電信(CW)
(2022年8月追加修正) 
電信、モールス符号を使った通信のことである。
CWとは連続波
(Continuous wave)の略。火花電波のように減衰せずに、発振を持続する電波。アマチュア無線家の間では、モールス符号や無線電信の意味でも用いられる。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

モールス符号を電気信号に変換して、無線で通信する場合の電波の形式をCW (Continuous Wave あるいはCutting Waveの略)といいます。(A1クラブのHPから引用) 他にもCarrier Wave(搬送波)等と諸説有るようです。

少しだけ能書きを書くと、モールス符号というのはアメリカ人のサミュエル・モールス(1791−1872)が考案した符号のこと。

電信による通信には電波形式A1Aと呼ばれる、搬送波を断続する方法以外にも振幅変調を掛けたA2Aという、AMを受信出来る受信機で音響受信が可 能なようにした方式や、同様にFMを受信出来る受信機で聞けるようにFM変調を掛けたF2Aという方式も有るが、一般的に電信といえばA1Aを指す場合が 多い。
(ここでいうAMやFMとは一般的なAM=中波放送、FM=FM放送の意味では無いので注意)

元々は船舶通信に主として使用されてきたが、昨今はデジタル化されてきたため衰退の一途をたどっていると聞く。
今後、電信が生き残って行くのはアマチュア無線だけかもしれない。
現在も防衛省(自衛隊)や漁業無線でも使われているが..

今となっては原始的ともいえる、短点と長点の組み合わせで意思を伝える方法だが、逆に短点と長点だけで意味が伝わるためモールス符号を知ら ない人間相手には秘話性が有るともいえよう。
余談であるが「ゴルゴ13」という漫画の中でサンバか何かの祭りの中でタイコ等のリズムが変わっていると思っ たら、それがモールス符号だったというのが有る。

それと、仮に電話等の設備が故障で使えなくなっても、電波さえ出せれば搬送波の断続によってモールス符号を送って意思を伝えることが可能になる。 それゆえプロの通信士は縦振り電鍵等のシンプルな構造の物を使うとも聞いた。
なぜならエレキーのような便利な物は使い勝手は良くても壊れたらアウトだからである。
現在はプロの無線局でもエレキーを使っているようだが、それでも予備?に縦振り電鍵は常備されているようだ。

船舶通信のように多くの人命が掛かった通信にとって、電鍵は絶対に故障してはならないのである。
函館で元,青函連絡船だった「摩周丸」の通信室を見学したが、そこには縦振りとバグキーしか無かった。

プロというのは縦振りで打って当たり前、バグキー等は手崩れして縦振りが使えない人間が使う物という風潮が有ったそうで、そういう意味ではエレキーなんぞは邪道,キーボードなんかは論外であろう。
昔はエレキーどころかバグキーさえも無かったし、縦振りか少数派の横振りしか無かった筈。
亡父から聞いた話では軍隊の通信士は手崩れするというので、力仕事はしなかったそうである。

一般的には欧文といわれるアルファベットと、数字,記号等。それ以外には和文とよばれるカナ50音。
アマチュア無線では欧文が標準で、和文も使われるが現在は試験科目からは削除されている。
それも受信のみで送信の試験は無い。
(現在は音響受信の試験すら無くなり、法規の試験の中に特定の文字のモールス符号が、何を表すかを問う項目が有るだけ)

私が最初に電信級(現在の三級アマチュア無線技士に相当)国家試験を受けた際は送信と受信、学科で2日を要したものである。
この時は勉強の仕方が悪かったせいか受信がメロメロ(練習した45文字/分の速度よりも25字/分は遅すぎて符号の切れ目が判らず、全く取れなくなってし まった)で不合格。送信は縦振り電鍵で試験官と向かい合って、受験番号から送信(ブザーで鳴らす)試験問題を叩いたが、送信では特に指摘はされずに終わっ た。(汗)

その10年後に東京晴海のハムフェアの会場の講習会で合格。更に8年後に東京蒲田の工学院で2アマを受験して不合格。
その時は他の受験者の鉛筆の音が凄くて集中できなかったのと、一文字でも抜けた時に飛ばす事をしなかったので後が続かず..

