自然観察シリーズ 山
 NO.580 植物  ユキワリイチゲ(雪割一華)
  昨年の三月に、南区の「こもれびの森」近くに住む知人から、林の中に咲いているキクザキイチゲの所に何やら重機が入って作業するみたいで、心配だから見に来て欲しいと誘いがあったので、早速森の中を案内してもらいました。
 「こもれびの森」はコナラやクヌギやミズキなどの広葉樹を中心にした人の手で作られたような森です。ボランティアの作業員や観察に訪れる人達が多く出入りしています。早速、キクザキイチゲと知人が云う所へ行って見ると、キクザキイチゲではなく近似種のユキワリイチゲでした。
 ユキワリイチゲは本州の近畿地方以西、四国、九州の山麓や道ばたの冬期に陽が当たる所に生育するイチリンソウの仲間です。関東には分布しないので、誰かが植えた物と教えました。特徴は、葉は秋に出て冬を越し、茶色がかった中に白っぽいかすれ模様があります。早春に薄い紫のかかった3.5㎝位の花を咲かせ、初夏には姿を消してしまう春植物です。幸い株周囲に誰かが杭を打って守られていました。
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N.581 植物  ヤブザクラ(藪桜)
  ヤブザクラは、関東地方南西部の東京と神奈川にかけての多摩丘陵だけに見られるサクラの一種で、どういう起源の種類か謎でしたが、その後のDNA鑑定などで、マメザクラとエドヒガンザクラの両種の雑種であるという事が解ってきました。現在、この地域に両種は見られないので、考えられたのが古い時代に両種がこの地域に生育していて、自然交配によって誕生したと考えられます。
 但し、このサクラには種が出来ないので、どのように現在まで世代交代をして来たかと疑問があります。考えられる事は、ひこばえや側根によった新しい株を徐々に移動させて分布を広げて来たと、結論づけられています。古い時代からこの地域の自然環境の遷り変りの風景を色々想像できるサクラです。
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