恋人は猫(3)
[暁(あきら)×羽月(はづき)]



羽月を上から抱き締め、パンツをするっと下ろす。
しっぽはなくなったけど、前の部分がしっぽみたいに立ちあがっていた。
それを、ちょっとキツめに扱く。


「ふにゃあっ‥!」


揺れてる腰が俺を煽る。
そこから手を離して、後ろの刺激に移った。
もう我慢出来ない。
早くしたい。
それだけを考えていた。


「く‥っふ、な‥なあぁ‥ん‥っ」
「入れるよ」
「な‥あっああんっ」
充分に広げている余裕はなく、俺はそのまま一気に押し込んだ。
崩折れる体を支える。


「羽月。こうして」


ひじをつかせて膝を曲げさせ、体をぴったりと床に付かせる。
勿論、俺とは繋がったまま。
何か、目茶苦茶エッチ・・・動かなくてもこのままイケそう‥っ
何か‥何て言うのか‥本当の猫同士でヤッてる気もするし・・・。


「ふみぃ‥なあ‥ふなぁご‥っ」


焦らす様に殊更ゆっくり動く。
羽月はずっと猫のなき声を出していた。


「羽月‥いい?」
「なあ‥んっ!」


そろそろイキたいのか、背をいっぱいにのけぞらせ、両手をぎゅっと握り締めている。


「み‥っ‥ふにゃあっ!」


イキそうになるのを、動くのを止めて阻止した。


「や‥あき、ら‥っやだっ!」
「喋るなよ」
「‥っ、く‥っ」
「しぃ‥ほら、羽月。泣かないで、おとなしくして?ね?しぃっ‥」
「‥み、ぃ‥なああ‥ん‥」


何度もそうやって、泣きそうな羽月を宥めた。
でも、そろそろ俺も限界・・・。


「一緒にイこっか、羽月?イキたい?」
「ん‥んなぁ‥なぁご‥ぁあんっ」
「じゃ、行くよ?」
「ぅあ‥ああっ!!」


いきなり動きを早めた俺に、羽月が完全に悲鳴を上げた。
もう猫どころじゃなくなってるっぽい。
俺の方も、それを注意する余裕なんて、更になかった。
羽月を起こして、完全に四つん這いにさせる。
そのまま、ぐいぐいと突き上げた。


「や、やだ、あっ暁っ!駄目っ壊れ、ちゃ‥あっあうう‥っ!」
「羽月‥羽月っ、く、んっ!」
「駄目‥駄目っイクっ‥イクっ、イっちゃうっ!」
「イけよ‥俺も‥!」
「あ、あ‥ああ!」
「うっく‥っ!!」


ずっと焦らされていた羽月が達した時の締め付けが、いつもよりもキツくて、殆ど同時に達した。


すっかり疲れ切った様子の羽月を、俺の方に向かせる。
汗だくになっている顔を手で撫でてやった。


「‥何か、今日の羽月‥すげーよかった」
「・・・・・・馬鹿」


真っ赤な顔でそっぽを向いてしまった。


「可愛かったし。ちょっと倒錯的だったし。いつもよっか燃えた」
「・・・馬鹿」
「な?お前も燃えなかった?そんなカッコしちゃってさ」


似合うぜ羽月、って言うと、初めて嬉しそうな顔になった。


「本当に?」
「ああ。これどうしたんだよ?」
「ん、これ?これね、貰ったんだよ。ね、気に入った?」
「お前の格好?」
「ううん、違うよ‥あ、それもあるけど、暁の服。どう?」
「うー‥俺のはともかく、お前の格好は‥エッチ、だよな‥ぁっお前っ、これ着て外出ちゃ駄目だぞっ?」


慌てて言い添える。
羽月なら、この格好で外に郵便とか取りに行っちゃいそうだ。
誰かの目に触れでもしたら、それこそ取り返しのつかない事に・・・!


「えー、だいじょぶだよぉ」
「駄目駄目駄目駄目っ!!!」


‥ったく、自分の可愛さに気が付いてねーってのも困ったもんだぜ‥無知は罪、って本当だよな‥。
何度も、駄目!って念を押してようやく、解ったよ、と言わせた。
ほっとした・・・。


羽月の、俺といちゃいちゃしたい、っていう望みを、その後で叶えてやる事にする。
まずはシャワーから。
お姫様抱っこをしてあげて、羽月の家の風呂場に入る。
服を、何度もキスを繰り返しながら脱がせて自分も脱ぐ。
シャワーだけは普通に浴びて、そのまままた2人して猫の格好になった。


「ふなぁ」
「何?」
「みゃん」


部屋に入るなり、羽月はまた猫になる。
座った俺に、ごろごろと喉を鳴らしながら‥そんな感じがしたって事だけど‥体をすり寄せて来る。
そんな仕種が可愛くて満足した。


「みぃ‥ゃぁあ‥ん」


100パーセントすっかり俺に甘えた態度。
さっき迄の、煽るような瞳は消え、ただ単に悪戯っぽい光を宿しているだけだ‥
ま、俺がしたかったから、勝手に煽られてたのかも知れねーけどさ。


「はぁづきっ」
「みゃぁん」


きゅ、と抱き締めてやると、今度は抵抗する事はなく。
猫にするみたいに、喉の辺りを軽くくすぐると、身をよじらせた。


「ふゃぁんっ」
「違うだろ?猫、なんだから喉鳴らさねーと駄目じゃん」
「えーだってくすぐったい‥」
「だーめ。お前がいちゃいちゃしたい、って言ってっからやってるんだから。ほら、ちゃんと喉、鳴らせよ」
「うー‥」
「うーじゃないって。ほら、羽月ちゃあん」


もう一回羽月の耳元から首筋に指を滑らせてくすぐってやる。


「にゃあんっ」


何度やってもくすぐったがって、猫になりきれない羽月に諦めた。
笑いが止まらない恋人をぎゅっと抱き締めて、喉を鳴らせる代わりにキスを何度も仕掛ける。


「‥んぅっ‥ん‥ん・・・」


苦しくなって来た時にする仕草で、俺の腕を掴んで来たから、そこでやっと解放する。
真っ赤な顔をして、何処となくぼんやりとした、潤んだ瞳で俺を見ている羽月‥。
どんな顔したって可愛いんだ。
例え怒ったとしても。
ぺろ、と頬を舐めると、ふみぃ、とないた羽月は俺に抱きついて来た。


この話には後日談がある。
羽月が貰ったとかいう衣装はあれだけじゃなかったんだ。
誰が何の目的で羽月にあげたのか、今もって解らないけど、女王様スタイルとかバニーガールだとか‥
とにかく妙な衣装ばっかで、別な意味でくらくらした。


「・・羽月。お前これ、ぜーったい俺の目が届くとこ以外で着ちゃ駄目だぞっ!」
「えーっ」
「えーっじゃないっ!」


猫よりもアブねーじゃんかっ!!
羽月は結構お調子者だから気が気じゃない。
これも何度も何度も、何度も念押ししてやっと納得させた。
‥ったく羽月と付き合ってると妙な苦労が絶えない・・・。




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元々はお友達にあげるつもりで書いていたのに、あげられる感じじゃなくなって来てしまったので急遽変更しました。
何も考えていなかったのに、続きもあるなんて止めておけばよかったのかも。
2001年2月13日に上がった話でした。