技術基準適合(技摘)に思うこと

1999年の4月に某Y社から発売されているHFの小型機(100W機)を購入した。移動で使うため本当は50W機
が欲しかったが店に置いてなく、不本意だが100W機を購入した。
以前、K社のHF機(100W機)を買った場合には50Wに改造する方法が取り扱い説明書に載っており、2アマ以
上であれば送信機系統図を添付するだけで、問題なく保証認定で免許された。

今回も、そうすれば良いと思って取り扱い説明書を見たのだが載っていないのでメーカーに問い合わせたところ、
『出力の切り換えが出来る物は技適の対象外になるため、出力切り換えを最近は止めた』というような内容のこと
を言われ、更には『改造して50Wに固定した証明書を付けないと2アマ以上であっても保証認定が出来ない』とま
で言われたのである。

不本意な仕様を買わされ?、なおかつ改造代は有償で、申請時には『保証認定』のため、技適に比べ1200円も
余計に払わねばならないのである。これでは何のための技適なのか分からない。申請しないで使えばバレない限
りは無駄な出費は不要だと考える不心得者が出ないとも限らない。

この辺りの考えが郵政の指導なのかJARDの見解なのかは知る由も無いが、何とも納得のいかない話である。
出力を上げるならともかく、下げるのがダメというのは杓子定規、いかにもお役所仕事ではないだろうか?
規制緩和が叫ばれる時代に何とも奇妙・矛盾した話だと思うが...

もともと技適は無線機が技術基準(郵政省令?)に適合していることを証明する機関を設立するのが望ましいとの
郵政の意向でJARD(日本アマチュア無線振興協会)なる機関(財団法人)が設立され、免許申請をやりやすくする
目的で作られたはずである。そのためJARL(日本アマチュア無線連盟)で行っていた無線機の技術基準に関する
保証認定の業務とアマチュアの無線従事者(四級および三級)の養成課程講習会の業務を移管したのである。
この背景には社団法人ではダメだということで、わざわざ別の『財団法人』。しかも設立時に資金が不足するとの
ことで、JARLから人と金を付けてまで作ったのである。アマチュアの利便を考えて作ったはずの組織が逆に規制
の口実になっているとすれば許し難いことである。

悪く考えれば何でも飯のタネにしようという財団法人的な考えでは有るが、郵政OBの天下り先であって、アマチュ
ア無線家にはメリットの無い法人としか言えない。こんな法人を設立する際にアマチュア無線連盟から資金を拠出
したのかと思うと腹立たしい。拠出した資金を早く回収してほしいものである。JARLとJARDの会長は同じ人なの
であるから余計に腹立たしい。しかも財団法人は社団法人のように総会に諮らなくても重要な事項が決定出来ると
いうのであるから始末が悪い。このような組織が有るから包括免許制度が実施されないと言っても過言ではあるま
い。(包括免許にしてしまうと技適や保証認定といった資金源が無くなる)

平成12年に法令が改正され、技適機種を使って申請する場合はJARDの保証は不要となり、1台あたり300円の
手数料は不要となった。(直接、総合通信局に申請すれば良くなった)

その後、技適の無い送信機で免許申請を行う場合の保証認定の機関がJARDではなくTSSという会社になってし
まった。これは郵政(総務省)の意向とのこと。そうなるとJARDは一体何だったのかと言いたくなる。

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