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漫遊記 04.3 キト


エクアドルの首都キトの空港は街の真中にある。昔の香港みたい。落ちたら被害大きいよなぁと思う内に無事着陸。チリからの便は夜着で、宿にチェックインしたらメール、レポートとこなしベッドへ倒れこむ。高地のせいか寝酒がよく効く。翌日からひたすらお仕事である。中心部から外れるとすぐアップダウン激しいキト市内を動き回る。

エクアドルは西から海岸地方(コスタ)、山間部(シエラ)、アマゾンに近い東部(オリエンテ)に分けられるが、首都キトは真中の山間部にあリ標高2800mで東西を山に囲まれた盆地。人口は約140万人。

エクアドルはペルーに次いでインディオ系(インディヘナ)の多い国。人口の75-80%がインディヘナと言われている。よって、当然インディヘナ系の音楽/フォルクローレもたっぷりある。また他のスペイン語圏同様、欧州の影響もある。エクアドルのポピュラー音楽といえば2拍子系なら パサカジェ、ワルツ系(バルス)からの パシージョサンファニート、8分の6拍子の アルバソダンサンテトナーダとバラエティーに富んでいる。


キトの中心街

コスタ側には首都のキトより大きい港町グアヤキル(人口190万人)のあるグァヤス州、マナビ州、エスメラルダ州などがあるが、カリブやコロンビアのコスタ同様、黒人人口が多い州が並んでいる。そして当然音楽にも影響を及ぼしているのだ。

エスメラルダ州などのカデローナというダンスは 8分の6拍子で黒人系の風味たっぷり。コロンビア南部海岸同様、バンブーコもある。そしてその東側北部のインバブラ州のチョタ渓谷には黒人系とインディヘナの混合した"ボンバ"という音楽がある。

これらの州ではアフリカ起源のマリンバが使われていたりして、エクアドルの黒人系も素晴らしい。


キト南部へ

一方、若い世代は当然ロック/ポップ。市内中心部のショッピング・センター Quicentroにあるタワー・レコードのフロントにはコールド・プレーのライブ、ノラ・ジョーンズなどの新譜が並び、ラティーノのコーナーにはカバスの2枚目がどーんとディスプレーされている。

店員のカルロス君とマルコ君と色々話してみる。二人ともメタル系が好き。マルコ君はバンドもやっている。ブリンク182とエバネセンスの泣きの話でまず軽く盛り上がる。エクアドルのロックの中で好みのテルセー・ムンドクルークス・エン・カルナックの話を持ち出すと、 一挙に距離が縮む。これだから音楽はありがたいね。エクアドルのロックの歴史をざっとレクチャーしてもらい、ここ1年の新譜を色々聴かせてもらい、そしてポピュラー、伝統のパシージョなどなどへとなだれ込む。ニルヴァーナ世代なれど、各ジャンルを次から次へと教えてくれるのはさすがプロ。


さて捕獲CDはロックから

結成後10年になるこのクルークス・エン・カルナック、個人的にはエクアドルで一番好きなロック・バンド。

今のメンバーはSergio Sacoto-Arias (vo), Andre's Sacoto-Arias (b), Esteban Ribadeneira (ds), Pablo Santacruz (kyds), Pablo Estrella (g)の5人。グループ名のクルークはノーベル化学賞受賞のWilliam Crooksから、カルナックは上エジプトの地名からということで、要は適当につけたという感じ。コロンビアやアルゼンチン、キューバなどには遠征しているものの、エクアドルのロック自体まだそれ程知られてないせいか、世界向け発信はこれから。頑張ってもらいたいもんです。

今までに4枚アルバムをリリース。1枚目は四曲入りの"Tu Culpa"。 「Al Borde」などがキトではヒットしたとか。そして97年にはSonyから"Cruks en Karnak"をリリース。またローカル・レーベルから3枚目の"La Dimension del Cuy"。そして昨年リリースが今回捕獲の"Las Desventuras de Cruks en Karnak"(CEK 008900-001)。

ロック、ファンク、ポップなどとサンファニートやクンビアなどの味付けも染み出して良い感じ。セルヒオの声が魅力。


"Las Desventuras de Cruks en Karnak"



"Tercer Mundo 3"

エクアドルのロックも実は(というか当然というか)数々のローカル・バンドの歴史があり80年代のMozarellaBarroClipなどというグループが地元では活躍していたらしい。そして、その中のベテランがテルセー・ムンド

80年代後半に結成され今までベストを含め6枚のアルバムをリリース。初めて聴いたのは4枚目の"Tu Madre"。現在のメンバーはダニエル、フアン=マヌエル、フェリペのハコメ3兄弟にドラムなどバックがつく形。メロディアスなタイプのロックです。 個人的にはちょっと普通過ぎる感じ。


あとは若手で2枚ほど。

"Mas Aninados que nunca"/Rocola Bacalao

スカ色の強いロックをやるこのロコラ・バカラオ。この2枚目のアルバムはタイトルの通り、スタジオ一発取り細工なし、そのまんまって感じの音。しかし音にはパシージョやサンファニート、クンビアやカリプソまでの香りが漂う曲もあり。

99年に結成され今までに3枚のアルバムをリリース。'02年にリリースの"Mas Aninados que nunca"を捕獲したが'03年リリースの"Live in Tokio"と言うのがあるらしい。と言うことは日本に来たのか???はたして??


