自然観察シリーズ 山
 NO.572 津久井の低山⑫ 陣馬山
 津久井の低山で昔から登山好きの人に有名なのは、何と云っても陣馬山ではないでしょうか。
 私は旧藤野町佐野川地区に生まれ育ちました。ここは神奈川県で最北端の地で背後に生藤山、前方左手に陣馬山があり、山の中で平地がほとんど無い空の狭い所だった為、山の向こうの世界を知りたいと思っていました。私の家の庭から陣馬山の山頂部の茶店が見え、時々望遠鏡でのぞいていました。春の連休や秋の紅葉の頃は山頂部が白く見える程のハイカーでにぎわっているのが解りました。
 小学校の一、二年生の頃だったか、遠足で登った山頂から広い空と、東京方面の関東平野と、完成したばかりの東京タワーを先生に教えられて見た時、ポツンと見えたのを覚えています。そして日本の中心の東京がわりと佐野川から近いんだなと感動して眺めた事を忘れません。 現在の天皇が5歳の時登ってこられた時、週刊誌の写真に佐野川の子供達も写っていた事や、中学校では当時はいっぱい捨てられていたジュースの空缶を皆で潰して袋に詰めて持ち降ろして、廃品業者に売って図書の資金にした事など、たくさんの思い出があります。
 その後、山が大好きになり、陣馬から見える山は全部登るという計画をたて、ほとんど全部の峰々の山頂に立ちました。 陣馬山は戦国時代の時、武田軍が陣を張って、滝山城を攻めたので、陣場山と書くのが正しいとも云いますが、昭和四十四年に京王電鉄が山頂に白馬の像を建てたので、その後は陣馬山と書くのが普通になりました。景信山から陣馬山一帯が草原状だったので、陣馬高原として観光キャンペーンで売り出したのです。その数年後には和田林道がが完成して、八王子へ車でぬけられるようになり、当時は画期的な事でした。
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NO.573 ウバユリとオオウバユリ  ユリ科ウバユリ属
  ウバユリは、日本の中部から南部に生える多年草です。草丈は一メートル以下で、夏に緑白色のユリに似た花を2ケから5ヶ咲かせます。花の時期に葉の枯れかかった状態のものが見られ、そこから歯の欠けた姥にたとえた名前が付いたと云われます。実際には木陰に生えているものは葉が青々としているのも多いです。
  一方のオオウバユリは中部以北に生え、ウバユリの変種とされ、互いに住み分けています。背丈は人の背丈位の一・五メートルから二メートルにもなり、茎も太く葉も大きく全体的に壮大です。花も普通一〇ヶ以上二〇ヶ位咲かせます。去年の夏、石川県の白山に行った時も登山道の下の方でたくさん咲いていました。
  ウバユリは芽生えから花が咲くまで八年の期間を要し、開花した株は枯れてしまいますが、たくさんの種を実らせているので、根元には次の世代の若い株が育っていました。
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