自然観察シリーズ 山 |
NO.584 |
植物 ハシドイ(丁香花〈樹〉) |
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ハシドイとはあまり聞きなれない名前かも知れません。これの仲間にはリラとかライラックスというヨーロッパ原産の園芸種があります。ライラックスは5月に紫色の花を咲かせるので、ムラサキハシドイとも云われます。
日本に自生しているハシドイは白い花を咲かせます。花の時期は初夏の6~7月上旬で、わりと珍しい樹木です。涼しい山の林縁で見られ、昔から知っていた自生地の一つ、山梨県の大菩薩付近の林で見る事ができます。樹高が15M位になるので、近づいて花を観察するのはむずかしいのですが、涼しい風に吹かれてカッコウやホトトギスの声を聞いていると、最高の気分です。まわりの林からは今の時期、エゾハルゼミのミョーキン・ミョーキン・ケケケケケと、大合唱が聞こえて涼しさ倍増です。
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NO.585 |
植物 フシグロセンノウ(節黒仙翁)とエンビセンノウ(燕尾仙翁) |
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フシグロセンノウは山地の林のふちや斜面に見られ、夏にオレンジ色と赤色の中間的な色のような朱赤色と云った方が近い、5センチ位の花を咲かせます。
割と普通に見られたこの花も最近急激に数が減ってしまい、去年見られた所も今年はもう無いという事も多いです。鹿の食害が最大の原因かと思います。昔、お盆の頃、裏山に咲いていたこの花と「ボンバナ」と云って仏壇に祖母が庭の花と共に供えていました。
フシグロセンノウの仲間に、エンビセンノウというのがあります。こちらは北海道・青森県と長野県に自生が知られるとても珍しい種類で、数も少ないです。花の色が真っ赤で、消防自動車に近い色かと思います。花の形が変わっていて、ツバメの尾のように細く切れ込んで鋭っています。花径は3センチ程で、フシグロセンノウより弱々しい感じがします。長野県入笠山で保護育成されていて見る事ができます。
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