明日の相模湖  NO.878  2022/05 
    
   旧優生保護法を断罪した2つの高裁判決と
     やまゆり園事件

     --根深い国民的「差別意識」の根源に日本政治が--
 日本の差別的問題は部落差別・ハンセン病差別などに代表されるように広く行われてきました。
 その中に旧優性保護法(1948年から1996年まで)が存在し、「障害」を理由に2万5千人の方が強制的に避妊手術を受けさせられ、人生を大きく狂わされたことがマスメディアなどで報道されました。
 この強制的避妊手術の根拠になった「旧優性保護法」に対し2/22、大阪高裁は「旧法の目的とされた「優性上の見地から不良な子孫の出生を防止する」が特定の障害や疾患のある人を一律に『不良』であると断定するもので、「非人道的な法律」であり、『日本国憲法の基本理念に照らして容認できない』と憲法13条(個人の尊重)や14条(法の下の平等)に反すると明確にのべ、旧法を制定した国会議員を違法と断じました。 続く3/11の東京高裁判決も旧優性保護法は「立法目的が差別思想にもとづくもので正当性を欠く」と指摘し、大阪高裁と同じく憲法13、14条に違反する人権侵害に当たる」としました。その上で「厚生省(当時) が公権力を行使し、違憲・違法の手術を積極的に実施させたとして、国に賠償責任がある」と認定しました。さらに「除斥期間」の問題に関していくつかの条件の一つに「国が優性施策を積極的に推進し偏見・差別を社会に浸透させて‥‥」来たことが原因として退けました。最後に平田裁判長は異例の「所感」を読み上げ「差別のない社会を作っていくのは国は勿論、社会全体の責任、そのためにも国の責任を不問に付すのは相当でないと考えた」と国の責任の重さを語りました。
 まさに2つの高裁判決は国が差別的な法律を作り、公然と率先して実行してきたことが今日の日本社会の差別意識・構造をつくり、広めてきたこと、ひいてはやまゆり園事件の犯人=植松の「障害者は生産性がない、役立たない」とした「差別・優性思想」的発想を醸成してきたと言っても過言ではないことを示しました。国は2つの高裁判決を真摯に受け止め、控訴を撤回することを求めるとともにより本質的差別意識の根絶のために政治の改革が強く求められています。(鈴木 哲夫)

  自然観察シリーズ NO.547  昆虫(11)

    ガロアムシは体長2㎝内外で、翅も無く眼も退化していて、暗い半地下のような所で暮らしている昆虫で、生きた化石と云われています。名前は、フランスの外交官ガロア氏が日本で初めて発見し、発表した事に由来し付けられました。
 成育場所は、山地の岩石の積み重なった下や洞窟の暗い所で、同じ場所に住む小動物を捕食しています。
 私も以前、山梨県内の山中で観察した事がありますが、相模川右岸の田名付近の岩石の崩れて堆積した所で、ガロアムシを観察して製作した絵本「がろあむし」の作者の舘野鴻(たてのひろし)さんの精密な原画や、写真家の吉田譲さんの土壌動物の写真などを相模原市立博物館で展示しています。興味のある人はどうぞ、相模原市立博物館へ(6月5日まで)。

   日本をどう守るか
   NHK憲法記念日特集番組での志位和夫委員長の発言より
 よく一部から「9条で平和は守れるのか」という声が聞こえてきますけど、戦争を起こさないための9条を生かした外交に知恵と力を尽くすのが政治の役割ではないかと思うんですね。
 日本共産党は、東アジアに平和をつくるための「外交ビジョン」を提案しております。私たちが注目しているのは、あらゆる紛争問題を徹底的な話し合いで解決しているASEAN│東南アジア諸国連合の取り組みなんです。いまASEANは(中略)東アジアサミットという平和の枠組みをつくって、これを発展させてゆくゆくは東アジア規模での友好協力条約を展望しようという大構想を示しています。
 私は、いま日本が進むべきは「敵基地攻撃」だのそういう物騒な話ではなくて、ASEANの国ぐにとしっかり連携して、東アジアを戦争の心配のない平和な地域にするための9条を生かした平和外交だと、この努力をしっかりやるべきだと思います。まさに9条の出番の時を迎えていると、私は思います。