自然観察シリーズ 昆虫
 NO.548  昆虫(12) キアシドクガ  鱗翅目 ドクガ科
 5月末から6月にかけて、大発生していた昼行性の白い蛾が、5年程して今年は一段落したのか、チラチラ飛んでいた姿が少なかったようです。 この蛾はキアシドクガというドクガ科の仲間ですが、この種類に関しては無毒なので、幼虫の毛虫にさわっても、手に載せても害はありません。
 食樹のミズキも、去年までは食べられて丸坊主の無残な姿でしたが、今年は花も咲いていました。これは大発生していた数年の間に、天敵である小さな寄生蜂や、幼虫の体液を吸うサシガメというカメムシの一種や、カビなどの菌類などの力が働いたと思われます。
 特定の種類だけが増えてしまわないように、天敵が増えて自然のバランスをとる力が働いたと、安心した今年の初夏でした。
一覧表へ戻る
NO.549   昆虫(13) キバネツノトンボ  脈翅目 ツノトンボ科
  ツノトンボ科の昆虫は一見トンボに似ていますが、ウスバカゲロウに近い仲間で、幼虫を見れば、アリジゴクにそっくりな形態をしています。但し、すり鉢状の巣は作らず、石の下などにいて、他の虫など捕食しています。
 長い触角が特徴で、ツノトンボの由来です。日本に5種類程知られていて、翅に黄斑があるキバネツノトンボが飛んでいる時も目立ちきれいです。乾燥した草原などに見られ、私も子供の頃実家の近くで見た事があったのですが、今年の5月、上野原市の某所で偶然多くの成虫が飛びかっている所に遭遇し、なつかしい思い出がよみがえりました。
 キバネツノトンボは神奈川県では、絶滅危惧種に指定されています。現地は公共の施設の広大な土手のような草地で、定期的に草刈りがされ、水場もあってこの虫に生育環境が適しているのだろうと今後も注目です。
(勝手ながら好評を博していただいた昆虫シリーズも一旦お休みし、次回からは植物シリーズになります。お楽しみに!)
一覧表へ戻る