パナソニックのラジオ RF-U06、音が小さい修理。

PANASONIC RF-U06
パナソニックのAM/FM/アナログTVラジオ
RF-U06

2020年の春頃にオークションで手に入れた上記のラジオ、30年くらい前のモデルだが当時としては珍しくシンセサイザー式でワイドFMまで聞けるというのと、作動品とのことだったので落札。

昔のラジオでもアナログならテレビが聞けた物はワイドFMの受信が可能だがシンセサイザー式だとチャンネルが固定されているため、ワイドFMは周波数が変えられず聞けない。
しかし、このラジオは最初からFMが108MHzまで受信出来る仕様のためワイドFMが聞けるのだ。
期待して落札したのだが届いて使ってみたら音が小さく実用にならない。
正直言って騙された気分。

このラジオは出力がHi.(MAX250mW)とLo.(MAX80mW)の二段階に切り換えられるのだが、どちらにしても同じで小さな音しか出ない。

イヤフォンで聞けば何とか実用になるレベル。
コンデンサの不良と思われるがNETで検索しても該当する修理事例が無い。
音が出ないというのが有ったが、こちらはスピーカーのリード片の接触不良。
他には照明のLEDの交換だとかYoutubeにいたっては操作が出来ないという物で参考にならず。
せめて回路図でも見つかればと思ったが、サービスマニュアルも無いのでお手上げ。

仕方が無いので修理してくれそうな所を探して、茨城の何でも修理してくれる所で同じ機種の修理(この場合はスピーカーの線が切れて鳴らないのを修理) をしたのを見つけ、ダメ元で修理を依頼。修理には送料も含めて約4千円...

結果、音は大きくなったが出力をLo.側にするとブブブブブという音がして聞けず。
Hi.側はOKだったが使っているうちに電池が弱ってくるとピーという発振音(連続)がして聞けなくなる症状が発生。
この時点で新品の電池を入れても変わらず。
(電池の電圧も使用に耐えないほど低くはなく、アナログのラジオでは問題無く使えた)

電池を抜いてしばらく(時間は不明、数日放置していたかもしれない)置いてから電池を入れると正常に聞けるようになる、これの繰り返し。

嫌になって手放そうと思ってオークションに出したが買い手が付かず、仕方無いのでダメで元々、壊すつもりでコンデンサを交換してみることにした。

修理してもらった所は何処を直したのか教えてくれなかったが半田面やコンデンサを見るとC59の10μFのもよう。
初期の物の耐圧が何Vだったか判らないが25Vの物が付いていた。
(他の物は概ね耐圧4V、電源電圧は単三電池を二本なので3V強)

以前、交換修理するつもりで見当を付けて買っておいた470μF/16Vと100μF/10Vのコンデンサだけ有ったので、スピーカーのリード片、
(この機種はスピーカーの配線が線ではなくリードの金属片がスピーカーに接触する仕様)に挟まれたC57(470μF/4V)とC49(100μF/4V)を交換してみた。
(コンデンサの耐圧は元から付いていた物と同じか、高い物ならokとのこと。耐圧が低い物はNG、ただ耐圧の大きい物は外形が大きくなるとのこと)
元々付いていた物は調べるとMマークが付いているので松下(パナソニック) 製のもよう。耐熱は85℃。
交換したのはニチコン製で、耐圧4Vの物が手に入らなかったので470μFは16V、100μFは10Vを使っている。
RF-U06コンデンサ
左の二つは元から付いていたコンデンサで右の二つは交換した物と同じ物。
高さが全然違うが背の低い物は入手しづらい。左は松下製? 右はニチコン製。

交換した470μFは元の高さが5ミリ程度なのに対して背の高さという意味では12ミリくらいも有るので、そのままでは干渉してケースは閉じられない。
横に寝かせても径が8ミリくらい有るため、高さが8ミリ程度となってしまいケースが閉まりにくい。
可能ならば高さが6ミリ以下の物が欲しいところ。

C57は基板に付いた状態で測って470μFに対して546μF? 、C49は120μFくらいと多め。
その後、取り外した状態で測定したところ470μFは100μFの容量しか無いのに対し、100μFは90μF程度で正常だったもよう。
コンデンサの場合は放電した状態でないと正確な値は判らないし、基板に実装された状態だと他の部品の影響も有るみたいなので正確な値は判らないかもしれない。