"Mas Aninados que nunca"
Rocola Bacalao



"Ruta Melancolia"
Verde 70

"Ruta Melancolia" / Verde 70

このベルデ70は'99年結成。メンツはDario Castro (vo/g), Cesar Galarza (g,kyd), David Arizaga (ds), Diego Saa (b)ボゴタでコロンビアの人気バンド"ロス・デ・アデントロ"とかとジョインとでやったりしてます。ポップな音。とは言え、エクアドルのローカルな楽器"ボンボ"なんかを入れてみたり。


一方、フリオ・ハラミージョなどの「歌」のラインを受け継ぐ若手は誰であるのか?ということでカルロス君が出してきたのはこれ。

"Tanto Amor" / Juan Fernado Velasco

2002年のリリースなのに未だに売れている、というかこのペースでじっくり支持が広がる、というのがエクアドルのペース。いや音楽が消費されるばっかりでないラテン・アメリカのペース。アルゼンチン録音のこの2枚目のアルバムもエクアドルやコロンビア、ペルーでじわじわと広がっているのだと言う。

ベラスコ君のロマンチック&センティメンタルなメロディーにフィト・パエスの編曲などの仕事もあるカルロス・ビジャビセンシオのストリングス・アレンジがかぶる。一時テルセー・ムンドのメンバーだったり、チリのビニャ・デル・マールの音楽祭に参加したりというキャリアも頷ける。


"Tanto Amor"
Juan Fernado Velasco



"Mas Bueno que el Pan"
Margarita Laso

"Mas Bueno que el Pan" / Margarita Laso

'63年生まれのサンファニートやパサカジェなど伝統のフォームを得意とし多くのアルバムをリリースしているベテランとの事。

昨年リリースの"エクアドルの至宝の16曲」と銘打たれたこのCDもパサカジェ、パシージョ、アルバソ、ボンバなどのエクアドルの音を聴かせてくれてます。通して聴いてみると、エクアドルで愛されるのリズムとメロディーの香りがよく分かります。



"El Autor, Compositor, Interprete"
Julio Jaramillo

もちろん、クラシコなコンピレも捕獲

"El Autor, Compositor, Interprete" / Julio Jaramillo

フリオ・ハラミージョはきっとプエルトリコのラファエル・エルナンデスみたいな人なんでしょう。1935年グアヤキルの生まれ。17才で初レコーディング以来国内だけでなくメキシコや中南米諸国等でヒットを飛ばし、ハビエル・ソリスやマルコ・アントニオ・ムニィス、ルーチョ・ガティカ、フェリペ・ピレーリャなどと並ぶ人気を博して369枚のアルバムをリリース、約1500もの曲を残したという人です。1978年に42才の若さで亡くなっています。軽やかでつやのある声はナイスです。

"De Fiesta y Pena con…" / Hector Jaramillo

何人ものミュージシャンを輩出するハラミージョ一族の一人。1932年生まれで健在です。伝統のパシージョ。パサカジェ、サンファニート。アルバソなどのメドレー集。内容はイマイチだけど有名曲ばかりの点で捕獲。


"De Fiesta y Pena con…"
Hector Jaramillo



"Ritmo y Sentimiento
de la Bomba"
Mario Diego Congo
y Las Chicas del Valle

実はエクアドルの音で非常に気になるものに"Bomba"があります。ボンバはプエルトリコのだけのものではないのでした。しかし、関連は???

エクアドル北部のミラ川の流れるチョタ渓谷周辺では17世紀以降にアフリカよりの黒人が農業用奴隷として連れてこられて定住するようになった。その中でアフリカ系の6/8のリズムがインディヘナ系のメロディーも交じり合いボンバ・ドラム、ギター、グアサなどの楽器を使って演奏される形になって受け継がれてきています。

"Ritmo y Sentimiento de la Bomba" / Mario Diego Congo y Las Chicas del Valle

エスメラルダ州などで行われるバンブーコはかなり動きの速いダンスである一方、ピチンチャ、インバブラ、カルチなどチョタ渓谷特産のボンバのダンスはアルバソのようなフォルクロリックな味が特徴との事。

"Sigue la Historia/Oro Negro"

マリオ・ディエゴ・コンゴ率いるユニットオロ・コンゴはボンバをソフィスケートした音で、ギターがアンデスのフォルクローレの感覚たっぷりでナンとも言えない哀愁が漂います。


"Sigue la Historia"
Oro Negro


"Latin North America"
Salsa Soup

エクアドルのサルサはないのか?と見てもらったが在庫なし。こういう時にはタワーは頼りにならない様だ。(プエルトリコもの、コロンビアものとかはOKなんだけど)

と言うことでエクアドル人のべーシスト率いる米国西海岸のアルバムを1枚。

"Latin North America" / Salsa Soup

リーダーのパンチョ・トマセリはボストンのバークリーを出た後、西海岸に移りネリー・フルタド、サンタナやチャカ・カーンなどと仕事をしたり現在は久々復活の有名なファンク・バンドWARのベーシストでもある。


Warで演奏する
Pancho Tomaselli


 

さて、例によって音楽の次は食事である。


エクアドルで食事をすると出てくるのがパンではなくてこのCanguilだ。写真ではプラタノのチップス(Chifles)と一緒でわかりにくいかもしれないが、要はポップコーン。大き目のとうもろこし(Palomita de Maiz)のポップコーンである。それからそのコーンをフライしたTostado。セビーチェに放りこんで食べてもなかなかナイス。

左の写真は貝です。この店はグアヤキル風シーフードの店い。さっと塩茹でしただけだけどうまい。

右はシーフードのコンビネーション。海の幸のピラフを中心にエビ、魚のフリータスとプラタノのつけ合わせ。うまい。


しかし、取引先というのは大変ありがたい。タワーのカルロス君、マリオ君を補うような数々の情報が商談中のふとした会話をきっかけにやってくるのだ。自分は海外から来日するお客に雅楽から民謡から演歌からJポップ、ロックまでの情報を 提供できるだろうか??



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