50MHz移動用ロータリーダイポール


完成した移動用ロータリーダイポール

平成17年8月、ふと思い立って50MHzの移動用にロータリーダイポールを作る気になった。

理由は50MHzでSSBやAMに出ると水平偏波の局が主流のため、垂直系のホイップ等を使うと偏波面の違いによるロスが出てしまい、聞こ えない飛ばない状態になってしまうため。ミニマルチの2エレHB9CVは持っているものの、組み立てるのが億劫なのと重量も軽くないので、それなりのポー ルが必要になり手軽さに欠ける。
ホイップを水平にするのは重量バランスの面で不利だし、ノンラジアルのアンテナでも使わない限りは無理。

そこで考えたのがアルミ棒を使うこと。しかしながら近所のホームセンターでは1m物は有るものの、2m物は無い。
園芸用のアルミワイヤーを使うことも考えたが細いものは加工は楽な反面、垂れ下がってしまい具合が悪い。
それと輪になって巻いて売られているため、戻してもエレメントが真っ直ぐにならず見栄えも良くない。

以前はメジャー(金属製の巻き尺)を切って使うことも考えたが、これも自重でエレメントが垂れ下がってしまい実用にならず断念。

考え方としては組み立て、分解が容易で軽いこと。
以上の条件を満足することを考えて出来たのがこれ。実は失敗作なのだが..
調整中の移動用ロータリーダイポール
(給電はワニグチクリップを使用したが、外れやすくNG)
試作品のロータリーダイポールの給電部周り
(蝶ネジを多用している)

エレメントはホームセンターで見つけた太さ6ミリのアルミパイプ。これを単純計算して中心周波数を50.5MHzにして片側1.48mにし た。エレメントの切断は100円ショップに売っていた小型のパイプカッター(300円程度)を使用。(金鋸で切るよりも楽でキレイに仕上がる)
エレメントを保持する物は5Cの同軸を押さえる金属製のサドルを使ってみた。


同軸(5C-2V等)を留める金属製のサドル。
(樹脂製も売られている)

給電はRadixのバラン(HFから50MHzまで使用可)を使い、リード線は金属製のサドルに圧着端子で共締め。
エレメントを載せる部分はアクリル板(厚さ5ミリ)を探してきて使用。

サドルは片持ち式のためエレメントの取付はサドルを中心からズラしてエレメントがアクリル板の中心に来るようにしている。アクリル板は移動用のポールに直付け出来るように中心に穴(6ミリ)を開けてネジ留めしている。

これを移動用のポール(5m高)で試してみたところクラニシのSWRアナライザで測ったらSWRが1.7くらい。
インピーダンスは30数オームと低く、IC-703に同軸を接続して内蔵のSWR計で測定したら3以上で実用にならず。
当初、バランを疑って同軸から直接給電してみたが変わらず。

そこで改良型としてバランに戻し、エレメントをアルミパイプからアルミワイヤーに変えて、アナライザで確認してみたが相変わらずSWRは高いまま。

数日して、どうもエレメントの間隔が狭すぎてポールと干渉しているのではないかという気がしてきたため、確認のためにホームセンターで塩ビのパイプ(2m)を買ってきて取り付けてみたが改善されず。ポールの問題では無いと判る。

そこでアクリル板から長めの木の板(長さ30cm)に変えてエレメントの間隔を広げてみた。この結果、いくらか改善されたが共振点は低い。
(SWRが高い原因として考えられるのはエレメントと中間に入れたネジの間隔が近接しておりアイソレーションが不充分なため、干渉していたものと思われる)そこでエレメントを切り詰めて調整。バンド内で1.5以下になることを確認。

その結果は、計算値よりもかなり短くなった。考えてみたらバランからエレメントに接続されているリード線もエレメントの一部として動作している訳だから、短くなるはず。バランからのリード線の長さ(約10cm)を計算に入れていなかった...

そこでエレメントをアルミパイプに変え、アナライザで確認しながらパイプカッターで少しずつ切り詰める。
最終的にエレメント長は片側1.36m程度になった。(バランのリード線は約10cmなので合計すると約1.46m)
アルミパイプは切りすぎると戻せないため1cm単位で切りながら調整するのが良いだろう。切り過ぎてしまったら仕方がないのでバランのリード線の長さで誤魔化すしかない。

これでも良かったのだが、欲が出て分解が簡単に出来る方法はないかと考えた結果はエレメントの支持に目玉クリップを使うこと。これなら取り付け、取り外しも簡単だし給電も目玉クリップに圧着端子で共締めでok。