最初、C49を交換したのだがコンデンサの頭が長い(背が高い)ため収まらないので横に寝かして取り付け。
C57も付いていた物は同様に背の低い物だったが交換した物は背が高く、これも寝かしたがスピーカーのマグネットと干渉して収まりが悪いが無理やり蓋を閉めている。

結果は出力をLo.側にすると常時、ブブブ音がしていたのが無くなってスッキリ聞こえるようになった。
Hi.側は以前よりも大きな音が出るようになった気がする。Lo.側でも充分な音量なので現在はLo.側で使っている。
心配なのはピーという発振音が再現しないかだったが、新品ではない電池を入れても問題無く使えている。

外したコンデンサの容量を測ってみようと思ったが470μFは片方の足が取れてしまい測れなかった。
(後日、紙を綴じるゼムクリップを差し込んでテスターで測定したら100μF程度しか無かった)

100μFは交換前の物と変わらなかったので、これは交換する必要は無かったかもしれない。
470μFを取り外す際に基板のランド(パターンの部品の足が入っているドーナッツ状の丸い部分)が剥がれてしまい、オシャカかと焦ったが大丈夫だった。

それ以外にも近くにはチップ抵抗等の小さな部品が有るため、下手をすると半田がはみ出してショートしたりチップ部品を取ってしまう虞が有るので注意すること。
C49を取り外す際にハンダゴテがチップ抵抗か何かに触って取れかけてしまって慌てた。
ハンダ付けが得意じゃない人は手を出さず、得意な人にやってもらうのが無難。

コンデンサは背の低い物が手に入るのが望ましいが、無い場合は横に寝かせて付けるしか無さそう。
高周波の場合は出来るだけ足を短くするのが基本だが、低周波回路の場合は、そこまで気にすることは無いと思う。

使った工具は半田ゴテ(20~30Wくらいが理想、私は40Wでやってしまった)、コンデンサの足を切るニッパ、ピンセット、ケースを開けるための精密ドライバーの+(#0)、
半田少々、ハンダを取るための道具(私は今回は100円ショップで買ったハンダ吸い取り器を使ったが、ソルダウィックという網線状の物でも可か? 狭い場所だとコテ先との兼ね合いも有るが..)

ケースは裏側に二箇所と電池BOXの中に一ヶ所の計、三箇所。
ネジが外れれば表と裏を両手で掴んで引っ張れば外れる。
RF-U06ネジ留め箇所は3箇所

液晶等の部分は要注意、取り付け方が悪いと表示しなくなったりする。
最初、照明の光を拡散している半透明の板の取り付け順が判らなくなってしまったので、分解する前に状態をデジカメ等で記録するかメモしておくこと。

コンデンサは極性が有るので間違えると破裂したりする危険も有るので間違えないこと。
(C49を交換する際に極性を控えておかず、勘でやったら逆になっていて、再取り付け)
極性はC49、C57に関しては電池の極性と同じ向き。
マイナス側は縦に線が入っている方、足が短い方がマイナス極で逆に足が長い方はプラス極。

なお、これを参考に修理して不具合が生じても責任は取れませんので、交換される場合は自己責任でお願いします。あくまでも個人の備忘録として残しています。
コンデンサも低周波部分は交換しても調整は要らないと思うが、高周波関係は調整が必要になるかもしれないので問題が無ければ無闇に交換しない方が無難かもしれない。

このシリーズはFM/AM/アナログTVのRF-U05やFM/AMでAMがステレオになっているRF-U09、AMとNSB(現在のラジオ日経)が聞けるR-039というのが有るみたいで、未確認だが低周波部分の造りは同じかもしれない。

RF-U06コンデンサ交換前
RF-U06 コンデンサ交換前(コンデンサの背が低い) C57は470μF、C49は100μF

RF-U06 コンデンサ交換後

コンデンサの背が高いため、このままではケースが閉まらないため横に寝かせている。
RF-U06 コンデンサ交換・ハンダ面
RF-U06 コンデンサ交換のハンダ面

青く写っているのはICの足の短絡保護用に貼ったビニールテープ。
ハンダ面の当該コンデンサの近くにはチップ部品が有るので、ハンダ付けの際には短絡等に注意。

左側がC57(470μF)、右側がC49(100μF)。左上に見えるのは電池の電極。
C57の右側はパターンが剥がれてしまった。C49の下はチップ抵抗か何か

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