明日の相模湖  NO.860  2020/12/27 
    
    75歳以上の医療費負担2割に
   高齢者の命と健康を脅かすな!
  菅政権は今月15日、75歳以上の高齢者の医療費窓口負担を2割にすることを閣議決定ました。
 2割負担は経済的事情による受診抑制を拡大することにつながるため、医療関係者をはじめ国民の多くが反対の声を上げています。その声に逆らい負担増方針で合意した自民党・公明党の姿勢は重大です。菅政権は来年の通常国会に関連法案を提出する構えです。
 高齢者は病気になりやすく
 けがもしがち
 2割負担の対象を、単身世帯で年収200万円以上、夫婦とも75歳以上の世帯で年収320万円以上としました。約370万人が該当します。開始は2022年10月から2023年3月までの間としました。2014年に70歳~74歳の窓口負担を2割にした際は、新たに70歳になった人から引き上げる措置がありましたが、今回はそのような段階的手法はとりません。実施されたとたんに、対象となる年収の75歳以上は全員窓口負担がふくらみます。血も涙もないやり方です。
 外来患者で3年間は負担の急増を抑える「配慮措置」を設けるとしますが、3年すれば負担は跳ね上がります。高齢者は病気になりやすく、けがもしがちです。慢性疾患を複数抱える人も少なくありません。負担は計り知れません。減り続ける年金収入のために暮らしを切り詰めている高齢者が受診を我慢し、早期発見・治療が遅れて症状が悪化すれば、病状回復は困難になり、命にも関わります。政府自身が掲げる「人生100年時代」の看板にも逆行しています。
 若い世代の負担を減らすは
 議論のすり替え
 菅政権は2割負担の最大の口実に「若い世代の保険料上昇を少しでも減らす」ことを挙げますが、議論のすり替えであり政府の責任放棄です。高齢者の医療費を若い世代に肩代わりさせる後期高齢者医療制度の仕組みをつくったのは自公政権です。
 高齢者の医療費に占める国庫負担分は、老人保健制度が始まった1983年の45%から35%に減少しました。若い世代の負担軽減というなら、少なくとも国庫負担を45%に戻し、国としての公的役割を果たすべきです。

   自然観察シリーズ 植物 NO.529  ナラ枯れ病 
  去年あたりから「ナラ枯れ病」という樹木の病気が話題になっていました。夏なのに山の樹木の葉が茶色くなって枯れるという話しを聞いていました。
 神奈川県内でも三浦半島や箱根方面で、この病気が広がっているとのことでしたが、秋に愛川と厚木近辺の鳶尾山や八菅山を散策していたら、コナラの大木の根元の方に、細かい粉が積もっているのを実際に見ました。
 原因はカシノナガキクイムシという5ミリ位の甲虫が材に食い入り、その際にキノコのような菌を媒介して起こす病気で、木の内部の水を運ぶ導管がふさがって枯れてしまうということでした。
 つい最近も、近くの吉野の山でそのようなコナラの木を見つけ、ここまで広がっている事に驚きました。特にドングリの成るブナ科の木に被害が目立ち、ドングリ不足になると、山の熊が里にひんぱんに出没するようになる原因にもなるそうです。
 
  第3次補正予算に軍事費
  2816億円を前払い  
前代未聞の経費計上

 政府が15日に閣議決定した2020年度第3次補正予算案は、追加歳出21兆8353億円のうち、最も重要な新型コロナウイルス対策経費が4兆3581億円にとどまる一方、軍事費が3867億円計上されました。しかもその73%にあたる2816億円が今後支払いが予定されていた経費の一部の支払いを前倒しするための経費に充てられています。
 かつて、補正予算案に軍事費が組み込まれることはありませんでしたが、第2次安倍政権が編成した補正予算以降、軍事費計上が常態化。ついに将来の支払い分まで前もって計上するという前代未聞の経費計上となりました。
 補正予算案は、大規模災害への対応など、予算成立後に発生した時に本予算の範囲内で対応しきれない場合、内閣が年度途中に編成し、国会に提出します。軍事費はそうした趣旨から大きく外れています。コロナウイルスの感染拡大防止のための医療分野の拡充や、経済的な苦境に立つ業者への給付金などに大半を充てるべきです。