Although・・・(7)
[瀬川竜巳(せがわ・たつみ)×秋本悠介(あきもと・ゆうすけ)]
小さな声の誘い文句に、竜巳が逆らえるはずもなかった。
悠介の部屋に入り鍵をかける。
何度かキスを繰り返し、恐る恐るベッドに押し倒した。
「悠介・・・本当にいいのか?」
「うん」
久しぶりに見るような笑顔で頷く悠介を抱く。
「嫌だったら言えよ、止めるから」
それにも素直に頷いた悠介の服に手をかけた。
ボタンを外しファスナーを下ろす。
裸にさせながら手を滑らせて行く。
早くも呼吸を乱している悠介を、たまに心配そうに見やった。
「竜巳・・・平気、だから・・・ぁふ・・・っ」
下着の中に手が入り込んで来て、悠介自身に触れる。
熱い吐息が漏れた。
僅かに体を赤く染め、悩ましげに揺れている恋人を、うっとりとして見る。
「あん・・・や、もう・・・イッちゃう、てば・・・」
「・・・濡らすよ?」
「ん・・・」
足を上げさせ、最奥の、竜巳しか知らない場所をさらけ出させる。
手でそっと押し広げると、すぼまったのが分かった。
躊躇う事なく舌で撫でる。
「・・・っぁんっ」
「悠介・・・」
「やっだ・・・あ、ダメ・・・んっくぅぅ・・・!」
揺れる悠介の腰を押さえ、絶え間なく痙攣を繰り返す後ろを丹念に慣らして行く。
「こっち。もう濡れて来てるよ?」
「たつみ・・・!」
「ほら。もう垂れて来てる・・・な?」
それを指ですくい取り悠介に示すと、真っ赤な顔で慌てて顔をそらせた。
「・・・・・・ん」
頷いた悠介の先端をそっと撫でてやる。
力を入れずに。
「ぁ、っ!」
「・・・いい?」
「くすぐ、たい・・・っ」
涙をためて、苦しさに体を震わせている悠介に気付いた竜巳が、キスをしてから含んでやる。
裏を、下からすぅっと撫でるように舐め、先を軽く噛んでしごいた。
何度も舐める。
ゆっくりと、竜巳を受け入れる準備が整って行った。
「・・・大丈夫?」
「う、ん・・・っぁ、あぁ、んんっ」
もとより、竜巳も我慢なんか出来ない。
熱くなっている自分自身を、広げられたとはいえ狭い悠介の中に押し入れる。
「・・・悠?」
「ん・・・好き・・・だよ、竜巳・・・これから、先も・・・」
「・・・俺も。お前だけ、いればいい」
小さな笑顔になった悠介の、なぜか零れた涙を拭ってやる。
「・・・いいよ。いっぱい、して?」
悠介の腕に抱かれたまま、竜巳は1つだけ突いた。
「・・・っ」
「熱い・・・」
竜巳の手が下に滑り、立ち上がりかけている悠介自身を握り締めた。
しごくのと同時に腰を使う。
竜巳に翻弄され、自分の快感だけを追った。
「はっ、ん・・・あ、あったつ・・・み、いいよ・・・すごい・・・」
「悠、悠介・・・ぅ、くっ」
いつも以上に強い快感が背を駆けた。
目のくらむような感覚。
悠介の、その瞬間の顔に動機が速まる。
抱き合ったまま、2人はしばらくそのままでいた。
放心している悠介の髪をすく。
気付いた悠介が目を上げるとすぐそばに、優しい瞳の、竜巳の笑顔があった。
「・・・竜巳・・・」
「無理、させなかった?」
「平気・・・な、ちょっ・・・」
ひょい、と抱え上げられ、思わず焦る。
「シャワー浴びよう?借りてもいい?」
自分で出来る、と主張しているのに竜巳が譲らず、結局すべて面倒を見てもらってしまった。
パジャマまで着せられ、帰りも抱えられる。
「ちょっと・・・もう歩けるってば」
「だーめ。俺がしたいの」
暴れると落とすよ、と言われて仕方なく許した。
濡れた髪を乾かしてもらっているうちに眠くなって来る。
「・・・眠い?」
「んー・・・少し」
みたび抱えられベッドへ。
お休み、と囁かれて、そのまま眠りに入りそうになったが、カバンを手にドアに向かった竜巳に慌てて呼びかける。
「何?」
「・・・もう、帰っちゃうの?」
「え?だって明日学校あるし。お前も眠そうだしさ、邪魔しちゃ悪いだろ?」
「邪魔なんかじゃ・・・」
悠介の顔に、泊まってって、と書いてある。
「・・・泊まって、欲しい?」
「・・・」
「いてやろっか?」
そんな言い方ってずるい。
いて欲しいのは当たり前なのに、そんな言い方されたら素直にうん、って言えない。
「・・・別に」
平気なふりをして布団をかぶろうとした悠介に、竜巳の声が届いた。
「悠介。これ借りるぜ」
「え?」
目の前に出されたのは、悠介の家のスペアキー。
数回ひらひらと揺らし、竜巳は家に帰って行った。