JARL存続問題を考える

最近、(これを書いた時点は平成10年頃)パケット通信を見ているとJARL(日本アママチュア無線連盟)の存続に
ついて色々と取り沙汰されているようである。元はといえば終身会員(一時的にまとまった会費を払い込めば以降の
会費を免除されるシステムの会員で、最近ではJARLは終身会員ではなく会費前納会員と言っている)の会費が昨
今の金利の低さから元が取れない状況になっており、JARLとしては今やお荷物状態になったこれらの終身会員を
切り捨てようと考えていると言った(書いた)人が居るからである。

現実に平成13年だったか14年頃には理事会で終身会員の期限を会費を納めた年によって会員の期限を決めよ
うとして終身会員に対し文書で、○年までに終身会員になった人は平成○年まで、△年からの人は△年までと期限
を切るように決定した旨の通達が一方的になされたのである。その後、この話はJARLの役員選挙が有ることも有
って棚上げされ、今日に至っているが更に収入不足となれば必ず出てくるであろうことは想像に難くない。

中にはJARLを解散せよと言っている人も居るが、それはあまりに性急な話であり会員を無視した話でないだろう
か?(終身会員も含め、現在の会費を清算して残りを返却して解散という案)

仮にJARLを解散したとして、その受け皿となる団体等の組織は有るのか?(現状では残念ながら無い)

JARLが郵政(現在は総務省)に対して圧力団体になっているかは不明だが、こういったアマチュア無線家の民意?
を伝える組織が他に有るか? 他国に対しての対外的な窓口はどうする?

こういったことを全て考えて、それでもJARLを解散させるメリット??が有るのか...
社会的責任を取れるのか??

私、個人としてはJARLはQSLカードを転送してもらう為に入会しているので、このサービスが受容できうる範囲内
の有料化なら飲める(現在は会費は払わなくても済むが、受益者負担として新しい負担に応じる用意は有るという
こと)が、そうでなければQSL交換を止めるか、最悪は退会するか...
退会しても終身の場合は会費の清算・払い戻しは無いはずなのでメリットは無い

それにしても個人会員で年間に7,200円という会費は決して安いとは言えない。私自身も入会した20数年前には
年間1200円の会費でさえ一括では払えず半年ずつ払っていた記憶が有る。今だって就職していない中高校生等
の学生等の場合には負担が大きいだろうと思われる。それでいて目に見えるサービスといえば2カ月に一回のQS
Lカードの転送と薄っぺらなJARL NEWSの送付だけ、会員割引といって宿泊施設だとかレジャー施設での会員
割引のメリットが有るには有るが、これは本来の会員サービスとは違うものだろう。こういう所を利用しない人間には
何のメリットも無いのだから、その分を会員サービスに回して会費を安くする等をしてくれた方が有り難いというもの
である。JARL NEWSもインターネットをやっている人間にはホームページを見るという手段で代行は可能だが、
それが出来ない人間には2カ月遅れで決定事項等を知らされることになる。CQ Ham Radio誌にも昨今はJAR
Lからのお知らせが載るようになったものの、800円以上も出して雑誌を買う人も少ないだろう。



では支出を減らすにはどうするか?

まずは必要な物以外には金を掛けないことである。

企業であれば真っ先に手を付けるのは経費節減。製造業なら材料のコストダウン、作業効率の向上、工数等を削
減する。光熱費の削減、残業・休日出勤等の時間外勤務の制限、事務用品等の節約。広告宣伝費の縮小、交際
費の削減etc.それでもダメなら最後は人員整理である。役員の英断を期待したいものである。
これを書いたのは1998.08.31

JARLの場合は、何処から手を付けるのか? と思っていたら、なんと! QSLカードの転送回数の削減という会
員サービスのカットだった。これは企業が製品のコストを下げるために材料費をケチるのとは違い、商品の数量を
半分にするというような信じられない行動である。これでは自分で自分の首を絞めるような所業である。現在の会員
が何を目的として会員で居るのかは判らないが、私の場合はQSLカードの転送を目的として入会し、終身会員にな
る際にも7,200円の年会費に対して、当時で8万円の終身会費は「10年は続けられる」と思って支払った金額な
のである。金利が下がった云々は予測出来なかったことであり、支払った人間には関係の無い話である。
受け取った会費で、どういう運用というか経営をするかは経営者の才覚である。それが出来ない会社は倒産の憂
き目に会うだけ..ただ、会社が倒産することによって従業員が路頭に迷ったり取り引き業者まで連鎖倒産するの
は避けねばならないが..もちろんJARLは非営利組織=社団法人という反論は有るだろうが..)
 

