バースデープレゼント(2)
[椎南(しいな)x薫(かおる)]
・・・で、誕生日プレゼントをどうしようか、って悩んでるんだ。
実は1つだけ考えているものが、あるにはあるんだけど・・・何かめちゃくちゃ恥ずかしい。
でも、他にあげたいものってないし、折角好きになったって自覚したし・・・多分椎南も喜んでくれるんじゃ、ないかなー、とか考えちゃってるんだ・・・わかんないけど。
どきどきしながら当日の朝、待ち合わせ場所に行く。
「おはよう薫」
「・・・はよ」
「?薫?どした?どっか具合でも悪い?」
小さな掠れ声で返事をした俺に、早速おろおろしながら顔を覗き込んで来る。
「なっ何でもないよっ!]
「でも顔真っ赤だぜ?熱でもあるんじゃねーのか?」
「平気!行こ、学校遅れちゃうよっ」
必要以上に力みまくって先に歩き出した。
心配顔の椎南が後からついて来る・・・あーもう緊張する・・・。
自分から、今日は誕生日なんだ、とか言い出さない椎南を連れて放課後、校庭の片隅のちょっと奥まった林の中に入った。
今日も一日、椎南の顔がまともに見られなかった。
朝の事があるから色々心配して声かけてくれたけど、それにもまともに返事は返せず・・・そんな俺から「放課後付き合って」とか言われて、椎南はにこっと笑って頷いてくれた。
「・・・で、何?こんなとこに呼び出して?」
「・・・うん・・・」
隣に座った椎南に、心臓が早鐘を打ってる。
絶対今、顔真っ赤になってるよ・・・・・・。
「薫?」
「あのっ」
「うん?」
「あの・・・あの、椎南って、今日・・・誕生、日、じゃん・・・」
「え?あぁ」
「あの・・・たんじょ、び、おめでと・・・」
下を向いたまま、一応先にお祝いの言葉を口にする。
「ありがとう・・・覚えててくれたんだ?嬉しい」「でっでねっ・・・それであの・・・俺・・・プ、レゼント・・・あるんだ・・・けど・・・」
「プレゼント?」
「うっうん。あの・・・喜んで、くれるかどうか、わかんない、けど一応・・・」
「何言ってんだよ。薫からのプレゼントなら、何でも嬉しいに決まってんだろ?何?」
言葉通りに顔を輝かせている椎南・・・女の子みたいだけど胸が高鳴った。
「じゃ、あの・・・目、瞑ってくれる・・・?」
「いいよ?」
「・・・見えてない?」
「何も?何なんだ?」
信じてないわけじゃないけど、念のために目の前で手を振ってみたけど、何の反応もなし。
昨日たくさんした決心をもう一度新たにして、どきどきしながら椎南に自分からキスをした。
「・・・・・・」
この前はちょっと掠っただけだったけど、今度はちゃんと触れる。
「・・・何?薫これ・・・?」
「プレゼント」
これが、俺が考えた椎南への、初めての誕生日プレゼント。
びっくりした顔をしている椎南に、ちょっと心配になる。
「・・・受け取ってくれた?」
「もう一度、して?」
「・・・・・・いいよ」
今度は自然に目を閉じた椎南に、もう1度キスをする。
すかさず椎南の腕に腰を抱かれて、強く引き寄せられた。
そのまま、ベンチの背に体を押し付けられるようにして椎南の深いキスを何度も受け止める。
舌が入って来た瞬間、急に怖くなったけど拒否するなんて出来なかった。
すぐに俺のが誘い出され何度も絡み取られている内に、だんだんとぼうっとして来たから・・・何も、考えられなくなった。
顔が離れる度に、好きだよ、と囁かれる。
やっと解放された時には、完全に力が抜けてしまっていた。
「・・・平気?」
「・・・うん」
ほうっと息を吐いた俺を、そっと抱きしめてくれる。
今迄感じた事がないくらい安堵した。
「プレゼント。有り難う薫」
「・・・俺ね・・・好き、に、なっちゃったんだ・・・」
「・・・」
「つい、この前から・・・好き、だよ椎南」
小声で告白した俺に見せてくれた笑顔・・・絶対忘れない。
好きになってよかった、って思った瞬間も、きっと俺の宝物になる。
大好き、って言った俺に、やっぱり優しいキスを、椎南は落としてくれた。
弥耶さんへのBDプレゼント。SSにしなければ!!と躍起になってたので短いっす。そして、SSは私には無理だ、という事も判明した記念すべき作品。貰ってくれるかどうか判らなかったので、カードも送信したっけ・・ふっ。2002年2月23日に上がり。