I xxxx you.(5)
[椎南(しいな)x薫(かおる)]
間もなくノックの音がして、ドアが小さく開いた。
「・・・薫?」
「ん、起きてる」
遠慮がちに入って来た椎南が、さっき母さんが座っていた椅子に腰を下ろす。
「・・・少しは楽になったか?」
「うん、まだちょっと暑いけど」
「・・・ごめんな」
ちょっとの沈黙の後、椎南が小声で言った。
「昨日・・・お前ずっと外にいただろ」
「・・・」
「判ってたんだ・・・でも、開けられなかった。色々考えてて・・・泣かしちまったし、一緒にもいてやれなかったし・・・あんなに、いて欲しいって言ってたのにな、お前」
優しい仕草で、ゆっくりと髪を撫でてくれてる椎南に、すごく安心する。
ずっと感じてた寂しさは、どこかに消えた。
「俺達さ。付き合い始めて1年、だよな。これまでにも、お前の事抱きたいって思った事、何度もあった。付き合い始める前にも。本当に手が出そうになった事もあったんだ。俺がこんなに辛いの、何でわかんねーんだよ、って」
「・・・」
「でも、受け入れてもらってからずっと、そんなのよりもお前の事ちゃんと大事にしたいって思って来た。無理矢理して、泣かれる方がキツいからな。昨日ずっと考えてて、改めて分かった。昨日・・・悪かったよ。ごめんな・・・薫?」
「・・・え?」
「何で、泣いてんだよ?」
全然気が付かなかったけど、涙がこぼれてたみたいだ。
泣くなよ、って椎南が拭ってくれる。
「辛い?もう休んだ方がい・・・」
「ううん、平気。一緒に、いて?」
立ち上がりかけた椎南を制す。
頬に触れてる椎南の手を握った。
「椎南に、そばにいて欲しいんだ。俺を、1人にしないで?椎南の、そばにいたい。いてもいいでしょ?」
「薫・・・」
「すごく・・・すごく、好き。これ以上誰かを好きになるなんて、不可能なくらい、椎南が、好き。お願い、だから、俺を置いてかないで?」
「・・・1人になんてさせねーよ。ずっと、そばにいるから、今は早くよくなれよ」
寝苦しくて、うとうとしてもすぐに目が覚めてしまう事を繰り返したけど、椎南がすぐそばにいてくれるから・・・椎南、って呼ぶと手を握ってくれるから、その度に安心して目を瞑った。
そして、これは母さんから聞いたんだけど、何度か椎南に、もう休めって言ったのに、頑として言う事聞かなかったんだって。
朝方様子を見に来たら、俺が寝てるベッドに突っ伏して寝ちゃってたらしい。
椎南に毛布をかけてそのままにしておいたのよ、って呆れたみたいに言っていた。
でも、俺が覚えてるのは、夢うつつで何度も聞いた「そばにいるから」という言葉と、ずっと握っててくれた手の感触。
俺が寝込んでる間中、学校に行っている時間以外は殆ど俺の所にいてくれたんだ。
俺・・・椎南の事は、そういう事したい「好き」だけど・・・まだ、ちょっと怖い。
でも、いつかはちゃんとそういう事出来たらいいな、って思ってるんだ。
xxxxの部分には何が入るでしょうか?何でもいいんですけど(えへ)。幾つか候補があって、全部4文字だったのでこういう風にしました。2002年6月2日上がり。