その2年後に長期出張先の山形から仙台の会場で受験して、通信術だけ受験と思ったものの受験料が勿体無いと思って1週間前になって学科も勉強し、合格。
現在に至っているが電信は全くもって出たことがありません。
たまに聞くことは有りますが、交信しようという気にはなりません。
自転車で高速道路を走るようなもので怖くて..(笑い)

プロの世界では欧文で100字/分程度が試験のレベルになっているが、アマチュアでは一級でも60字/分(和文は50字/分だった時期も有るが、平成8年頃に廃止)二級は45字/分、三級は25字/分だった。
(既に過去形・平成17年の秋辺りから電波法が改正になり三級は法規の試験の中に書かれた符号について回答する方式になり、二級以上は昔の三級の1分間25字の速度に統一されレベルが下がってしまった)
現在は1アマ、2アマとも通信術の試験は無く、モールス符号に関する問題は法規の試験の中に含まれるだけになっています。

参考までに昔の一級無線通信士は欧文で1分間125字程度のレベルだったそうで、今の一級総合無線通信士はレベルが下がっているため国際的 には一級無線電信通信士ではなく、格下の二級無線電信通信士扱いとも聞いた記憶が有るが定かではない。
一級総合無線通信士は国際法上は一級無線電子通信士と 無線電信通信士の両方を所有していることになっている。
(海上無線通信士は無線電子通信士のみ)

1分間25字程度であればアルファベットの符号を覚えて、短点と長点の数を数える程度で合格は可能かもしれないが、二級以上は難しかった。
聞いた符号を紙に書くのに、手が動かず苦労する人も少なくない。
これは私も2アマを受験した際には苦労した。
慣れれば何ともないことだが、慣れないと書く方に気を取られて聞く方が疎かになり、聞逃してしまうし悪循環である。
若い人や横文字を書くことに慣れている人は別として、普段横文字を書き慣れない人間が、聞きながら横文字を連続して書く等というのだから苦労する訳である。

符号の覚え方も色々と有り、英語の単語カードに書いて、それを見て覚えるとか語調法といって「A」なら「アレー」、 「B」なら「ビートルズ」などと語呂合わせで覚える方法も有る。
これは昔、軍隊で電信の心得の無い兵隊を通信士に仕立て上げるのに用いた方法とも聞く。
その関係で和文の語調音には軍隊用語を割り振ったものが多い。
たとえば「イ」の「イトー」(伊藤?)や「ノ」の「ノギトーゴー」(乃木・東郷),「ロ」の「ロジョーホコー」(路上歩行)etc..
これも軍隊によって諸説有るそうで、「ロ」をロボーのトウ(路傍の塔)と言う所も有るらしい。

合調音式は速度が速くなると頭の中で「・−」が[A]となるまでに、「・−」、「アレー」、「A」と変換して手が動くので追従出来なくなるとも聞く。

音感法は「・−」を「A」と書くので手さえ反応できれば追従可能で、合調音式に比べ高速向き。
トレーニングとしてはカセットテープ等で聞きながら符号を書くだけ。

テープも私の場合、「CQ出版社」と「ACW」の2種を使ったが、2アマ用はCQ出版が速い。1アマは逆の気がする。
音質はCQ出版よりもACWの方が低音で国試に似ている気がする。
2アマ用にはACWで練習して100%取れるようになったらCQ出版を使うようにすれば完璧だと思う。
余裕が有れば60字での受信練習も悪くないと思う。
(1分間25字の試験に対して45字の受信練習は差が大きいので、あまり勧められないが...)

受信練習は必ず書きながら行う。これをしないと本番で手が動かず苦杯をなめる結果になる。
45字程度でさえ苦労するのであるからプロの100字なんてのはハンパじゃない。
近所の無線仲間にもタイプライターを使えば120字は取れるという人が居たが、手書きでは流石に難しいそうである。

それと符号の速さへの対応も、ある程度の速度の所に壁が有り、乗り越えるのに苦労する。
(プラトー現象というらしい)
私のように電信が不得手で普段やらない人間には苦痛でもある。

現在は子守歌代わりに120〜130字の速度のテープを聞いているが、はっきりと取れるのは半分程度で単語として判断できるのは「the」とか「for」等のメジャーな符号くらいのものである。
しかしながら「CQ」,「DE」だけは速くても判るのだから、慣れとは恐ろしいものである。
(現在、ACWのテープは倒産したとかで売られていないので中古で探すしかないが..)

電信のコールサイン聞き取りソフトでも最高で100字くらいしか取れないし、通常は60字前後。
苦手なのは数字の「7」と「8」,この差が聞き分けられない。
この部分だけ集中して聞く練習をすれば良いのだろうが...

平文(通常の文章)は前後の文字関係から一文字くらい取れなくても理解できるが、コールサインは1字でも抜ければ用をなさないので難しい。
おまけに平文では出る機会の少ない「Z」や「X」も頻繁に出題されるので、訓練には良いと思う反面、あまり連続した符号は無いのと平文ではないのでアマチュアの受験には向かないかもしれない。
(プロの試験には暗文も有るので、そういった意味では少しは役に立ちそうか?)

これをキーボードから回答・入力するのではなく手書きにすると国家試験の練習には、なるかと思う。 
昨今はパソコンで受信練習が可能なソフトもフリーソフトで有るので、そういう物で練習されるのも良いかもしれない。

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