で、完成したのがこれ。
真ん中は6ミリのネジを25φ用の塩ビのパイプキャップに穴を開けて共締めで留めている。
目玉クリップはエレメント1本に1ヶ所だと動いてしまうため2ヶ所で支持している。エレメントはリード線の取り回し等から下に付けている。


完成した移動用ロータリーダイポール
目玉クリップ4個でエレメントを支え、内側の2個の部分で給電している。

バランからのリード線はバラン側をU字型の圧着端子にして着脱を容易にしている。
バランのネジも蝶ネジに変えて工具無しでも操作が出来るようにしている。
これはHFの逆Vも同じ25φの塩ビのチーズ(T型の分岐管)を使用していいるため、エレメントのワイヤーが容易に着脱出来るようにしたため。

25φの塩ビのキャップ等は内径が32φ程度で、都合が良い。
(これの上の30φ用は内径が38φ)

難点は、このキャップの大きさが移動用のポールによって左右されること。
フジインダストリーのFSP-505だとパイプ径が35φと半端なため、そのままでは合う物が無く不便。
アンテン等の4.5〜6mの細いポールはパイプ径が細くなるので、もう一回り細い物を使う必要が有るが、これらは回転止めの機能が無いため折角のロータリーダイポールの機能が充分に発揮出来ない場合が有る。
(思うように回ってくれず向きが変えられない場合が有る)
ポールを取るかアンテナの利便性を取るか...

使用した物はアルミパイプ(外径6ミリで長さ2m)2本。目玉クリップ(サイズは豆)4個、ネジセット(3ミリを4本、ナベ小ネジ)、線材(1.25から2スケア程度、電源用の平行コードで可、2〜30cmも有れば充分)、圧着端子(線径
1.25から2程度の物で穴の大きさは3か4ミリ)、板(アガチス材で厚み1cm、長さ30cm、幅6cm)板を使う場合に、杉板等は弱いため避 けた方が無難。アルミパイプは2m物が手に入らない場合は1m物を繋ぎ合せて使うしか無いだろうが、その場合はエレメントの接続を穴を開けてタッピングビ スで接続するか、お手軽なら目玉クリップで共締めするか..目玉クリップやネジは使うアルミパイプの太さによって変わるため現物合わせが必要。
塩ビのパイプキャップ25φ用。(細いポールに付けるなら20φ用で可、使用条件によっては不要・水道コーナーに有り)

工具は圧着工具(無ければペンチでも出来ないことは無いが線が抜ける虞有り、お勧め出来ない)、ドライバー、ペンチかニッパー(線材の切断用)、ナットを押さえる工具。(小型のスパナ、ラジオペンチ等が便利)
他にはビニールテープが有ればエレメントの先端に巻いておけばケガ防止に役立つだろう。ドリル刃(4ミリと6ミリ)ハンドドリル等。(塩ビやアクリルの場合、無ければ半田ゴテで熱して開けるという手も有り)

バランはRadixのRB-301を使っているが、自作でも無しでも可。単にポールに取り付けて使えることから、これを使用しているだけ。
通販だと送料が意外に高いのが難点。私はハムフエアの会場で購入したため3,300円で済んだ。
(電車代の方が高かったけど..)

帯域はSWR1.5以内だと500KHzくらいか? もう少し太いアルミパイプを使えば広がると思うが..
私の場合SSBがメインなので50.1〜50.5MHzくらいまで使えれば支障は無いので、自分が多用する周波数に調整すれば良いだろう。


最終版のロータリーダイポールの給電部

目玉クリップの中間に樹脂のサドル(5ミリφくらい)を入れてエレメントの脱落を防止している。給電しない目玉クリップの所は電気工事で使う圧着端子の絶縁用のゴムチューブを入れている。(ビニールテープを巻いても可)
目玉クリップの間隔は10cm以下。この間隔なら片手で2つの目玉クリップを同時に押さえながらエレメントを装着することが可能。目玉クリップの中間に有る樹脂製のサドルは目玉クリップだけだと枝等に引っ掛かった場合、無理をするとエレメントが外れて落下するため補強用に追加した。

その他にもアイデアとして考えたのがエレメントの末端に圧着端子を付け、そこに直接給電する方法。
圧着するのは大変なので圧着端子にタップ、アルミパイプにダイスでそれぞれネジを切ってねじ込む方法。
しかし、これはアルミパイプ側にネジを切るのが上手く行かずボツ。後で考えたらアルミパイプの端を叩き潰して、ドリルで穴を開け、ネジ留めすれば済む話か?

給電部は接触抵抗等を考えると目玉クリップのような不安定な留め方ではなく密着した方が良いのだが、そうすると組み立てや分解に時間が掛かるので悩むところ。

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