたい。
エレメントはMD−200という、2mの長さが有る物で、これにカセットコイルを交換するこ とでバンドを変更出来る。

カセットコイルは3.5/7/10/14/18/21/24/28/50と7/21MHzの共用が有る。
構造はベースローディング。

当初、14MHz用を買おうと思ったのだが(7は他に持っているので必要は無い)たまたま在庫が無くて、見たらDC217という7/21MHzの共用が有ったので、 たまには21MHzも出るしコイルを交換しなくても2バンド出られると思って買った。
エレメントは上下の二分割になっており接続部は2cm程度しかない。
これは普通のホイップのようにエレメントの長さで周波数調整を行うのではなく、カセットコイル部分で調整するため。

エレメントを接続し、カセットコイルをエレメント下部に有るM型コネクターにネジ込む。続いてエレメントのツメ状のを回してカセットコイルの上部のダイアル状のネジを緩めてハメ込み、ダイアル状のネジを締め基台に取り付けて完了。 

基台取り付けの様子

中央のツメ状の部分でカセットコイル上部を支える。
右側はカセットコイルをネジ込むM型コネクタ

エレメントとカセットコイル

SWRを測定(例によってクラニシのSWRアナライザ)してみた結果は、最良で1.3程度。
コイルが大きいワリにバンド幅は思ったより広くない。
メーカーに確認したところ、このコイルのみ7MHzのコイルに直列に21MHzをバイパスする回路が入っているためとのこと。
他のモノバンドのは、もっと良いらしい。(未確認)

買ってきたばかりの状態で測定した結果は7.06MHzで1.3程度。上の方は比較的緩やかに上がるのだが、下の方はやや急峻な立ち上がりの様子。

調整はコイルの上に付いている棒の下の六角ボルトを緩め、棒を上下に動かして調整する。上に引き上げれば高く、下に押し下げれば低くなる。
中心を7.05MHzに再調 整した後で測定した結果、7.06MHzで1.5/7.07MHzで2.1と上がり7.08MHzでは2.6程度と、調整をしないと使用不能な値。
下の方は7.04MHzで1.7/7.03MHzで1.9/7.02MHzでは2.8程度のため、SWR1.5以下を常用範囲と考えると周波 数範囲は±10KHz程度かと思われる。

この程度では同社のセンターローディングのHV−4と比べ大差は無いように思われ、期待外れというか、不満である。
参考までに同程度の短縮率のコメットCA−7HR(センターローディング)では中心周波数が7.03MHz付近で1.1であり、7.01〜7.05MHzが1.5以下のため±20KHzとMDシリーズより広い。

SWRだけが低ければ良いとは一概には言えないかもしれないが、たかが1/4波長のホイップである。
利得なんか無いに等しいのだから、SWRが落ちないことには話にならない。耐入力が大きいというかもしれないが法定限度(移動局は50W)の出力を考えた場合には無意味 だし、もう少し何とかならないものかと思う。
期待しただけに不満である。飛びは所詮、短縮型のホイップだし7MHzでは極端な差は無いように思われる。
このコイルでは7MHzは特定の周波数(例えば7.099MHz等)とかCWのように、あまり周波数を大きく移動しない運用向きと思われ、CWから7.099MHz付近のようなバンドエッジまでフルに使うにはSWRの関係で不向きと思われる。
もし、このコイルを買おうとするなら予め納得して割り切るしか無さそうである。今後の改良に期待か?

21MHzも測定してみたが、こちらは調整しても21MHzよりも低い周波数になってしまい(20.8MHz程度)21.1MHzで1.7程度。21.2MHzで1.9/21.3MHzで2.2/コンテストで多用する21.4MHz付近だと2.5と芳しくない。
21MHzの調整はコイルの横に有るツマミを緩め、巻かれたベルトを上下にスライドするのだが、これを目一杯上にしても限界である。
なお調整幅は300KHz程度と思われる。(20.5MHz〜20.8MHzまで変化のため)

なぜ共振点がズレているのかメーカーに問い合わせてみたところ、ボデーに直付けの基台で使う設計のため今回のようにアース線を付けたりすると、共振点が狂ってしまうためとのこと。
今回の場合、21MHzはCWをやるのがやっとで、チューナーで誤魔化すしかなさそう。
(現状では7と21が連動していないように思われるため調整不能)やはりモノバンドのカセットコイルにしておけば良かったかと後悔しているところである。

