名残雪(1)
[圭介(けいすけ)x響(ひびき)]



「・・・さむ・・・」


もう春なのに、今日は朝から冬が戻って来たみたいだ。
天気予報は、雨になるかもしれない、なんて言ってる。

ついこの前、卒業式が終わった。
僕の、高校生活が終わったんだ。

そして今日・・・圭介君とさよならする日。
3年間、僕と付き合ってくれてた圭介君に、お別れする日。


もうずっと考えてた。
去年圭介君から、東京の大学に行きたい、って聞かされた時から。

響も一緒に行こうぜ、って言ってくれた。
そこは僕の学力からも安全圏にあったから、うん、って言いさえすればそれでよかった。

実際そう返事した。
受験も一緒にこなした。
2人で合格通知を手にした時、これからも一緒にいられるな、ってほっぺた真っ赤にして喜んでた圭介君見ながら、胸が痛むのを止められなかった・・・。

だって、その時にはもう、さよならしようって決めてたから。

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