俺が冬樹を受け入れた理由(わけ)(7)
[小林冬樹(こばやし・ふゆき)×忍和希(しのぶ・かずき)]



一先ず部屋に通した。
居心地が悪そうにしている冬樹に、先に切り出す。


「冬樹・・・あの俺・・」
「昨日。悪かったな」


俺の言葉を遮って、冬樹が俺に頭を下げた。


「ちょっと気が高ぶってたから・・・ごめん」
「ううん。俺もその前の事あるし・・・ごめんね」


笑顔を向けると、冬樹が真っ赤になった。


「あの、ね。俺、ちょっと考えてた、んだ」
「‥何を?」
「俺‥冬樹と、離れたくないんだ」
「え?」
「友達とか恋人とか、そういうんじゃなくって‥冬樹との関係、壊したくない」


さっき言おう、と決めた事を告げる。
冬樹は黙って俺を見ていた。


「だからね、俺、保留って形で、冬樹の申し出、受けるよ」
「・・・何?」
「今すぐどうとかじゃなくって‥今迄通り友達で‥でも、ちょっとずつ考えてみるから・・・それなら元に戻れる、でしょ?」
「忍‥」
「昨日‥見捨てられたって思った‥俺・・・あんなの・・・」


気持ちがぶり返す。
声が震えてるのが分かった。


「あんなの‥嫌なんだ・・・。折角仲良くなったのに、こんなんで壊れるなんて・・・だから受けるよ。
保留付き、になっちゃうけど、それでもよければ今迄通り友達でいて?」
「・・・」
「‥駄目?」
「・・・いや。ありがとう、忍」


やっと、見られた。
前の笑顔。


「ところで冬樹。学校は?」


制服でかしこまっている冬樹に聞いてみる。


「サボり。お前はどうなんだよ?」
「俺はちょっと具合悪くて‥頭、痛かったんだ。今からでも行こうかと思ってたんだけど‥行かない?」
「揃って遅刻か?」
「いいじゃん。行こうよ。まだ午後あるし、欠席にはならずに済むよ」


誘って、冬樹と連れ立って登校した。


そして、俺は一応冬樹を受け入れた。
でもまだ、先の事なんて判らない。
取り敢えず、一緒に歩くなら、留年した奴なんてごめんだから‥まずは冬樹の成績を上げる事に心を砕いている。
前と同じ関係が戻って来た事に感謝しつつ、いつか、ちゃんとした答えが出るといいな、と思っているところだ。




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タイトルが決まらずにユリ様につけてもらいました。
自分のBLを、初めて人に読んでもらったブツです。
とにかく、忍の意識改革を書きたかったのかも知れません。
2001年10月11日上がり。