メーカーの解説によると、本来の設計がボデーに基台を直付けにしてアースを取って使う設計のため、私の様に基台とアースが離れている(アース線が長く、容量を持ってしま う?)場合には設計値を満足出来ない場合が有るとのこと。
言われてみると確かにアース線は30cm以上有り、その影響で28MHzのSWRは下がらない傾向に有るもよう。

本当はハッチバック基台等を使って最短距離でボデーアースが取れれば、それに越したことは無いしそれを言われると私も強いことは言えない...(^^;)

その後、9月6日にアース線の長さを変えて実験してみた結果、アース線が40cmの状態で中心周波数が21.2MHzに合った。
この状態でSWRは1.1/インピーダ ンスは約50Ω。21.4MHzでSWRは1.3/インピーダンスは約40Ω、21.0MHzでSWRは1.7/インピーダンスは約60Ω。調整位置は限度一杯であり余裕は無い。
 
調整に余裕を持たせるには、やはりアース線を短くするしか無さそう。帯域幅はSWRを1.5以下で使った場合に400KHzくらいは有り、実用上は問題無くバンドをフルカバー出来そう。

このコイルの場合、21MHzをメインにして7MHzは特定の周波数でのみ使うのが向いているかもしれない。

参考までに別のメーカーの7MHzのホイップを試しにアース線を1mにした状態では、アース無しの状態で7.260MHz付近のが6.940MHz付近となり、かなり 周波数が下がると思われる。
なお、この状態でアース線を40cmにすると7.050MHz付近に同調する。
アース線を1mの状態でコイル状に巻いてみても変化は見られなかった。
しかし、この線をパソコン用の分割型のフエアライトコアに巻き付けたところQが上がったとみえ同調しなくなった。
(^^;)

本来はアース線は可能な限り短いに越したことは無いのだが、私の車の場合ボデーにキズを付けない状態でやろうとすると基台やボデーにアースを取る位置の関係(ハッチバックの金具の留めネジ)で、最低でも40cm程度になってしまう。
そのせいか28MHzでは思うようにSWRが下がらず、人体の影響も受けやすいようだ。ただし50MHzは問題無し。
(これは同じメーカーのHV−4というセンターローデイングのホイップの場合で、50MHz以上で影響が出ないのはコイルの長さが影響しないためと思われる)

同様に同軸ケーブルの長さの違うもの(4mと5m?)で測定してみたが、短い4m物の方がSWRは低かった。
4m物は細いケーブルが1mと5Dが3m、5m物は細いケーブルが0.5mと残りが5D)参考までにマグネット基台(3D−2Vの同軸が4m)でアースを取らないで測定してみたがSWRが高く、アースが無いと実用にはならないようだ。

このアンテナは低い周波数帯にも有効では有るが、高い周波数帯の方が実効エレメント長が長くなるので効率が良さそうに思われる。
今後はやはり14MHzか3.5MHzのコイルを買って試してみたいと思う。
(21MHzはあまりコンデイションは良くないし、相手も少ない。WARCバンドでは尚更で投資する気にもならない)

平成13年の3月に3.5MHzのコイルを買って調整してみたが、このバンドも帯域はSWRを1.5以下に限ってみると20KHzくらいのようだ。
(当然ながらSWRの範囲を2くらいまでに拡大すれば、使える帯域は広くなる)
 
なお、この時に周波数帯が安定しないと思ったらホイップ本体の下部とカセットコイルを接続しているエレメントのネジが緩んでいた。
このアンテナの場合、こういうトラブルにも注意が必要なようだ。

それとアース線も普通のビニール被覆の銅線(単線ではない、スケア線)を錫メッキ軟銅線の網線に変えてみたが共振周波数は長さに比例するものらしく、変化は無かった。
やはり太さには関係は無さそうだ。

その後、7MHzのコイルを買い直したが、これの帯域もSWR1.5の範囲だと30KHz程度のもよう。
コイルの大きさの割には期待した程でも無いようである。でも他のメーカーの物に比べると帯域幅は広い。

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