Commencement(4)
[瀬川竜巳(せがわ・たつみ)×秋本悠介(あきもと・ゆうすけ)]



「悠介・・・」


・・・駄目だ。
我慢出来そうにない・・・。
必死に謝り続けて、妄想を逞しくして行った。

部屋に2人きりでいる所を想像する。
悠介と自分、2人きり。

自分の腕におとなしく抱かれている悠介に、好きだよ、と囁くと、悠介は恥らって頬を赤く染めた。
優しく顔を上向かせ、誘うように開かれた唇に、自分のそれを重ねる。
そっと吸うと、悠介が熱い吐息を漏らした。
甘く感じる舌を絡める。
そのまま深いキスをしながら、竜巳は悠介をその場に押し倒した。
既にシャツに手がかかっている。


「悠介・・・好き、だよ・・・」


何度も同じ言葉を繰り返す。
想像だけでは飽き足らず、竜巳は、既に硬くなってしまっている自分自身に手を伸ばし、悠介を犯して行く想像と共に刺激を与えて行った。


「・・・ぅっ、ん・・・っ」


もう、何度こうした事だろう。
ファスナーを下ろしてそれを晒す。
じきに限界、という所で、サイドテーブルに置いてあったタオルを手に取り、それに掛けた。
これでベッドを汚す事はない。
その上から、更にしごく。


(あ、や・・・あっ、ん・・・た、つみぃ・・・)
「ゆ、すけ・・・っ」


悠介の喘ぎ声が、幻聴で聞こえる。
想い人の名を口にしながら、竜巳は体の力を抜いた。

行為の後は、必ず自己嫌悪に襲われる。
この日も例外ではなかった。


「・・・俺って汚い・・・」


悠介にだけは知られたくない。
毎日のように、おかずに悠介を使っているなんて・・・。
重い溜息をついてベッドの上に起き上がる。
服の乱れを直し汚れたタオルを丸めて放り投げた後、ドアにノックの音がした。
反射的に部屋の窓を開ける・・・空気が濁っている気がしたから。
それから、平静を装って返事をした。


「何ぃ?」


てっきり母親だと思ったのだが、竜巳の返事に応じた声は、母親のそれではなかった。


「竜巳?俺・・・悠介だけど」

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