泉の精ぱーと12


ジュリオとクリスは、巡礼の旅を前に
ラップじいさんと水晶湖のそばを散歩していた。

3人は水晶湖のほとりに立ち、つり橋を見上げる。

「ほれ、あそこに見えるのがディーネのシャリネじゃ」
「来月から僕たちも巡礼の旅に出るんだよね」
「楽しみだわ」

見上げていたラップじいさんはバランスを崩した。

「うおっとっと」
ざぶんと水晶湖に落ちてしまったラップじいさん。
「大変だ!」
「ラップじいさん!」

「ジュリオ、なにしてんのよ!早く助けなきゃ!」
「そ、そうだ、いそがなきゃ」
ジュリオは湖に潜ろうとしたそのとき。

ざざざーという音とともに現れいでたる泉の精。
「あなたが落としたのはこのラップじいさんですか?」

泉の精が引き連れていたのは青いローブを纏った若き魔道師。

「誰それ・・・」
あまりのおどろきにふたりはぽかんと口を開けている。

「いいいいいえ、まったく別人です。そんなにかっこいいひとじゃありません」

「正直な人たちで嬉しいですわ。
ごほうびに両方あげましょう」

ラップじいさんと若き日のラップじいさん、ミッシェルを残して
泉の精は姿を消した。

ジュリオの目は丸くなった。
「・・・これがあのラップじいさん・・・?」

クリスも当然、目を丸くしている。
「うそ・・・ラップじいさんってこんなにカッコいいひとだったの?」
「失礼なやつらじゃ」
憮然とした表情のラップじいさんと対照的に、ミッシェルはクリスにやわらかな微笑みを向ける。
「お嬢さん、ジュリオ君なんかとじゃなくて私と一緒に巡礼の旅をしませんか?」

クリスの頬が紅く染まった。
「え、は、は、はい・・・喜んで」

慌てたのはジュリオである。
「ええええ〜っ!?
来月、僕と一緒に行くはずじゃなかったの!?」

しかし、ラップじいさん、もといミッシェルとクリスはすでに遠くにいた。
「ああああ〜っ、クリス〜〜〜っ!!」

「クリスさん、うしろから雑音が聞こえるのですが」
「え?知らないわ。ず〜〜〜〜っとつきまとわれて迷惑してたのよ。
さ、いきましょ♪」

「クリス〜〜〜」
「しかたないのぅ・・わしと一緒に行くか」
「じいさんと一緒に旅をしても嬉しくない・・・」




教訓:機会は鳥の如し、飛び去らぬうちに捕らえよ(シラー)




2001番を踏まれたがた様のリクエストで、ジュリオとクリスの泉の精です。
原案はいくつかあったのですが、なかなかすっきりいかず、
CDドラマとあまり変わり映えのしない内容になってしまいました(死)。
うーん・・・浮かんだネタをシンプルにまとめるのは難しい(滅)。
まとまったら改めてアップするかもしれません。
もしくはこれの支線として隠しページにするか・・・

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