私だったら...
難しいですね。人員整理と簡単に言うけど人には家族が居るのである。簡単に整理出来る問題ではない。
地方に移転するにしても単身赴任等の苦を強いることになる。職員の生活に影響する問題だし簡単には行かない
かもしれない。

人によっては支部を整理・統合して金を減らすという案も有るようです。(現実に地方の事務局が廃止された所も有
る)対案として支部は現状でも支部費(政府なら地方交付税でしょうか?)を減らす等々、有るようです。どれが特効
薬になるのか判りませんが、少なくとも会費の値上げの回避と、QSL転送サービスの維持だけは確保して欲しいも
のである。その為に支部の行事が減っても止むを得ないと考えていますが...
支部の統廃合に関しては平成12年あたりから始まり、JARL NEWSも隔月になる号も出てきた。これはこれで
経費節減とは言えるのだろうが、考えようによっては会員へのサービス低下である。毎月JARL Newsを発行し会
員に情報提供していたのを止めるというのだから、企業が価格は据え置いたものの商品の量を半分にしたりコスト
をカットして粗悪な物にしたようなもの
客にしても商品が無くなっては不便になるから仕方ないとは思うかもしれないが、他にもっと良い物を提供するメー
カーが出来れば、そちらを買うだろう。他に代替えが無いからガマンしているだけである)

99年の3月からQSLの転送が隔月になった。いくら総会に諮らなくても良いとはいえ、随分と性急な決断であり、
会員を無視したやり方としか思えない。これは「消費税」と同じで、一度決定してしまえば後は、なしくずしに三ヶ月,
半年と延ばしていく可能性が無いとも言えないだろう。これでJARLの会員離れに拍車が掛からないことを祈りた
い。個人としてはJARLにはQSLの転送サービスの低下はして欲しくは無かった。
仮に他のQSL転送会社でも出来ればサッサと乗り換えるに違いない。JARLの存在意義は認めるものの、QSLの
転送サービスが期待出来ない状態で、現状の会費を払う気は無いので...
(’99年2月7日記す)

平成13年(2001年)にはE−QSLという、電子メール感覚で使えるQSL交換のシステムが構築され、平成15年
現在では実用になっているようである。(国内の場合はQSO-BANK)しかし、私も登録してはみたもののデータの
アップにハムログからのデータを変換してアップする必要が有る等、使い勝手に難が有り初心者には敷居が高い。
個人的には手間は掛かっても紙のQSLを交換する方が手軽だし、貰った実感が有る。
メールと同じで後で検索等は容易に行えるものの、手書きの手紙のように味も無ければ切手や封筒、便箋を眺め
て当時を思って感傷に浸る気分も少ないと思う。この辺りは手段と割り切れば有効なシステムだと思うが..

当初は海外のサーバーで行っていて、ホームページを見ても英文で説明が書かれているため英語の苦手な私等に
は敷居が高く、利用するには時間が掛かりそうだった)しかし、これがもっと容易になり本格的に運用され、皆がこ
のシステムに乗り換えて紙のQSLを交換する習慣が無くなったらJARLは果たして存続することが出来るのだろう
か?。平成17年現在、QSO BANKでの電子QSLも交換してはいるが個人的には紙のQSLの方が実物が有る
のと手にした重み?が有る気がする。古い人間なのかもしれないが..

今まではQSLカードの転送が云々と言っていられたが、その負担が無くなっても会員が激減するのは目に見えるよ
うだし、財政的に破綻するのは火を見るより明らかである。この先、JARLが生き残れる方法は有るのだろうか?

少なくとも今の時代では無線家の増加は期待できそうに無い。ジリ貧になるだけ。携帯電話で何でも出来るような
時代になっては、よほどの田舎や山の中、海の上でも無ければ無線を持ち歩くメリットは少ないし、そうなった場合
でさえ逆に無線人口の減少によって連絡を取り合う相手さえ居ない虞が有る。携帯電話が普及する前の、仲間内
の連絡用くらいの感覚で無線をやっていた人間にはJARLに入るメリットも義理も無いから戻って来ないだろう。

現実に無線を聞いても、今無線を熱心にやっている人間は熱狂的なアワードハンター、コンテスターと無免許の人
間(V・UHFのFM)くらいのもの。普通の無線家はインターネットとかに転向してしまって残っていない。こんな時代
に会員を繋ぎ止めておくべき会員サービスをないがしろにして続けられるのだろうか?他人事ながら心配である。

QSLカードの交換もしないのに会費を払い続ける奇特な人がそれほど居るとも思えないし..
(終身会員のメリットを心配しているだけかもしれないが..苦笑)

平成17年6月、加筆修正。

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