明日の相模湖  NO.879  2022/06 
    
   日米首脳会談で誓約した軍事費の相当な増額は
     「つなぎ国債」で賄う案が浮上
     
将来への大増税・社会保障切り捨て不可

  岸田首相が5月23日の日米首脳会談で軍事費の「相当な増額」を誓約したことを受け、政府内では当面の増額分について、将来の償還財源を明確にして発行する「つなぎ国債」で賄う案が浮上しました。償還財源を確保するために、消費税増税などの大増税は不可避となります。
 首相は軍事費増額分の財源確保について、「防衛費を安定的に確保する観点から、財源の在り方も合わせて検討する」(5月25日の衆院本会議)などと述べるにとどまっています。
 一方安倍元首相は「増税は国債で対応していけばいい」と主張。戦費の大半を国債に頼った戦前の反省を踏まえ、戦後の財政法では、国債発行は「建設国債」など特例を除いて認められていませんが、特措法によって特例国債(赤字国債)の発行が可能です。
 「つなぎ国債」は一般的な赤字国債とは異なり、将来償還に充てる財源を明らかにした上で発行されます。その財源は基本的に増税であり、過去の基礎年金国庫負担引き上げの際には、消費税増税による増収が担保になりました。自民党が提唱する軍事費の「国内総生産(GDP)比2%」「5年以内の達成」を実現しようとすると、単純計算で現行の約5・4兆円から年1兆円以上の増額分を増税で賄う必要が生じます。
 さらに「つなぎ国債」は東日本大震災の復興財源に充てる復興債など、特定の事象に対応するための一時的なものです。軍事費は恒常的な支出であり、いずれは11兆円規模の軍事費を本予算で賄うために、社会保障費などの切り捨てが不可避となります。(5/28付「しんぶん赤旗」より)

  自然観察シリーズ NO.548 昆虫(12) キアシドクガ

  5月末から6月にかけて、大発生していた昼行性の白い蛾が、5年程して今年は一段落したのか、チラチラ飛んでいた姿が少なかったようです。 この蛾はキアシドクガというドクガ科の仲間ですが、この種類に関しては無毒なので、幼虫の毛虫にさわっても、手に載せても害はありません。
 食樹のミズキも、去年までは食べられて丸坊主の無残な姿でしたが、今年は花も咲いていました。これは大発生していた数年の間に、天敵である小さな寄生蜂や、幼虫の体液を吸うサシガメというカメムシの一種や、カビなどの菌類などの力が働いたと思われます。
 特定の種類だけが増えてしまわないように、天敵が増えて自然のバランスをとる力が働いたと、安心した今年の初夏でした。

   軍事費増額の問題をめぐる各党の主張
     5月29日放送のNHK日曜討論より
▼自民党の小野寺五典・安全保障調査会長「防衛予算の増額という総理の発言は重要だ」と歓迎し、大軍拡を主張。
▼公明党の北側一雄副代表「防衛費の増額は避けて通れないと思っている。しっかり議論したい」
▼立憲民主党の渡辺周・外交・安全保障・主権調査会会長代行は積算根拠や財源を示す必要性や不平等な有償援助の見直しなどを指摘し、条件付きで「防衛費の増額の議論はすべきだ」
▼日本維新の会の靑柳仁士・外務・安全保障部会長「日本の防衛費はGDP比1%という枠にとらわれている。現実を踏まえた見直しをしていくべきだ」と強調。
▼国民民主党の大塚耕平代表代行「必要な防衛装備は準備する必要がある。増額もやむを得ない」
▼れいわ新撰組の山本太郎代表「必要な防衛装備ならば増額が必要というのはわかる。一方でこれまでの装備が適正価格で購入されてきたかというチェックは必要だ」
▼日本共産党の小池晃書記局長は「軍事費増額による大軍拡は日本を軍事対軍事の危険な道に引き込むだけでなく、暮らしも押しつぶすものだ」