I xxxx you.(2)
[椎南(しいな)x薫(かおる)]



「すぐ・・・って何してんの?」
「え、いや別に・・・」
「座れば?」
「え、あ、うん」


・・・何か変だな。
こんな煮え切らない椎南なんて珍しい。
いつもなら、俺が出てってる間に自分でゲームとかマンガとか出してるくせに。


「・・・椎南。もしかして用事あった?俺、無理に引き止めてる?」
「何で。さっき言ったろ。用事なんかねーってば」
「じゃあ何でそんなにおどおどしてんの?ほんとは迷惑だったんじゃ・・・」
「なっばっ馬鹿言うなよ。迷惑なんて事あるわけ・・・あっそろそろ風呂OKかもな。ちょっと見て来るっ」
「あっしい・・・」


今、入れ始めたばっかじゃん、お湯・・・。
でも、それを言う間もなく、パジャマを持って部屋を出て行ってしまった椎南に、ちょっとだけ罪悪感。

迷惑だったのかな。
椎南って、絶対的に俺の事最優先にしてるから、今回もそうだったのかも。
俺、いっつも椎南にわがまま、押し付けてるのかも・・・。

そんな事考えてたら、だんだん落ち込んで来た。
自分が誘ったくせにゲームの事なんかそっちのけ。
ベッドに寄りかかって、転がってたクッションを抱き込む。

・・・悪い事しちゃったな・・・。

1人でそうやってくよくよしてたら、椎南が、割合さっぱりした顔で戻って来た。


「あれ?どしたん?」
「・・・」
「薫?何小さくなってんだよ」
「・・・」


俺の前でしゃがんだ椎南から、湯上りの匂いがする。


「薫?何かあった?」
「・・・」
「薫ちゃん?」
「・・・ごめんね」
「はい?」
「無理矢理付き合わせちゃったみたいで・・・」
「ばーか。何言ってんだよ。お前といたい、って言っただろ?」
「う、ん」
「そんな事より、ゲームするって言ったじゃん。俺準備しとくから、お前も風呂入って来いよ」


促されて、パジャマを手に部屋を後にする。
もやもやした気持ちでいるのも嫌だから、お気に入りのシャンプーを使った。
これを使うと、気持ちが柔らかくなるんだ。

そう言えば、ここずっとこれ使ってなかった。
椎南が側にいてくれるだけで、嫌な事とか忘れてたから・・・。

少し気分も治って部屋に戻ると、椎南がもうゲームをやっていた。


「お、薫、遅かっ・・・」


テレビから視線を外して俺を迎えた椎南が、そこで言葉を切って固まった。


「・・・椎南?」
「え・・・あ、何?」
「何、って・・・俺が訊きたいよ。どしたの?」


お風呂のお陰で、椎南に対しても普通に接する事が出来るようになってた。
まだ俺を見てる椎南の隣に座って、放り出されたままのコントローラーを手にする。
しばらくゲームに熱中してたんだけど、ふと、椎南がじっと俺を見てるのに気が付いた。


「椎南?何どしたの?」
「・・・・・・」
「椎南?・・・ぅん・・・っ」


突然抱き寄せられた。
腰にまわされた腕に強く引かれ、そのまま椎南の唇を受け止める。

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