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ラテン・パラダイス II (04.2.8) @なかのZERO

 

ラテンをベースにショーダンスを追求する市川奈美さんのチームが企画するステージ『ラテン・パラダイス』。去年はとても楽しかった。今年も行きました。


今回は”Latin Paradise Tour"のタイトルの通り世界旅行の中でその地のダンスと 音楽を楽しむという趣向。ソン・レイナスもパイロットやフライト・アテンダントのコスチュームで演奏&ダンス。

第一部はキューバ→エジプト→インド→ドミニカ共和国→メキシコ→アメリカと回ります。

搭乗案内で機内が温まったあとのキューバ。ルンバ系からサルサとお手のものですね。Oh! Mambonsのエジプト、そしてドミニカ共和国は当然メレンゲ。ソン・レイナスのキレの良い演奏が「メレンゲってやっぱりいいなあ」と嬉しくなる。Izumiさんのミリー・ケサダ姉のようなオルガ姐さんのようなうたいっぷりもナイス。

ホーンも前面に出てきてけっこうハードな振りをこなしつつ、息切れもせずハイノートや細かいタンギングもこなし、そして超ミニなコスチュームの上に確信犯的フットアップやのけぞりポーズで悩殺するという必殺技も繰り出す。

当然のようにCombinatria/Las Bailarinasのダンスもキレがよかった。 ランチェーラとクンバンチェロのメキシコではIzumiさんの衣装もカラフルで美しい。アメリカ編ではキッズも達者なとこを楽しませてくれました。


 

15分の自由行動時間をはさんで第二部は機内放送でのリラックスしたテイクオフの後、ブラジル→スペイン→アルゼンチン→ロシア→中国と来て"ラテンパラダイス王国"へ不時着、最後は日本へ戻って来ます。

"機内放送"ではラテン・パラダイスお得意のコテコテな趣向。CMからアニメまでの素材の中で個人的には今年はサインはVの濃いアレンジと濃い演出(演技)が最高得点でした。ばかだねー。 でもこれははずせないでしょう。

ブラジルは客席後方からソン・レイナスのバツカーダ隊がクイーカを先頭に入場してきて会場を一挙にリズムに巻き込む。衣装も当然カーニバルで大変ナイスです。スペインから中国の"アラウンド・ザ・ワールド"ツアーにはTeam Watanabeのお二人の息のあったペア・ダンスもあり、そして大詰めの"Kingdom of Latin Paradise"そしてJapanへとなだれ込みます。

ここはもう怒涛の流れでめまぐるしく変わる場面、テーマ、振付け、衣装、音楽に圧倒でした。その中でもJapanの振りと衣装はとてもよかったです。 あっと言う間のフィナーレ。いやはや。


"Tour Guide"



Son Reinas

印象的だったのは、まず去年と同様にダンスと音楽との関わりへのアプローチ。

一部のモダンやコンテンポラリーでなければ音楽との関係が当たり前なダンスだけど、その関わり方は様々。

前回も例えばミ・ティエラのフロントにダンスを組み込んだりで音楽とダンスをシンクロさせて楽しんでもらおうというステージだったが、今回は普段のライブからノリの良いソン・レイナスの面々を得て全面的にダンスと音楽の垣根をとっぱらうステージを組み込んだ。

奈美さんもダンスだけでなく歌うという一番身近な音楽のかたちを前面に出すなど、様々な仕掛けでダンスと音楽をまとめて見せる。ダンスと平行してバンドやったりする奈美さんならではの感覚が反映しているように思える点が面白いのだと思う。


もうひとつ思ったのは、ダンスの中の個人と全体。

ラテン・パラダイスでのアプローチは"ショーダンス"。パリのリドやNYのラジオシティーで同じように華やかなレビュー・スタイルのショーダンスを見たことがあるけど方向が違う。これら2つのショーの演出や振り付けの考え方は(テイストは当然違うけ訳だけど)どちらも「集団」単位で見せる言わば伝統のレビューの形式が背骨にある。

一方、ラテン・パラダイスはシャインやペアダンスといった単位からショーダンスへと作り込んできた流れを「集団」にしたような感覚。 今回はステージに近かったので全体のムーブメントより一人一人の個人と全体の関わりも見られたのもそんな事を考えた理由かもしれない。

あたりまえだけど上級者は安定してて見ていて安心。例えばターンやアイソレーションの基礎とそれを支える筋肉とコントロールがある。腕の振りひとつでその人の場所が1.5倍くらいに広がるってよく言うけどコントロール出来る力が微妙な違いを作る。

これって音楽でもありで、例えば楽器が鳴るとか、ジョバンニ・イダルゴは幾ら速くたたいてもあのでかい音量がキープ出来て、かつピアニッシモまで粒が揃う音がでるから、特急フレーズの中にダイナミクスやうねりが出る、というのと同じか。


"Egypt


"Mexico"

歌う事・演奏する事で増幅される体の中のリズム、そのリズムに突き動かされる体の動きとダンス、肉体がパワーを発する楽しさに思わず音楽もグルーブしてゆく。

基本のイーブンのカウントに対して合わせるのは当然として、ラテンも含めシンコペーションのある音楽は拍の中で個人がいかに引っ張ったり、もたったり、突っ込んだりする個性がノリとかグルーブ感とかスウィング感とかを生む。それはダンスも同じで音楽の提示するカウントに対してジャストに合わせているだけではグルーブや迫力は生まれない。

「ここは突っ込む」「ここは緩める」という感覚を意思にしてコントロールする。そんなコントロールを成功させるには、音楽でもダンスでも強靭な精神力と精進が必要。ダンスという肉体の鍛錬の度合いを目に見せるものと、耳に切り込んでくる音楽、その両方がリズムにどう寄り添うかでグルーブを作って各々遊んでいる。


なんでこんな事ごちゃごちゃ思ったかと言うと、フィナーレに近いあるメレンゲの曲での一人の踊り手の動きと音楽が見事に共鳴してはっとさせるグルーブを作ったから。

思いっきり突っ込んで場を最大に取り、かつ軸がしっかりと安定してとても柔らかにしなるフォームのダンス、つまり「おお、カッコイイ!」とつぶやいてしまうダンスが、音楽の持つリズムのタメと瞬間に同期して一瞬で客席側を「挑発」するのに成功したのでした。

同じ振りが繰り返されなかったのでもう一度見ることは出来なかったけど、ああいう一瞬がダンスを見る醍醐味なのかなと思った。そして、そういう個人の見事な「挑発」の一つ一つがひとつの方向を向くような纏まり方、それがこのラテン・パラダイスのショーダンスのやり方なんじゃないか、などと思ったのでした。

 


"Japan"


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