電鍵
 
無線通信の基本は電信(モールス)であるが、電信に欠かせない物は電鍵である。符号も満足に打てない人間が能書きを垂れるのも、おこがましい話だが手持ちの電鍵について書いてみたい。
 
縦振り
基本的にはストレートキーと呼ばれる縦振り電鍵である。これも細かく言うと日本式というか写真の様な、ツマミの部分と接点を結ぶアームが真っ直ぐな物と、米式と呼ばれるツマミの部分が下に下がった物が有る。

この違いは前者が短点と長点の多い和文(カナ)の符号を多く打つのに対し、後者は符号の少ない欧文(英数字のみ)を打つ、打ち方の違いに起因しているそうである。

和文の場合は押し下げだけでなく引き上げて打つ事も多いため、米式電鍵だと打ちづらいのである。
欧文の場合は押し下げて、バネの戻る力でだけでも打てるそうだが和文の場合は1符号当たりの短長点の組み合わせが多いので手首で引き上げて打たねばならず、米式は向かないらしい。

縦振りの良い所は自分の意思に忠実に符号が出ることである。だから、声と同じで符号を聞いただけで誰が打っているか判るそうである。
逆に下手な人間はモロに下手なのがバレてしまうので、「手崩れ」といって短点が綺麗に打てなくなると使えなくなる人が多いのと、慣れないと力が入ってしまい手が疲れてしまうのが難点である。しかしながらプロはこのタイプの電鍵が使えないと一人前ではないのである。
現在は国家試験においてエレキー等も使えるようになったらしいが、昔は縦振りかバグキーと呼ばれる短点だけが機械的に半自動的に出る電鍵以外は使用出来なかった。
 
大昔の通信士は縦振りでも1級だと1分間に125字(欧文)もの速度で叩いていたようだ。
(現在は法律が変わって1級でも100字(欧文)の速度になっているが..)


縦振り電鍵の例

HIMOUND(ハイモンド) HK−703
 
ハイモンドとは「高塚さん」という人の名前から来ているそうである。ブリヂストンが「石橋さん」なのと同じである。
ツマミはツバが付いているが、これは昔の無線機が真空管のカソード電圧か何かをキーイングしていたため感電を防ぐためという説もある。
接点や軸受け部分を覆っている透明なプラスチックカバーも同様か?
台はモールドだが中には鉄板のような重量の有る物が入っており、1Kgくらい有る。この上のモデルは台が大理石だが重量が軽いため、こちらにした。価格8,300円。これ以前に電信級受験時にHK−709か何かも買ったが何処かにやってしまった。もしかすると物置に仕舞い込んでいるかもしれない。(価格は3,980円)


スクイーズキー
ベンチャー・JA−2
短点と長点用の独立したパドルが有り、親指と人指し指で挟むようにして打つ。
慣れてくると同時に押さえて「C」とか打てるそうだが、私には無理である。
このタイプの電鍵は「エレキー」と呼ばれる自動的に符号の間隔を正しく打つ機能を持つ物に接続して使用する事が多い。
縦振りだと手崩れする人でも打てるのと、高速で打てるというメリットがあるので昨今は愛用者が多い。
定価は18,500円と高め。私が買った時は、もう少し安かったと思う。

余談だが似たような格好をしていてもパドルが単独では動かない、シングルレバーの「ST−2」というのも有るので要注意。
私は知らずにJA−2と間違ってST−2を買ってしまい、取り替えてもらったことがある。

台が黒のJA−1とか全て(パドル以外)金メッキのJA−3(当初はJA−3は台が黒で、全部金メッキの物はJA−4と言った)というのも有る。
BY−1とかいうタイプがJAシリーズの原型で、こちらにはバネの調整機能が無い。。
 

 
スクイーズキーの定番とも言えるBENCHER(ベンチャー)のJA−2
 
台はメッキで重量は有るがゴム足なので力を入れ過ぎると動いてしまう。(^^;) 
平成16年の5月、静岡の方に譲った。

ベビー電鍵
縦振り電鍵の小型の物。写真は「CQ Ham Radio」誌の懸賞で当たった物である。クジ運の悪い私にしては珍しく当たったので移動運用の時にでも使えるかと思ったが、移動に行く機会も少なく(暇が有ると旅行でも行った方が良いとなってしまうので...)箱入りのままだった。

台は木製、金属部分は真鍮。裏は緑のフエルト貼り。発売元は「MIZUHO」で「D−51]という呼び名が付いているが輸入品のようで、英語書きの部品リストが入っている。平成11年の秋に近所の無線仲間に譲ってしまった。
 

 
MIZUHOのベビー電鍵「D−51」


エレキー
EK−150(カツミ)
1989年の7月に弟が買った。エレキー内蔵でスクイズキーヤーのパドルが付属。
キーはスイッチ一つでバグキーモード(短点のみパドルを押すと連続で送出する)に切り換え可能な、「セミオート」モードが有る。

エレキーのスピードはパネル上のツマミで連続可変出来る。モニター音の音量調整も同様に可。
送信速度は20〜180字/分。電源はAC100V。購入価格は16,900円。
長い間お蔵入りになっていたのだが、平成24年の4月に一級総合通信士を受験するという方から譲ってほしいと言われて譲った。


カツミのエレキー(パドル付き)「EK−150」

左上のスイッチはオート(通常のエレキーモード)とセミオート(バグキー風動作)の切り替え。
右上のスイッチは電源のON/OFF。
左下のツマミはスピード調整、右下のツマミはモニターの音量調整。



ハイモンドの練習用縦振り電鍵
平成12年になってから買ったHK−705(左)は練習用の小型電鍵(ただしツマミはホームセンターで引き出し用のツマミと交換している)右は同じ年に太田のハムショップで中古で買った電鍵だが、見ると何故か同じHK−705と、型番が同じ。
左のは台も薄く、重量も軽いので机等に固定しないと動いてしまって具合が悪い。

右のは裏に鉄板が入っているがHK−703に比べると軽い。(HK−703だと2枚入っている鉄板が、1枚だけ。
現行のHK−705は定価2,450円。


左が現行のHK−705で右が古いタイプのHK−705


GHDキー社製の縦振り電鍵
GT−505L・平成14年、CQ誌の新年号モニタープレゼントで当選して貰ったもの。買うと定価11,500円。
大きさは長さが12cm程度。縦振りだがストレートではなくツマミの手前から下に曲がった、「米式」のような形。
カバーは透明のアクリルか何かが付いている。リグに接続するコードは2芯のシールド線が最初から接続されている。
底面にはゴムが張られていて滑りにくくなっている。使うのが勿体ないので箱に入れたまま。(^^;)
GHDキー社のGT−505L
GHDキー社のGT−505L

他にはハイモンドのHK-707という米式の電鍵で黒いカバーが付いているのも、太田市のハムショプで中古で買って持っている。 持っているだけで使うことは無いのだが...  
ハイモンドのHK-707・太田市のハムショップで中古で購入。
HK-707は米式電鍵(アームが下に曲がっている)

カツミのKM-2

カツミのマニュピレーターというかパドル、スクイーズキーヤー。
ベンチャーのJA-2を手放してものの、手持ち無沙汰で買ったもの。
土台が重く、少しくらい力を入れて叩いても動かないのが良い。
パドルの間隔も個人的にはこのくらいが好み。
ハイモンドだと狭すぎて使いづらいが、カツミのは個人的には好き。
手入れをしていないので埃を被って見苦しいのは、ご愛嬌。(^^;)

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