オーブントースターのリフロー装置


 QFNなど小型のICが増えてきました。さすがにリードピッチが0.5mmmでは手付けハンダは難しいようです。
 リフロー装置が簡単に製作できないか調べてみたら、いろいろ紹介しているHPに出会いました。その中でオーブントースターを改造した装置が確実にハンダ付けできそうですので、試してみることにしました。

 下の写真が今回使用したオーブントースタ。随分使い古びたトースタですが、我家で30年近く働いてたトースタ(1981年製)です。単純機能と構造なのでなかなか壊れずに使っていました。 「そろそろ新しいのに買い換えたら」と家族に話したら、直ぐにOKが出て、今度はリフロー装置として働いてもらうことになりました。

                       

 先ずはこのトースタの改造です。出力切換えとタイマーは不要ですので、AC100Vの電源コードをヒータに直結します。トースターを分解したら簡単に変更できることがわかりました。電源コードの一端をヒーター側に差し込んで改造完了です。(黄色の矢印から赤色の矢印へ)

                       

 
 次に温度管理です。下記はネットで見つけたリフロー装置の温度プロファイルです。1分ほど150℃付近で予熱し、その後一気にハンダの融点まで温度を上げます。そこで数十秒温度を保ち、ハンダが解けたところで今度は一気に温度を下げます。この温度プロファイルは融点が230℃位のクリームハンダを使用しているときのようです。

                      
  これを温度調節計とマイコンで実現します。

  左側の写真が手に入れた山武製のデジタル指示調節計(モデル:SDC30)です。熱伝対を接続していますので20℃を示しています。
 この温度調節計で予熱とリフローの温度を検出します。試しに2つのイベント温度を150℃と220℃に設定し、熱伝対の先を半田鏝で温めてみました。見る見るうちに温度が上がり、各イベント点で"カチ!"とリレーが鳴りました。その後も温度は上がり続けて、ハンダ鏝の先は約300℃にもなりました。

  右側の写真はヒーター(オーブントースター)を制御するソリッドステートリレー(SSR)です。AC100VをON/OFFします。 

            
 

 マイコンでは予熱とリフロー時の各々の温度維持と時間を制御します。
 マイコンは手持ちのAT90S2313を使用しました。簡単な回路ですので下の写真のようにジャノ目基板に組み立てました。
 入力ポートはスタート、予熱とリフローの各イベント入力。出力ポートはSSR制御用だけで済みますが、ポートが余っていましたので各イベント動作表示用(LED)の出力に使用しました。

 
                            

 下が組み立て完了した写真。
 SSRは放熱器を兼ねてケースに直付けです。SSRのロード側は背面のACアウトレットに接続し、そこにオーブントースターのACコンセントを差し込みます。
 マイコンの供給電源(+5V)は、要らなくなった携帯電話の充電器を使用しています。(背面に取り付け)

          

        

 先ずスタートボタンを1秒以上長押しをするとヒータがONし加熱します。予熱温度に達するとヒーターをON/OFFさせ(実際は温度が下がる時間が長くON/OFFを繰り返しませんでした)、60秒間その予熱温度を維持します。予熱が終わるとハンダが溶ける温度まで一気に上げて、その温度で30秒間維持します。その後ヒーターをOFFし、冷します。
 
 下記のグラフが実測の温度プロファイル。低融点ハンダを使用する予定ですので、予熱温度は110℃で、ハンダ温度は170℃に設定しています。

 結果は、予熱として100℃から120℃の温度で80秒間熱し、その後一気に加熱。融点温度(165℃)に達すると30秒余り温度維持してハンダ付けします。その後ヒーターをOFFにして温度を下げます。ただ、思ったより直ぐに温度が下がらないため140℃付近で前面のドアを開放しています。
          
            

 何とかリフロー炉として実用できる見通しができました。
 後は実際に試してみることにします。

  部品に熱的なストレスを与えないため低融点(165℃)のハンダを購入しました。 
 先ずは48ピンのQFPパッケージでテストです。リードピッチは0.5mmです。

 実際はメタルマスクを作って適量のクリームハンダをパターン上に乗せますが、そこまで出来ませんので、基板とICのリードに予備ハンダをして実験してみました。パターンとICのリードにはブリッジしないように、20W位の先が細いハンダ鏝を使用し予備ハンダします。(ブリッジした場合はその箇所をハンダ吸取器で修正) 
 その後フラックスを塗ってICを基板に乗せます。位置合わせをし、ICを少し押付けるとフラックスの粘性で動かなくなります。基板をオーブントースタに入れてスタートです。右の写真は準備が終了したところ。青い線が熱伝対です。

      

 結果は、    
                               

 位置が少しズレていました。あと、フラックスとハンダを付け過ぎたようです。フラックスが焼けて出来は悪そうに見えますが、ハンダ付けはしっかり出来ていました。

 テストで大体の様子が分かりましたのでいよいよ本番です。

 本番ではQFNのパッケージのハンダ付けです。同じように予備ハンダをしてフラックスを塗ります。今度は少なめにしました。慎重に位置合わせをしてスタートです。
 左の写真が準備が終了したところ。右の写真がハンダ付け完了の写真。今度は位置合わせもバッチリです。リードがパッケージの下なので判断しづらいですが、拡大鏡で見た限りではハンダ付けは旨く行っているようです。

                      

 一応リフロー炉として使用できることが分かりました。
 ただ、拡大鏡を使用しての予備ハンダが年寄りには結構キツイですね。

(2010.5.9)        

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